平成24年産業労働委員会(2012.3.13)

【日比たけまさ委員】

若者学習支援人材育成事業、日本版ティーチ・フォー・アメリカについて伺う。
 私は、6月議会、9月議会の委員会でも質問し、10月には小学校での教育現場を視察した。子どもに溶け込もうと努力したり、意見交換において熱意を持って語る若者の様子を見て、私の不安も少し払拭できた。現在の状況はいかがか。

【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
 この事業は、おおむね30歳未満の若年求職者に対して、教育現場での研修を通じて人材育成と就職につなげることが目的である。これまでの経緯も併せ、この事業の現在までの状況を説明する。昨年6月に事業者・NPOの共同提案を公募し、選定委員会で採択した。7月中旬に、若者の募集を開始し、35人の中から選定し、8月から15人を雇用開始した。
 参加者は、8月にNPOによる事前研修を1か月実施した後、9月から12月までの4か月間、県内の小中学校15校で活動した。活動内容は、発達障害等特別な配慮が必要な児童等の対応が中心である。1月は民間企業での職場実習、2月からは事業者が紹介する企業等の採用面接を順次受けているところである。


【日比たけまさ委員】

 本事業については1月をもって一連の事業は終了したと思うが、現時点の評価を伺う。9月議会で質問した際の答弁にあった「若者がどう成長したか」「学校現場で役に立ったか」「安定した就業につなぐことができたか」の観点から回答願いたい。

【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
 現時点での評価であるが、教育現場で子どもたちと向き合うことで若者は人間的に成長したと考えている。多くの若者が自らを良い方向に変わったと評価している。また、受入れ校やNPOも同様の評価である。
 一方、受入れ校から、発達障害児等の対応中心である中、若者が大変良くやってくれたとの声をいただき、多忙な学校現場の課題解決の一助となったと考えている。
 また、NPOは、5か月間、若者の相談相手としてサポートしており、こうしたNPOの関与は、事業者及び若者から効果的と評価されている。
 事業終了後の若者たちの進路については、現在、一部、企業面接の採用結果待ちや試用期間中の方もいるので、最終的な評価はまだできないが、若者の就職先に関する希望が多様であることや、教員になりたいとの思いが強い方が相当数いて、小中学校の非常勤職員になる方や、教職員免許取得あるいは教員採用試験に向けて勉強を開始した方もいることなどが特徴として挙げられる。


【日比たけまさ委員】

 本事業が緊急雇用創出事業基金を活用して実施される以上、着実に次の安定した就業につながるよう実施してほしい。来年度についてはどのように実施するのか。

【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
 来年度も今年度と同様の枠組みで、同人数の15人で実験的に実施する予定である。
 現在、実施にあたって、どういった学校で受け入れ、どのような活動に従事することが、就職により効果的であるかとの点についても、教育委員会等と調整中である。今年度の事業に対して寄せられた現場の声を充分踏まえて、より若者雇用という事業の目的に資するよう、事業内容を改善しながら進めていきたい。


【日比たけまさ委員】

 昨日、ヤング・ジョブ・あいちに立ち寄った。時期のせいか、思った以上に若者が多くいた。知名度が上がってきていることも一因とは思うが、委員会冒頭、部長のあいさつにあったように、若者の就職環境が厳しいこともある。若者は、経験が少なく、実社会の情報が不十分であるので、今後とも、若者の就職支援に全力であたってほしい。
 あいち戦国姫隊について、緊急雇用対策の短期事業としてだけではなく観光事業として予算がついたのは喜ばしいことと思っている。初舞台から7か月が経過したが、この間の評価はどのようか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 あいち戦国姫隊は、演舞やトークなどを中心として、犬山城、岡崎城、清洲城での拠点活動や、県内で開催される市町村等のイベントに参加し、本県の観光PRを行ってきた。
 姫隊が結成されてから約7か月、これらの活動に200件以上出演している。
 市町村や地域観光協会などのイベント主催者からは、来場者への良いおもてなしになった、女性や子どもたちなどを含め幅広い層へのPRになった、イベントなどの集客にも結びついた、など良い評価をしてもらっている。
 県としても、今まで武将に興味のなかった層に対して、武将観光や愛知の観光のPR効果を発揮したのではないかと考えている。


