平成25年地域振興環境委員会(2013.12.11)

【日比たけまさ委員】

 愛知環状鉄道の設備改修助成について伺います。県は平成24年度、25年度と愛環設備改修工事の助成を行っております。
 私は平成24年2月定例会で、補助金の必要性と愛環の経営状態について確認し、近年黒字と赤字が交互する不安定な経営状況が続く中、今後10年にわたり毎年数億から10数億円の大規模な設備改修、設備投資が必要となるため、県として必要度、緊急度の高い設備改修について助成を行うという回答をいただきました。
 そこでまず、平成24年度の設備改修について伺います。24年度の補助対象事業費は全体で1億4千万円と聞きました。一方、愛環の24年度決算の損益計算書をみると約9千万円の補助金が計上されておりました。さらに、県が助成した金額は1,800万円強であります。どのような算定の下で県の補助金が導き出されたのか。また、必要度、緊急度の高い設備改修はどのように判断されたのか伺います。

交通対策課
 愛知環状鉄道設備改修費補助金に関し、まず平成24年度の補助金額の算定についてですが、24年度の補助対象事業費については、当初予算ベースでは委員の言われたとおり約1億4千万円でありましたが、工事材料の変更等に伴い補正を行い、約1億1千万円となっております。補助率は国、地方それぞれ3分の1ですので、地方の負担額は1億1千万円の3分の1で約3,670万円となります。これを県と沿線4市で折半しますので、県の負担分はこの3,670万円の半分、約1,835万円となったものであります。
なお、会社の決算書に計上された補助金の額についてですが、国においては、県及び沿線4市が補助対象としていないレール交換等や、信号保安設備の修繕等についても補助対象としておりますことから、補助額は総額で約5,340万円となっており、これに先ほどの地方負担分、約3,670万円を加えた合計の額で約9千万円となっているものです。
 次に、補助対象とする必要度・緊急度の高い設備改修の判断についてですが、愛環の施設・設備の多くは、旧国鉄などから無償で譲渡されたもので、築後40年以上が経過しており、改修・取替の時期を迎えております。特に、著しい劣化による高架橋のコンクリート剥離箇所に対する修繕工事や、近年頻発しております集中豪雨災害による盛土部分の崩壊を防止するための法面改良工事、緊急輸送道路と交差する橋梁(架道橋)が地震発生時に道路上に落下しないよう桁受けを設置する落橋防止工事など、耐震や安全・安定輸送の観点から、特に緊急性を有すると判断される対策を優先的に、補助対象事業として選定したものであります。

【日比たけまさ委員】

 今年度にも24年度と同額程度の補助金が計上されています。今年度の補助対象事業の全体概要と県が助成する工事内容について同様に伺います。
 また、今後について。愛環の中期経営計画では大規模な取替修繕が見込まれ、年度によっては経常赤字となるものの、累積損益は黒字を維持すると謳われています。次年度以降の補助金の必要性について県としてどのように考えているのか伺います。

交通対策課
 25年度の補助対象事業についてですが、内容は24年度と同様、老朽化対策、耐震対策が中心で、高架橋の剥離修繕や法面改良、落橋防止などの工事を、別の場所や箇所において実施しているところであります。
 さらに、今後につきましても、会社では、安全・安定輸送の確保のため、必要な対策をできる限り早急に進めていくこととしておりますが、県の補助金につきましては当面、26年度までの3年間とされており、27年度以降の対応につきましては、会社の経営状況などを見ながら、改めて検討することが必要であると考えております。

【日比たけまさ委員】

 平成24年度の補助対象事業費の約1億1千万円と補助金額9千万円の差額2千万円は何でしょうか。

交通対策課
 1億1千万円は、国と地方の双方が補助対象としている補助対象事業費であり、国ではこの1億1千万円の事業以外に、地方が補助対象としていない事業も補助対象としており、それらを合わせた国補助額が約5,340万円で、地方補助額の約3,670万円との合計の補助額が約9千万円となっているものです。
そのため補助額9千万円と補助対象事業費約1億1千万円は、直接リンクはしておりません。

