通告に従い順次質問します。
1つ目の項目として、将来世代の利益を考える計画策定について、あいちビジョン2030および第5次愛知県環境基本計画をもとに伺います。私は4歳と1歳の子を持つ父親です。議場のみなさまにもかわいいお子様やお孫様に囲まれている方がたくさんいらっしゃいます。みなさんはそんなご家族の将来を考え、様々な支出を今からされていると思います。こうした気持ちが家庭にとどまらず、現在世代と将来世代との間にも成り立つことができないか。この点について少しみなさんと考えたいと思います。
私たちが直面する政策課題は世代を超えた長期的な時間軸で考えるべき問題がたくさんあります。例えば地球温暖化や財政の持続性といったものや、橋や道路、上下水道の管理といったインフラ計画などがあり、時間軸が数十年~百年単位となる世代間問題とも言えます。
世代間の問題というのは、私たちすなわち現在世代がコストを支払ったとき、現在世代がリターンを得るのではなく、数十年先または百年先の将来世代が大きなリターンを得るという構造になります。ここで問題となるのが、現在世代はこのコストが大きいことがわかると、将来世代のためにコストを引き受けようと思えなくなることです。さらに、意思決定をするのは私たち現在世代であって、将来世代は現在の意思決定に参加することができません。従って、将来世代の利益を適正に守ることは決して容易ではないのです。
このジレンマを解決しようとするワークショップ技法がフューチャー・デザインです。将来世代の利益を守る人がいないのであれば、「なったつもり」の人間を作って代理をさせる。つまり将来世代のロール・プレイをすることで、思考経路や視点を変化させ、結果、本当に将来世代の利益のために考え、行動するようになる。これがフューチャー・デザインの手法です。
望ましい将来像(=ビジョン)を描き、そのビジョンを達成するための道筋を逆算して現在世代の利害に合致させる技法、いわゆる「バックキャスティング」という言葉の方が行政や経営に携わる方にはなじみのある言葉かと思います。私はこの2つを基本的には同じ枠組みととらえていますが、フューチャー・デザインは、現在の状況にとらわれることなく、あるいは完全に切り離して将来を描くことから、より純粋に将来世代の利益を考えられるのではないかと思っています。
2015年に行われた岩手県矢巾町での住民討議によって、フューチャー・デザインは注目を浴びるようになりました。ランダムに選ばれた矢巾町の住民が「現在世代グループ」と「将来世代グループ」に分かれ、町政の将来ビジョンを議論することとなり、将来世代グループは2060年に生活する住民になったつもりで町政を論じるなか、当時黒字だった上水道事業についての議論で事態は発生しました。現在世代グループは水道料金を値下げして黒字を住民に還元することを主張する一方、将来世代グループは上水道の設備更新の投資のために資金を蓄積する必要があることを重視し、水道料金の値上げを主張しました。矢巾町はこの討議ののち、現実に水道料金を値上げすることとなります。
今、中央省庁、都道府県、市町村では同様の手法を用いて住民や職員の間での議論が実施され始めています。私も先日、京都府宇治市が主催したフューチャー・デザイン シンポジウム「宇治の今と未来を地域からつくる」にオンライン参加しました。当日はこの手法を提唱する高知工科大学の西條辰義教授、岩手県矢巾町職員、宇治市職員、市民団体フューチャー・デザイン宇治の方がそれぞれの取組を説明し、最後にパネルディスカッションが行われました。矢巾町では紹介した住民討議をさらに深化させ、町の総合計画策定にも住民によるフューチャー・デザインのワークショップを取り入れ、66件の提言中55件を計画に反映したそうです。また、宇治市でも今後策定する総合計画に住民の声を出来るだけ反映したいと考えているそうです。
こうした取組はまだ一部の自治体で始まったばかりですが、各種計画を策定する上での重要な視点であり、大変興味深いものと考えます。
本県では11月16日に、県の総合計画とも呼べる「あいちビジョン2030」を公表しました。この計画は2040年頃の社会経済を展望する形で作られています。
そこで、2040年頃の社会経済の展望はどのように行ったのか。また、将来世代の利益についてどのようにアプローチしていくのか伺います。
次に現在策定をしている第5次愛知県環境基本計画について伺います。「世代間問題」でよく取り上げられるのが環境問題です。大阪府吹田市では本年2月に公表した吹田市第3次環境基本計画策定にあたり、昨年3~8月に計4回のフューチャー・デザインワークショップを行い、地域の声を反映しました。市の担当者は実施の効果として、「参加者が仮想将来人になりきったことで、将来を自分事として考え、現世代と将来世代の双方の利益について、俯瞰的な視点を持つことができるようになった。」とまとめています。環境問題は私たち一人一人が将来世代に向けて自分事として考えなければならない問題です。
