平成24年2月定例会(第3号)(2012.2.29)

2月29日、初めて県議事堂の壇上にて約40分間にわたり質問をしました。
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日比たけまさ 平成24年2月定例会一般質問

《一般質問》

みなさまお疲れさまです。春日井市選出の日比たけまさです。
通告に従い「県民幸福度の向上に向けて」および「大規模住宅団地の再生について」順次質問いたします。始めに「県民幸福度」について質問します。

♪幸せってなんだっけ、なんだっけ、ポン酢しょうゆのある家さ~♪♪
を聞いて懐かしい、と感じられた方もいらっしゃるかと存じます。これは今から26年前、1986年に明石家さんまさんが出演した企業のCMです。1986年といえば、前年のプラザ合意による円高不況から立ち直り、その後のバブル景気を迎える過渡期にあたる時期でした。
当時、中学1年生であった私は、その後高校生活を終えるまでの間、バブル期を過ごします。実社会がどうであったのかはわからないものの、「大人の社会は楽しそうだなあ」そんな印象を持ちながら、漠然と明るい将来を夢見て学生生活を送っていた記憶が残っています。ちなみにこのCMの企業本社は千葉県野田市。現在、千葉県出身の野田総理が不退転の決意で臨んでいる「社会保障と税の一体改革」については、明るい将来を描けるよう、是非前向きな議論を進めてもらいたいと強く願っています。
さて、本題に入ります。昨年11月、ブータン王国“第5代ワンチュク国王”と“ジェツン・ぺマ王妃”が来日され、皇室表敬や国会演説、被災地訪問等、行く先々で心温まる話題を振りまかれるとともに「GNH(Gross National Happiness=国民総幸福量)」というキーワードが国内中に広まりました。
このGNHについて少し触れたいと思います。この言葉は今から36年前の1976年、現スリランカのコロンボで開催された、「第5回非同盟諸国会議」の中で、当時のブータン王国の“第4代ワンチュク国王”が「GNHはGNPよりも重要である。もちろんGNPも重要であるが、自然環境や文化伝統などを破壊し、家族、友人、地域の連携を犠牲にするような経済成長は、到底国家の目標ではありえない」と発言されたことに遡ります。
その後GNHが世界の中で脚光を浴びることはほとんどありませんでした。しかしながら、近年、この言葉が国づくりや地域づくりにおいて脚光を浴び始めています。というのも、私たちはGDP世界第3位の日本で生活しているにもかかわらず、依然、幸福を感じていない人々が多いと言われているからです。

このことを内閣府が定期的に実施している「国民生活に関する世論調査(2009)」でみると、現在の生活に「満足している」人の割合は61%、「不満である」人の割合は38%であり、「満足している」から「不満である」人の割合を差し引いた「幸福度DI値」でみると、わずか23%となっています。実はこの数値、約50年前、1958年の同調査における「満足している」人の割合60%、「不満である」人の割合38%、幸福度DI値22%とほぼ変わらないのです。50年間で、日本は経済的、物質的な豊かさは飛躍的な成長を遂げているにもかかわらず、満足度は全く変わっていないのです。
そうした中、政府においては、一昨年6月に閣議決定した新成長戦略において、政策に資する幸福度研究を推進することとし、昨年12月には内閣府より幸福度指標試案が提示されました。これは、心の幸福感を重視し幸せを数値化しようとするものです。

