本年11月16日から18日にかけてメッセナゴヤ2022が開催され、数年ぶりに会場を訪問した。訪問した一番の理由は、地元の企業数社から誘いを受けたことであるが、そのほかにも、ウィズコロナの中、どれぐらいの熱量が会場にあるかを直接肌で感じたかったこと、そして、本年10月にオープンしたポートメッセなごや新第1展示館を見てみたいという思いであった。
メッセナゴヤは業種や業態の枠を超え、幅広い分野、地域からの出展を募り、出展者と来場者相互の取引拡大、情報発信、異業種交流を図る日本最大級のビジネス展示会であり、主催者は名古屋商工会議所、名古屋市及び本県である。
そこで、メッセナゴヤの開催に当たり、県はどのような役割を果たしているのか。
【産業振興課長】
メッセナゴヤは本県の産業振興を目指して、経済界と連携して製品、技術やサービス情報はもとより、様々なビジネスチャンスを幅広く国内外に提供する場として、2005年日本国際博覧会の余剰金をベースとして平成18年から開催しており、本年で17回目である。
開催主催者は事務局を務めている名古屋商工会議所を中心とし、本県、名古屋市の三者で構成するメッセナゴヤ実行委員会が担っており、知事も顧問として参画している。構成員である三者においては、開催に向けて毎年負担金を拠出しており、本年は1,000万円の負担金を拠出している。
また、メッセナゴヤの開催に向けて、幹事会において開催に向けた準備や広報協力などを検討するとともに、メッセナゴヤ実行委員会において事業計画の承認を行うなど、三者で連携して進めている。
会場では、本県としても様々なブースを出展していたが、どのようなブースを出展していたのか。あわせて、代表的なものについて、出展に当たりどのような狙いがあったのか。
【産業振興課長】
このイベントは、我が国最大規模の異業種交流展であり、製造業をはじめ住宅や建設、情報通信、小売、サービスなど、様々な業種の人が一堂に会するまたとない機会である。そのため、県施策の紹介や周知を効果的に行う場として、県からも多くのブースを出展している。
代表的なものとして、産業振興課が出展した愛知ブランド企業のブースにおいては、愛知ブランド企業の認定に関する施策の紹介を行うとともに、愛知ブランド企業から日替わりで毎日2社ずつ出展してもらい、商談や人材確保につながるような各企業の技術提案や商品提供を行った。
また、就業促進課が出展したヤング・ジョブ・あいちのブースにおいては、就職を考えている学生の企業研究、業界研究の場としてメッセナゴヤを活用できるよう、来場した学生等に対して効果的な企業ブースの訪問方法について助言をするとともに、就職活動における相談なども行い、企業と直接交流できるようにした。
本年度については、経済産業局や労働局など5局から、県関係機関も含め11ブースが出展し、県の施策を周知するとともに、施策で支援した企業のPRなどを行った。
今回の取組に対する成果・実績はどうか。今後につながる点があれば、その点も併せて伺う。
また、メッセナゴヤ2022を終え、今回の開催を県としてどのように評価しているのか。
【産業振興課長】
本年度のメッセナゴヤ2022は、昨年度に引き続いてリアル展示会とオンライン展示会を融合したハイブリッドの展示会として開催した。リアル展示会の来場者は、本年3日間で目標の4万人を超える4万1,455人が来場し、昨年が4日間で3万6,868人であったことを考えると、多くの人に来場してもらえたと考えている。
また、出展者からは、具体的な見積りの依頼につながった、異業種の事業者や県外の事業者と交流ができ商談の機会が増えた、出展者同士の交流会があってブースを気にせずに情報交換ができる場があったという声を聞いた。
さらに、本年から新しくできたポートメッセなごや第1展示館での開催となったことから、会場を移動しなくてもよく、回遊性が高まったという声も聞いた。
ヤング・ジョブ・あいちのブースを訪れた学生等は約600人であったが、学生等に対するアンケートでは、満足したという回答が86.8パーセントに及んでおり、全く知らない分野の企業からの話が聞けた、企業の空気感に触れてイメージが湧いてきたなどの声を聞き、企業及び業界研究の幅が広がったことが伺える。
その一方、新会場で初めて開催したため、細かな問題は多く生じていた。今回の開催結果を踏まえ、実行委員会等において今後の課題の洗い出しをしっかり行い、来年度の開催に向けて、よりよい展示会になるよう進めていきたい。
来場者数は、昨年に比べてかなり増えた。コロナ禍以前に比べると、出展者は減らしているためまだ少ないが、私は、会場を訪問してかなり熱意を感じ、多くのブースでは様々な商談が行われていた。様々な目的を持った、あらゆる分野の人が一堂に会し、交流することで、思いもよらない効果も出てくると期待しているため、県としても絶好のアピール機会として活用し、より盛況なものにしてほしい。
そして、ポートメッセなごや新第1展示館は、2万平方メートルある日本最大級の柱のない空間の展示場で、実際に足を踏み入れると、解放感あふれる空間という印象を受けた。
また、金城ふ頭駅が金城ふ頭駐車場と歩行者デッキで結ばれ、来場する人にとって、すごく利便性が高まったと感じた。
一方、出展者からは、バックヤードの使い勝手が悪くて、Aichi Sky Expoのほうがよいとの声も聞いた。
いずれにしても、ポートメッセなごやは今後、既存の第2、第3展示館も建て替えて大型化し、MICE機能を大幅に強化する計画もあると聞く。