話は変わりますが、みなさんは「Z世代」という言葉をご存じでしょうか。アメリカで1960年代から1980年頃までに生まれた世代のことを「X世代」と名付けられたことに始まり、1980年~1990年代前半生まれが「Y世代」、1990年代後半から2000年代前半生まれが「Z世代」と呼ばれています。マーケティングにおいて、様々な消費傾向を捉えるために用いられる消費者群で、世界では最も影響力の大きい購買層として注目を集めています。
20年以上にわたりトレンドや消費者動向などの調査を手掛け、大手企業の商品戦略などに活用されている、米国のコーン・コミュニケーションズ社が行ったCSRに関する動向調査(Z世代の男女1000人対象)によると、Z世代の約94%が「企業は社会的・環境的課題に取り組むべき」と考え、さらに、98%は地球環境の保護に関心を持つということがわかりました。早い段階から「リサイクル」や「ダイバーシティ」といった教育を受けて育っているため社会的な関心が非常に強い、これがZ世代の特徴のひとつと言われています。
日米のZ世代が“必ずしも同じ傾向”とまで言えないと思いますが、いずれにせよ、経済・社会活動も含め、環境への取組が私たちの生活の中心として捉えられる時代に変化していくわけで、この時期にあいちビジョン2030に沿った環境分野における長期的な目標及び施策の方向を示す第5次愛知県環境基本計画を策定することは大変意義深いものと考えます。
そこで、現在策定している本計画について3点伺います。
始めに、計画策定において現状をどのように捉え、また新たな課題をどのように考えたのか伺います。
次に策定の過程において、県民の声をどのように織り込むとともに、県民に環境問題を自分事として考えてもらうようどのような取組を計画に盛り込んでいるのか伺います。
最後に、企業との連携について伺います。従来の環境行政は規制が中心でありましたが、今後は企業との連携がより重要になると思います。県の考えを伺います。
2つ目の項目として、自殺対策および情報モラル、安全なSNS利用について伺います。
本年9月14日、自殺者の増加にかかる緊急メッセージが大村知事から発表されました。自殺者数は全国で3万人を下回った平成23年以降、右肩下がりで減少していたことから、8月速報値の本県119人、前年同月比46人、63.0%増という内容には大きな衝撃を受けました。これが突発的な事象であればと願い、その後の推移を見守っていましたが、9月は対前年38人増の111人、10月も対前年43人増の127人とその傾向は変わっていません。全国の数字で見ても、本年は1月~6月まで対前年マイナスで推移していましたが、7月に増加に転じてから8、9、10月と同様の結果となっており、特に10月の自殺者数2158人は2018年3月以来の1カ月の死者数が2000人超えとなってしまいました。
10月21日、厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺対策推進センターが「コロナ禍における自殺の動向に関する分析(緊急レポート)」を公表しました。報告書には現時点の分析は不十分のものとならざるを得ないが、現時点で分かったことだけでも早めに公表すべきと判断して中間報告を行うことにしたと記載されています。それほど、ここ数か月の状況を危惧しているといえると思います。
そこで、まず自殺の現在の状況について、県としてどのような認識でいるのか伺います。
次に、緊急レポートでは政府の各種支援策が自殺の増加を抑制している可能性があることについて触れられており、なかでも緊急小口資金と総合支援資金をパッケージと捉え、政策の有効性が示唆されたと記載しています。そこで、これらの申請件数はどのように推移しているのか、また県として周知がいきわたるようにどのように取り組んでいるのか伺います。
次に、相談窓口の対応状況及び周知について伺います。最近、著名人の自殺に関する報道の際、支援先の情報が表示される事例を目にします。これはWHO(世界保健機関)による『自殺報道ガイドライン』に則り行っているもので、センセーショナルな自殺報道により自殺が増える現象「ウェルテル効果」を懸念して行われているものです。
一方、SNSが普及した現在では、みんなが同じ情報を同じように取り入れる「マスメディア」から、自分の興味がある情報が自動的に届く「パーソナライズ」世界に変わりつつあります。そして、SNSで見たい情報だけを見る「フィルターバブル」が繰り返されることで起きる思想の偏り「エコーチェンバー現象」が問題になっています。もし、自殺についての情報を取り入れるうちに、より踏み込んだ情報ばかりが目に触れるようになるとしたら…デジタル時代のウェルテル効果はより深刻だと思われます。