ここで、幸福度について徹底的に研究している自治体として東京都荒川区をご紹介します。荒川区では、区長である“西川太一郎”氏が就任した平成16年に、「区政は区民を幸せにするシステムである」という区のドメイン(事業領域)を設定し、荒川区民の総幸福度を高めることを最大使命と宣言。そして、区の基本構想を設計するうえで、行政サイドの目標値ではなく区民の視点に立った指標が欲しいという思いから、荒川区民総幸福度としてGAH(Gross Arakawa Happiness)を設定しました。
もちろん基礎自治体と広域自治体には自ずと役割の違いがあります。しかし私は、荒川区が今後の自治体運営において非常に参考になる行政手法をとっていると考え、GAHを研究する「公益社団法人荒川区自治総合研究所」を訪ねることにしました。
まず、その組織形態が注目に値します。区から独立した別組織の形態をとっています。これは中長期かつ部門を超えた広範囲にわたる調査研究を行うシンクタンクとして区の業務と切り離した方が良いということで、区から補助金を受けながら別組織にしたそうです。設立にあたっては、当時の議会において「研究施設の予算があるくらいなら、他に行うべき喫緊の施策がある」という辛辣な意見も飛び交ったようですが、最終的には全会派一致で賛成になったとのことでした。なお、研究員は区からの派遣と外部採用が半々であるそうです。
昨年8月には中間報告が取りまとめられ、健康、子育て分野に関する幸福度指標案が公表されました。まだ道半ばということですが、GAHの取り組みの表れとして、荒川区は日本経済新聞社等が全国783市と東京23区を対象に住民向け行政サービスの充実度を調査したランキングにおいて、教育分野全国1位、子育て環境分野全国2位を始め各部門で上位を占める結果が出ています。
また、継続的なGAHへの取り組みを通じて、区職員の意識改革効果も期待しているそうです。すなわち職員に「私たちは区民を幸せにするシステムの担い手である」という自覚と自負を持たせるとともに、自分たちが取り組んだ施策が区民の幸福度向上にどの程度寄与したのかという「結果」ではなく「成果」の視点を持って、行政サービスを考えるよう促しているそうです。さらに区長の思いは職員の意識改革にとどまらず、GAHをきっかけに区民一人ひとりが自らの幸福について考えることで、身近な人や地域の幸福についても意識するようになり、分かち合いや思いやりにあふれた地域社会の実現につなげたいと話されていました。

これらを踏まえて、「県民幸福度」に話を移します。昨年末、「県民幸福度ランキング」なる興味深い内容が新聞紙上に載りました。これは、法政大学大学院教授である“坂本光司”氏が社会人修士学生とともに、地域の幸福度を客観的に示していると思われる40指標をもとに調査研究した内容を発表したものです。
結果の概要を申し上げますと、1位 福井県、2位 富山県、3位 石川県と表彰台を北陸地方が独占し、愛知県は21位という結果でした。ちなみに東海地方では、静岡県 19位、岐阜県 13位、三重県 9位という結果に、大都市圏を抱える東京都は38位、大阪府においては最下位という結果になりました。
もちろん、指標のピックアップの仕方や計算の仕方等によっては、いかようにも結果が異なりますし、ランキングを付すことが研究の目的ではありません。坂本教授にお話を伺いにいったところ、客観的事実に基づく問題の所在の理解認識や、地域の幸せを議論するきっかけ作りに利用して欲しいと言われましたので、ここで21位という順位に至った要因を分析することにします。すると「10万人当たり刑法犯認知件数」や「悩みを相談できない人の占める率」といった安全、安心面の指標が他県に比べ特に低調であることがわかりました。私はこの対策として、荒川区の取り組みに倣って、県民の視点に立った力強い施策やメッセージを発信し、県民意識を変化させていくことすなわち身近な人や地域についての意識を高めるべく、これらの指標についてもう少し言及します。
平成23年の、愛知県の人口10万人あたりの刑法犯認知件数は約1,600件で、約1,750件の大阪府に次いで2位、東京都が約1,410件で5位となっています。また、本県の刑法犯認知件数は約11万9千件で、東京、大阪に次いで全国ワースト3位となっています。中でも、住宅対象侵入盗は5年連続全国ワースト1位、自動車盗は4年連続全国ワースト1位と県民の不安も大きいところです。
これらの犯罪を抑止するためには警察によるパトロールや検挙などの活動とともに、県民一人ひとりの防犯意識や地域の防犯力がとても重要であると思います。
そこで質問です。県は、住宅対象侵入盗や自動車盗に対する県民の防犯意識や地域の防犯力をどのように高めていかれるのかお伺いします。