【日比たけまさ委員】

 26年度の補助金の見込みはどのようになっているのでしょうか。

交通対策課
 24、25年度に引き続き、高架橋の修繕など老朽化対策、耐震対策を中心に実施する見込みです。

【日比たけまさ委員】

 今年9月27日、愛環山口駅の近くにある南山大学が2015年4月に理工学部及び理工学研究科を、2017年4月に総合政策学部および社会科学研究科総合政策学専攻を名古屋キャンパスに移転する計画を発表しました。愛環沿線には多くの大学や高校が存在し、学校へ通う通学利用者が同様の輸送人員に大きく寄与するなか、今回のキャンパス移転は愛環の経営にも少なからず影響を及ぼすと考えます。この点における県の捉え方と、今後の利用促進策について伺います。

交通対策課
 南山大学瀬戸キャンパスは、平成29年度までに昭和区の名古屋キャンパスに統合すると公表されております。瀬戸キャンパスには現在、約2,500人の学生が在籍し、そのうち約300人の方が愛環で通学していると推定されており、キャンパス移転による利用者減少の影響は、1日当たり往復で600人程度、年間で16万人程度と想定されます。
 これに伴い、収益面では概ね2,000万円から3,000万円の減収が見込まれますが、会社の24年度の運輸収入34億円余を基準としますと、1%に満たない規模であり、経営への影響はさほど大きくないものと考えております。
 また、利用促進策につきましては、ダイヤの充実など利便性の向上を図ることを始め、会社、県及び沿線4市で構成する愛知環状鉄道連絡協議会において、愛環沿線ウォーキング、沿線駅での花いっぱい運動、乗換マップの作成・配布、沿線立地企業等の協力による夏休み親子教室など様々な取組を行っており、今後も引き続き、しっかりと取り組んでいく必要があるものと考えております。

【日比たけまさ委員】

 輸送力強化策について。本年2月定例会において、平成27年度を目途に昼間時間帯について、時間あたり3本を4本に拡充する方向で検討を進めているとの回答がありました。また、   ICカードのシステムにおける課題の整理、導入についての検討を行うとのことでありましたが、状況はどのようになっているのか伺います。

交通対策課
 まず、輸送力強化についてですが、会社では、平成24年2月に策定した中期経営計画において、27年度を目途に昼間時間帯の運行本数を時間4本へと拡充するとしており、現在、要員の養成などを含め準備を進めているところであると聞いております。
 また、ICカードの導入につきましては、中期経営計画では、多額の初期投資やランニングコストの負担、JR線との連絡運輸の調整など多くの課題があるため、関係者と検討を進めることとされており、現在、会社を中心に本県及び沿線4市を交えて、課題の整理、導入に要する事業費、収支見通しなどについて、協議・検討を進めているところであります。

【日比たけまさ委員】

 運賃について。開業以来運賃の値上げは消費税導入時の平成元年4月と税率引き上げの平成9年4月の2回であります。来年4月の消費税率引き上げによって、愛環の運賃はどのようになるのでしょうか。また、リニモについても併せて伺います。

交通対策課
 消費税の税率引上げへの対応につきましては、国土交通省から、「利用者が公平に負担すること」を基本に、「税率引上げ分については、運賃への転嫁を基本として対処する」、「端数処理については、合理的かつ明確な方法により行うこととし、現行の運賃体系を踏まえつつ、事業全体として105分の108以内の増収となるよう調整する」などの基本的な考え方(「公共交通事業における消費税の運賃・料金への転嫁の方法に関する基本的な考え方」)が示されており、愛環、リニモともに、こうした国の方針に基づき、運賃に適正に転嫁することを基本として、国の認可に向けて検討を進めているものと聞いております。

【日比たけまさ委員】

 愛知環状鉄道は今や年間利用客数がほぼ1500万人に達するまでに成長し、西三河および尾張北東部地域の足のみならず、名古屋圏の環状線を形成する重要な社会基盤となりました。
そして、私見でありますが、14年後に開業するリニア新幹線を契機とした交通インフラ整備の中で、私は名駅から豊田まで直結する路線として愛知環状鉄道のさらなる活用が図れないかと思っています。
現在でも、JR中央本線直通列車で名駅から高蔵寺、豊田経由岡崎行きの列車が運行されております。かつて愛知万博が開催された時の「エキスポシャトル」のように大々的にPRできないかとも考えます。現在同線を利用すると名駅から豊田まで約1時間程度の時間がかかりますが、愛環は国鉄時代より大部分が複線として計画されていたことから、用地等はほぼ確保されており高速化も十分可能と考えます。
名鉄が名駅から豊田までの直通特急を計画するという新聞報道もありましたが、いずれにしても、将来に向けてポテンシャルを秘めた愛知環状鉄道が今後、自立安定した経営を行えるよう、県への取り組みを要望して質問を終えます。