Aichi Sky Expoを所有する県として、ポートメッセなごやをどのように見ているのか。
【国際展示場室長】
本年10月、ポートメッセなごやでは、新第1展示館が開館したことにより、総展示面積が4万平方メートルとなった。6万平方メートルの展示面積を持つAichi Sky Expoと合わせた展示面積は10万平方メートルと、首都圏に匹敵する規模となっている。愛知・名古屋地域においては、これにより、これまで開催できなかった規模の展示会や、同じ時期に複数の大規模展示会を開催できるようになった。
本県ではこれまで、名古屋市等と設置している愛知・名古屋MICE推進協議会とも連携し、愛知・名古屋へのMICE誘致に取り組んできた。
Aichi Sky Expoには国際空港直結、常設の保税展示場といった特徴があり、ポートメッセなごやとは展示面積の広さや立地など、様々な点が異なっている。イベント会場の選定に当たっては、主催者が展示会やイベントの内容に応じて判断することとなるが、今後ともAichi Sky Expoとポートメッセなごやが互いに切磋琢磨しながらMICE誘致に取り組んでいきたい。
Aichi Sky Expoの状況について、令和2年9月定例議会の経済労働委員会で同様の質問を行い、当時は開業初年度は想定稼働率15パーセントに対して24パーセント、約5,700万円の営業利益と、想定を大きく上回る滑り出しを見せた一方、新型コロナウイルス感染症の拡大により、令和2年度に入ってからは、県の緊急事態宣言発出に伴う臨時閉館をはじめ、大変厳しい状況が続いているといった趣旨の答弁があった。
その後、一定期間ごとの新型コロナウイルスの感染拡大の波が訪れた2年間を振り返ると、描いていた事業展開ができない状況が続いていると思う。実際に、稼働実績や経営状況はどのようになっているのか。
【国際展示場室長】
Aichi Sky Expo展示ホールの稼働率については、開業初年度である2019年度の実績は24パーセントであったが、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、12.6パーセントであった。
昨年度も緊急事態措置の適用など厳しい状況が続いており、感染防止対策を取りながら、そうした中でも催事が少しずつ回復してきた状況である。
昨年度は、全館6万平方メートルを使用した食品工業展・FOOMA JAPANなどの産業展示会、あるいは、ロボットに関する国際的なイベント、World Robot Summitやロボカップアジアパシフィック2021あいち、コンサート等の様々な催事が開催された結果、展示ホールの稼働率は16.5パーセントと、令和2年度を上回ることができた。
また、Aichi Sky Expoの運営事業者である愛知国際会議展示場株式会社の展示場運営に関する昨年度の収支であるが、営業収益は約9億3,400万円、営業費用が約7億5,200万円であり、営業損益は約1億8,200万円の黒字であった。
本年度に入り国は、ウィズコロナに向けた段階を一つずつ進め、10月には入国者数の上限も撤廃された。今後はAichi Sky Expoを利用した各種イベントをどんどん展開してほしい。もちろん、大型イベントの開催には相当の時間を要するため、すぐにスケジュールが埋まることは難しいと思うが、Aichi Sky Expoの特徴を生かした、国際規模の見本市や展示会も視野に入れるときがようやく来ていると考える。
最後に、今後の稼働予定及び営業展開について伺う。
【国際展示場室長】
新型コロナウイルス感染症の感染拡大については、依然として先が見通せないものの、今後も経済活動との共存を目指すウィズコロナが社会的には一層進んでいくと考える。
そうした中、Aichi Sky Expoでは、本年度、新たな催事として、4月には名古屋モーターサイクルショー、6月にはROBOT TECHNOLOGY JAPANといった展示会が開催されている。Aichi Sky Expoにおいて継続して開催してもらえるよう努めていきたい。
こうした中、来年度は名古屋モーターサイクルショー、技能五輪全国大会及び全国アビリンピックなどが開催されるほか、2024年3月には、県とGL eventsとで開催の覚書を締結しているグローバル・インダストリー日本版、SMART MANUFACTURING SUMMIT BY GLOBAL INDUSTRIEの開催が予定されている。
今後も、産業首都愛知の新たな交流、イノベーション拠点の創造に向け、主催者に対して、これら産業展示会の開催実績もセールス材料として活用するなど、新たな産業展示会の開催の働きかけをしていきたい。
また、3密の回避が引き続き求められることや、水際対策の緩和による海外との交流が回復することなどが想定されることから、屋外にある多目的利用地や国際空港直結常設保税展示場という特徴を生かしながら、催事の誘致に引き続き取り組んでいきたい。
なお、本県ではAichi Sky Expoの利用を促進するため、県が主催に関与する催事をはじめとして、BtoB商談を含む展示会や、国際的な催事などの民間催事を対象にした会場利用料金に対する助成制度、あるいは大規模な産業展示会、国際的な催事への主催者支援のためのシャトルバスの運行に対する補助も実施している。こうした主催者への開催支援も活用しながら、Aichi Sky Expoの一層の利用促進につなげていきたい。