また、「悩みを相談できる人がいないと感じている方が多い」ことに関して、私が心配するのは、ひとりで悩む中で心に不調をきたし、「うつ病」など心の病を発症し、ひいては自殺につながってしまうような悲しい結果を引き起こすことです。こういった方々は、不眠や体調不良など、なんらかのサインを出しているとよく言われることから、家族を始め職場などの周りの方が異変に気づき、相談先につなぐことが極めて重要です。
そこで質問です。心の不調をきたした方に適切に対応するための相談先を用意するとともに、「心の悩みについては、ここに相談すれば良い」とのメッセージを県民に強く提示することも大切であると考えますが、県の取り組みについてお伺いします。

私が思うに、「幸福感」や「満足感」などについて議論や調査がなされることが増えている背景には、昨年3月の東日本大震災後、国民が一体となった支援の輪ができたことや長引く経済的閉塞感の中で、国民が物質的豊かさよりも絆や思いやり、地域への愛着を大切にするなど「心の豊かさ」を重視するようになってきたことがあると思います。行政側もこのことに気づき、数値データだけではとらえられない住民の心の豊かさを把握することの重要性を認識し始めているのではないでしょうか。
また、社会情勢の変化や、社会全般の成熟化・複雑化に伴い、個人の価値観や生き方も大きく変化しており、県民ニーズは今後ますます多様化するものと考えられます。これら県民の期待に応えられる施策を行うためには、心の豊かさなどの県民意識や県民ニーズの把握をより充実させていくことが必要です。

そこで質問です。愛知県では「心の豊かさ」など、県民の意識調査について、どのように把握され、その調査結果はどのようになっているのでしょうか。また、今後ますます多様化する県民ニーズに対しては、調査の充実が必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか。ご所見を伺います。

続きまして、二つ目として「大規模住宅団地の再生」について質問させていただきます。
現在、私は春日井市内にあります高蔵寺ニュータウンに在住しております。この街の生い立ちから成長、そして現在抱える課題を知っていただくことで、大都市近郊地域が抱える大きな問題を提起させていただきたいと思います。

始めに高蔵寺ニュータウンの歴史について述べさせていただきますと、第二次世界大戦の復興過程まで遡ることになります。
戦後の復興は、荒廃した国土の復旧、食料の調達・増産、エネルギー源としての石炭の増産や電力開発を中心に、10年間で驚異的な復興を成し遂げました。しかし、住宅に関しては未だに戦後を引きずっていました。
そうした中、1955年鳩山一郎内閣の下で、住宅建設10カ年計画が立てられ、その使命を果たすべく「日本住宅公団」が設立されます。また、三大都市圏への人口集積が著しくなったこの時期、都市の調和ある発展を促すため、1958年に首都圏基本計画、1965年に近畿圏基本整備計画、そして1968年に中部圏開発整備計画が策定される一方で、国土開発計画としては、1962年に「全国総合開発計画」が策定され、各地でビッグプロジェクトが次々に行われました。
こうした動きの中、三大都市圏において「ニュータウン」というビッグプロジェクトが誕生します。まず近畿圏で千里ニュータウン、中部圏で高蔵寺ニュータウン、首都圏で多摩ニュータウンが全国の「ニュータウン」の先駆けとして登場したのです。

1968年に入居が開始され、団塊の世代が中心の若い入居者たちが「ユートピア」を目標にまちづくりに参加した高蔵寺ニュータウンは、70年代後半から80年代にかけ人口増加とともに諸施設が整備され、緑豊かな街が形成されていきます。1985年には15歳未満の人口が15,000人を超え、小学校の教室不足でプレハブ校舎まで活用されるほど活況を呈していました。しかしながら、90年代に入り、成熟期を迎えると、1995年の人口52,000人をピークに減少に転じ始め、現在の人口は46,000人台にまで落ち込んでいます。特に15歳未満の人口はピーク時の4割以下となり、過小規模校が立ち並ぶ中、現在3つの小学校を1つに統合する計画が進行しつつあります。その一方、高齢化率は春日井市の平均値を超える22.5%、地域によっては40%を超え、何より深刻なのがその上昇の仕方で、わずか数年のうちに春日井市の平均を超過したように、今後急激に上昇する見込みとなっています。空き家、空き室が目立ち、孤独死のうわさが飛び交う、今や「ニュータウン」転じて「オールドタウン」と揶揄される街となり、一刻も早いニュータウンの再生に向けた動きが必要であると考えます。