【日比たけまさ委員】

 来年度は、雇用対策ではなく観光施策として予算計上されたことに意味がある。すなわち、来年度は観光振興にどれだけ寄与したかで成果が問われることとなる。リピーターにどれだけ来てもらえるかが成功のカギになることから、本事業は、常に進化し続けなければならない。
 その点から、来年度はどのように取り組んでいくのか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 来年度の活動についてであるが、活動歴は1年にも満たなく、まだまだ知名度が低いことから、武将観光や愛知の観光に関心の薄い人たちにも、更に興味を持ってもらえるようにアピールしていくことが必要である。
 そこで、来年度は引き続き、定期的に行う城での拠点活動も重視して、委員指摘のようにリピーターの確保にも努めつつ、更に活動の機会と場を広げて、具体的には、例えば、首都圏や関西圏において「名古屋おもてなし武将隊」と連携したプロモーションを行うなど、更にPRの相乗効果を高めていきたいと考えている。
 また、更なる誘客を図るため、武将をテーマとした誘客イベントなどを通じて、県内の武将隊や、同じく武将隊を有する浜松や岐阜などの近隣県ともコラボレーションしながら、広域的な誘客促進を図っていきたい。


【日比たけまさ委員】

 姫隊はまだ愛知県内でも知名度が低いので、そういったPRも十分に行ってほしい。
 次に、航空宇宙産業について伺いたい。航空宇宙産業は、本県の次世代産業の大きな柱であり、県の産業労働行政にとって、最も重点的に取り組むべき施策である。
 昨年秋に、最先端航空機ボーイング787を全日空が世界に先がけて就航させたことは非常に大きなニュースとして伝えられ、その機体の35パーセントが、炭素繊維複合材の加工という最先端技術を駆使して、ここ愛知県で生産されていることも大きな話題になった。
 更に、本年10月に、我が国最大の国際航空宇宙展が本県で開催される。このことを住民の方に紹介したところ、航空宇宙産業とは関わりのない方々も一様に興味を持っていた。航空宇宙産業の進展は一般の県民からの期待が非常に大きい。特に、本年は国際航空宇宙展の開催や、昨年指定を受けた「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の具体化、この22日に披露式典が行われるJAXAの実験用航空機「飛翔」の運用による研究開発の本格化など、本県の航空宇宙産業にとって、まさしくエポックメイキングな年であると思う。
 そこで、11月議会の委員会において、平成23年度の取組について質問した際に、昨年秋に開催された航空宇宙シンポジウムに多数の方が参加したと聞いたが、その方々の意見をどのように把握しているのか。また、航空宇宙産業振興のためにどのような施策が必要と考えているのか。

【新産業課主幹(次世代産業育成)】
 航空宇宙シンポジウムに参加した方々には、アンケートをお願いしている。そのアンケートの中に、航空宇宙産業の振興のために必要な施策は何かという項目がある。昨年のシンポジウムは10月と11月の2回行ったが、10月分のアンケートの集計によると、一番多いのが情報提供で20パーセントを占め、その次が人材育成17パーセント、次いで技術支援が15パーセントであった。11月の集計においても、情報提供が第2位で、20パーセントとなっており、航空宇宙産業に関する情報提供が大切な事業ではないかという結果であった。


【日比たけまさ委員】

 平成24年度の取組にはどのような特色を出しているのか。更に、航空宇宙産業に関する県民へのアピールについて、どのように取り組んでいくのか。

【新産業課主幹(次世代産業育成)】
 平成24年度においても、これまで行ってきた情報提供や技術研修などにより、県内中小企業の参入を支援していく施策は継続して実施していくが、本年10月に「2012年国際航空宇宙展」が本県で開催され、世界中から関係するビジネスマンが数多く本県に来訪することを踏まえ、海外への販路拡大支援に焦点を当てて取組を進めていきたいと考えている。
 具体的には、海外企業とのネットワークを持つ方をコーディネーターとして活用し、海外企業との事前交渉の指導、国際航空宇宙展での商談への同行、あるいは商談後のフォローアップの支援を行うことなどを計画している。
 また、国際航空宇宙展に、できるだけ多くの方々に参加してもらうために、本県、名古屋市、経済団体等で支援会議を設置し、県民の皆さん、特に次代を担う若い方々への広報等、地域が一体となって実施していきたいと考えている。