もちろん、再生に向けた動きは徐々に出つつあります。平成19年には春日井市が「高蔵寺ニュータウン活性化施策検討会」を立ち上げ、愛知県、春日井市、独立行政法人都市再生機構、高蔵寺ニュータウンセンター開発株式会社がメンバーとなり、課題整理等を行うとともに、平成21年には、春日井市が地域団体との間で、新たなまちづくりについて4回にわたり意見交換を実施し、結果を「ニュータウンミーティング報告書」としてとりまとめ、「高齢化問題」、「若い世代の定住」等について提案しております。
こうした中、春日井市ではニュータウン内での子育て支援センター設営や魅力を発信したガイドブックの発行を、独立行政法人都市再生機構では、一部の物件において、高齢化や子育て世代に対応したエレベーター設置、バリアフリー化、部屋の間取り変更等を、高蔵寺ニュータウンセンター開発株式会社では、高齢者の足としての循環バスの運行や、介護付き有料老人ホームの誘致を、また、地元NPO法人やボランティア団体では、市の協力のもとに共同の活動拠点を設置、運営するなど、各々の立場で課題の解決に向けた取組を展開しております。しかしながら、抜本的な解決に至っていないのが現状です。
知事は、知事選直前の昨年1月、高蔵寺ニュータウンにお越しいただき、その日のブログに「高蔵寺ニュータウン在住の方からニュータウンの現状と課題をお聞きしました。今後の県政の重要な課題として、高蔵寺ニュータウンの再生・活性化問題に取り組んでまいりたいと考えています。」と力強く記していただきました。私はこのブログを拝読し、これまで私が述べてきました現状と課題について、既に知事は深くご理解いただけているものと確信しております。

ここまで、高蔵寺ニュータウンについて触れてきましたが、私はこの問題は一地域が抱える問題とは考えていません。それは、愛知県内にはこのような郊外大規模団地が点在するからです。具体的には、小牧市の桃花台ニュータウンや瀬戸市の菱野団地では、大きな街並みが形成されていますし、知立市の東知立団地、豊明市の豊明団地、知多市の朝倉団地、豊田市の保見団地なども大きな団地群が形成され、程度の差はあれ共通の課題を抱えております。
一方で、同じ時期に出来上がった大阪府の「千里ニュータウン」では再生に向けた動きとして、大阪府を始めとした関係者が、平成19年に「千里ニュータウン再生指針」を策定し、取組が進められておりますし、東京都の「多摩ニュータウン」でも、東京都を始めとした関係者が今月上旬に「多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドライン」を策定しました。
そこで、ガイドラインを策定した東京都に話を伺ったところ「最近、ニュータウンの話題といえば、住民の高齢化や建物の老朽化といったマイナスイメージの内容ばかりであるが、先人たちが知恵を絞って築き上げられた住環境は今でも大変素晴らしく、今後、優良な資産をいかに有効に活用していくかがカギである。再生に向けた新しい取組も個々では生まれているのだが、点でとまっている。お互いが共有できるコンセプトを持つことが必要で、その旗振り役として都が中心となり策定した。」と話されていました。
以前から、私の地域では「ニュータウンにおけるグランドデザインが必要」、「どうして愛知県には指針がないのか」という声が強くあります。私も愛知県においても「千里ニュータウン再生指針」や「多摩ニュータウン等大規模住宅団地再生ガイドライン」のような、大規模住宅団地再生に向けた指針を策定していくことが非常に有効だと考えています。

そこで質問します。県では、大規模住宅団地の再生に向けて、どのように取り組んで行かれるのか、お伺いします。

住まい・まちづくりを取り巻く環境を考えると、人口減少、少子高齢社会、地球温暖化対策、安全・安心といったテーマが重視されます。これは、昨年10月にパブリックコメントに付された「愛知県住生活基本計画(案)」でも明記されています。
今後、人口減少社会を迎える時代においても、従来同様、住宅供給を中心とした住宅施策を続けていくのであれば、さらなる大量エネルギー消費と自然環境への負荷増大を招く一方、過去に大量のエネルギー、労力をつぎ込んで形成した既存ストックが有効に使われなくなり、非常に無駄が大きいと考えます。そうならないためにも既存の良質なストックを活用しながら、3つの要素、1つは持続可能性、1つは若い人たちが住み継ぎたいと思う魅力と活気、1つは住民が考え行動する街をつくらなければなりません。
住宅ストック活用のひとつの手法として、一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」による住み替え支援事業の事例があると聞きました。一方で、バリアフリーで生活支援サービスの付いた高齢者向け賃貸住宅である「サービス付き高齢者向け住宅」制度が昨年10月から始まりました。
例えば、高齢者が「サービス付き高齢者向け住宅」に移転し、安心して暮らせる住まいを確保した上で、高齢者が移転したあとの住宅を、住み替え支援制度を活用して、子育て世帯に居住してもらうことができれば一石二鳥ではないでしょうか。このように、すでに整備された豊かな住宅ストックを最大限利用することが、これからの住宅対策の目玉のひとつになるべきだと思います。

そこで質問します。愛知県では、大規模住宅団地に存在する住宅ストックの活用を、今後どのように推進していかれるのか、お聞かせください。

以上、「県民幸福度の向上に向けて」および「大規模住宅団地の再生について」質問をしてまいりました。理事者各位の前向きな答弁をお願いいたしまして、壇上からの質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

《答弁要旨》

1 県民幸福度の向上に向けて

(1)防犯意識の向上について

(県民生活部長答弁要旨) 
住宅対象侵入盗と自動車盗に対する県民の皆様の防犯意識と地域の防犯力の向上についてのお尋ねでございます。
住宅対象侵入盗は、財産的な被害はもちろんのこと、万が一犯人と鉢合わせした時には居直り強盗となって、生命・身体に危害が及ぶ恐れのある極めて危険な犯罪であります。
また、自動車盗は、県民の多くが保有し、日常生活に欠かせない高額な財産である自動車が奪われるものであります。これらの犯罪の件数は、犯罪情勢が最も悪かった平成15年と比べますと、平成23年において、住宅対象侵入盗は約6割の減、同じく自動車盗は約5割の減と、大幅に減少してはいるものの、全国的にみると、いずれも本県が数年にわたって、ワースト1位という不名誉な記録を更新中であります。
このため、今年度策定する新しい地域安全戦略におきましては、これらの犯罪を「重大犯罪」と位置付け、その対策に重きを置いて取り組んでいくこととしておりまして、県民の皆様には、さまざまな防犯対策の情報を提供し、その中で自分にできる対策を講じていただけるよう、ラジオ放送などにより広報啓発に努めていきたいと考えております。
具体的には、ドロボウは、時間、光、音、そして人の目を嫌うことから、住宅対象侵入盗については、例えば、ドアや窓の鍵を二重にする、玄関先にセンサーライトを付ける。また、自動車盗については、盗難防止アラームやハンドルに固定器具を付けるなど、犯行を諦めさせるような様々な対策を広くお知らせし、自分の家や車は自分で守るという、県民の皆様の防犯意識の高揚を図ってまいります。
また、「人の目」の役割を担う自主防犯団体の活動を活発化することとし、防犯ボランティアの養成講座の開催やモデル的な防犯活動を実践し、その周知を図る中で、住宅対象侵入盗と自動車盗への対策のウェイトを大きくして、これらの犯罪に対する地域の防犯力の向上を図ってまいります。

(2)心の悩みについて

(健康担当局長答弁要旨)
 心の悩みの相談窓口についてのお尋ねをいただきました。
心の悩みに早期に対応することは、自殺防止対策の観点からも極めて重要な取組であります。
 本県では、相談窓口として、愛知県精神保健福祉センター内に「あいちこころほっとライン365」を設置し、休日を含め毎日、専門の相談員が電話相談をお受けしています。平成22年度は7,747件、1日平均約21件の相談に対応してまいりましたが、このうち、約94% 7,257件がご本人からの相談となっております。
また、県保健所におきましても、電話及び面接による相談を実施しており、平成22年度は、合計16,953件の相談をお受けしました。
この他に、ボランティアの方々も電話相談を実施されており、県からその運営経費の一部を助成しております。
このように、実績として多くの県民の方々から相談をお受けしていると考えておりますが、心の悩みが深くなった場合などは、なかなかご本人から相談することが難しいことも実態であろうかと思います。
家族や職場において、周りの方がご本人の異変に早期に気づき、相談窓口につなげていただくことが大切であると考えております。
そこで、県としましては、今年度は特に「大切な人の悩みに気づいてください。」をテーマとして、周りの人が身近な人の変化に気づくことの重要性についての啓発や相談窓口の周知を目的としたタブロイド判パンフレットを先日の2月26日日曜日に、新聞の折込みという形で、県内の約217万世帯に配布したところでございます。
今後とも、心の悩みをお持ちの方々や周りの方々が気軽に相談できるような態勢の整備や周知、啓発に積極的に取組んでまいります。

(3)県民意識の把握について

(知事政策局長答弁要旨)
 県では県政の当面する様々な課題について県民の皆様の意向や要望を把握し、県の行政施策に反映する資料とするため、毎年度、無作為抽出した県内居住の20歳以上の方々3,000名の方からアンケートをする、県政世論調査を実施しております。
調査項目は、個別の施策についての県民ニーズの調査に加えて、県民の方々が現在の暮らしや社会の状況をどのように感じておられるかという、県民の実感を伺う調査も定期的に行っています。具体的には、「県民の生活意識」、「地域の住みよさ」、「心の豊かさと生活意識」、「郷土・愛知県に対する意識」の4つのテーマについて毎年1テーマずつ、4年間のローテーションで調査することにより、県民意識の推移を把握するために行っています。この調査結果は各部局に周知し、県民意識の貴重なデータとして各職員が認識し、県政全般の施策への参考とさせていただいております。
 調査結果についてですが、一例として、「県民の生活意識」調査において、「現在の生活に満足している」方が、平成16年度では、
63.1%であったものが、平成20年度では61.2%と、わずかではありますが減少しています。
一方、「心の豊かさと生活意識」調査では、「物質的に豊かになったため心の豊かさを重視する」と答えた方は、平成18年度では
35.6%であったものが、平成22年度では37.0%と、こちらはわずかではありますが増加しています。
 この県政世論調査は、これまでは年1回の実施でしたが、議員ご指摘のとおり、今後は社会の変化に伴い、さらに多様化する県民ニーズの把握をより充実させることが必要であるため、来年度は調査回数を年3回とし、調査項目を増やすことによって仔細な調査を行い、より県民ニーズに即した県政の実現を目指したいと存じます。
 また、この調査結果は、記者発表やホームページの掲載に加え、今後は県広報媒体の活用などによりさらに県民に周知してまいります。

2 大規模住宅団地の再生について

(建築担当局長答弁要旨)
大規模住宅団地の再生について2つの質問をいただきました。
まず、高度経済成長期に郊外で開発された大規模住宅団地の再生に向けての県の取組についてでございます。
まちづくりにとって、世代間のバランスのとれた定住を促進していくことは、大切な視点であります。しかし、それぞれの地域には、地域特有の課題があることから、こうした大規模住宅団地の再生については、その地域の実情にあわせ、市町村が主体となって取り組むことが有効であると考えております。
高蔵寺ニュータウンにおいても、議員から紹介のありましたとおり、春日井市が主体となって設置された「高蔵寺ニュータウン活性化施策検討会」に県も参画し、情報提供や助言をしているところです。
今後も、大規模住宅団地の再生に向けては、地元住民の皆様の声を踏まえながら、市町村への助言を行うとともに、市町村相互の情報交換を図る場を設けるなど、県としてでき得る限りの協力をしてまいります。

(建築担当局長答弁要旨)
 次に、大規模住宅団地にある住宅ストックの活用についてでございます。
道路、公園などのインフラが計画的に整備された大規模住宅団地は、長い時間をかけて豊かな緑を始めとする良好な住環境が整えられ、地域の資産となっていることから、そこにある住宅ストックを有効に活用していくことは、非常に大切なことだと考えています。
引き続き良好な住環境を維持していくためにも、既存住宅ストックを活用し、質の向上を図るリフォームの促進や、中古住宅の売買や賃貸が活発に行われる環境づくりが求められております。
そこで県としても、住宅リフォームを促進するため、優れたリフォーム事例を紹介するコンクールの開催や、助成制度などの情報提供、相談窓口の設置などを進めているところです。
また、消費者が中古住宅の購入時などに、その品質を知ることができる「既存住宅性能表示制度」の利用促進や、シニア世帯が所有する住宅を子育て世帯などに安価な家賃で提供する「住み替え支援事業」の普及・啓発など、既存住宅ストックの有効活用の促進に努めてまいります。

要望事項

 それぞれご答弁いただき、ありがとうございました。
 2点要望をさせていただきます。
 まず、県民幸福度について、県民ニーズの把握という点で「県政世論調査」を充実していただけることは大変いいことだと思います。是非とも「県民の視点に立った幸せとは何か」をとことん追求した調査、分析、施策の展開を行っていただくとともに、今回の「心の悩み相談窓口の新聞折込」のようにその姿勢を広く、強く県民に示し、県民一人ひとりが自分、身近な人、地域の幸福を考えるきっかけづくりとなる広報を積極的に発信していただきたいと思います。また、こうした取組を推進するためには、行政トップの強い意志が非常に大切だと思っています。福岡県の小川知事、熊本県の蒲(かば)島(しま)知事などは幸福度指標等を用いながらそれぞれ幸福度日本一あるいは最大化を目指すと宣言されていますし、福井、青森など11県の知事は将来の希望を図る「ふるさと希望指数」を今年度内にまとめるそうです。
 その一方で、最近の報道を見ていますと大村知事のご盟友であられる方々は私が考える首長の行うべき役割を度外視した活動が目立ちすぎている気がしてなりません。
 昨日の代表質問にて我が団の中村友美団長は「県政の究極の目標は県民の幸せの実現であり、知事の心の中心にしっかりと置いていただきたい」と要望され、大村知事は「豊かで県民のみなさまが幸せを実感できる社会を愛知・名古屋で実現する。これが、愛知県政の究極の目標である」と力強く宣言されました。是非とも県民視点からかけ離れることなく、地に足の着いた施策を着実に進めていただきたいと思います。
 次に大規模団地再生について、高蔵寺ニュータウンでは開発以来40年以上にわたって活用されていない約8ヘクタールの県有未利用地があります。これまで土地の有効利用あるいは売却に向け、相当な、相当なご努力をされてこられたことと推察しますが、未だに状況は変わっていません。是非この土地を高蔵寺ニュータウン再生に向けた足がかりにしていただきたいと思います。先ほどの住み替え構想はほんの一例であり、多摩ニュータウンでは団地型シェアハウスや菜園つき共同住宅など様々な取り組みを展開しております。関係者と協議いただきながら有効活用いただくことを強く要望して、私の質問を終わります。