だからこそ、時代に即した県の新たな試みとしてSNS相談事業に取り組んだことは大いに意義があり、私もFaceBook、Twitter、ブログに掲載し、周知させて頂きました。
ただ、欲を言えばこの事業がSNS時代に対応した周知、例えば一部自治体で実施している「自殺」「死にたい」などの検索結果に呼応して相談窓口の情報を表示するような形で真に必要な人に伝わることを願ってやみません。また、11月23日の朝日新聞によると、国では2018年にSNSを使った自殺防止の相談事業を始め、初年度の相談延べ件数約2万3千件が19年度には約4万5千件に倍増し、実施主体の一つであるNPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」では、「相談員を増やしても対応が追い付かない状況」と国へのさらなる支援を訴えているそうです。本県においても本事業の状況をしっかり分析し、必要とあらばさらなる対応も望まれます。
そこで新たに開始した「SNSによる相談事業」はどのような状況か、また、こうした相談窓口をどのように周知していくのか、県の考えを伺います。
ここからは、情報モラル、情報リテラシーおよびSNS利用に際しトラブルに巻き込まれないための取組について伺います。
先ほど触れた「フィルターバブル」、「エコーチェンバー現象」も含め、インターネットを利用する際の「光」と「影」、ルールやマナーを守ることの意味等を考える情報モラル、情報リテラシーが大変重要です。また、ここまで取り上げてきた自殺の問題において、本年5月、SNS上の誹謗中傷が原因と思われる大きな事件も発生しました。
総務省は本年8月、「インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関する緊急提言」を発表し、9月には「インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ」をとりまとめ、総合的な対策として4点、
1 ユーザーに対する情報モラル及びICTリテラシーの向上のための啓発活動
2 プラットフォーム事業者の自主的取組の支援と透明性・アカウンタビリティの向上
3 発信者情報開示に関する取組
4 相談対応の充実に向けた連携と体制整備
を推進することとしています。
このうち3「発信者情報開示に関する取組」に関しては、被害者救済と表現の自由への配慮というバランスを考慮しながら、電話番号を開示対象に追加する省令改正の実施を8月に行い、11月13日には煩雑で負担が大きい開示手続きを軽減するため、新たな裁判手続きの創設を柱とする最終とりまとめ(案)を公表しました。
また、2「プラットフォーム事業者に対する働きかけ」として、誹謗中傷対策の実施や有効性の検討を促すとともに、事業者からの報告等による各社の状況把握や評価方法についての検討が行われています。例えば、YAHOO等が会員となる一般社団法人セーファーインターネット協会では、個人の被害者から誹謗中傷情報が掲載されたサイト情報等の相談を受け付け、内容確認の後、コンテンツ提供事業者やプロバイダ等に削除等の措置を依頼する「誹謗中傷ホットライン」を本年6月に創設しました。
また、TwitterJapan等が会員である一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構が本年4月に設立され、先日、SNSの誹謗中傷に関する動画#NoHeart NoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない)が政府広報にて配信されました。
広報や啓発という観点では、1「情報モラル及びICTリテラシーの向上のための啓発活動」のなかで、「インターネットトラブル事例集」の作成や「e-ネットキャラバン」の講座を通じてインターネット上の誹謗中傷について教育現場への周知に取り組んでいます。
そこで、学校現場では情報モラルやICTリテラシーについて具体的にどのような教育が行われているのか伺います。
次に家庭におけるSNSの取扱いに関する取組について伺います。内閣府の調査によると、2019年度のスマホ利用率は小学生37.6%、中学生65.6%、高校生91.9%となっています。
先ほど学校現場での取組について伺いましたが、言うまでもなく子ども達がスマホを最初に手にするきっかけは家庭であり、早い段階から安全な使い方、正しい利用法等を保護者が伝えるとともに日進月歩するSNSについて保護者の知識もアップデートする必要があります。
そこで、SNS利用の際起こりやすいトラブルに青少年が巻き込まれないため、県としてどのような啓発活動を行っていくのか伺います。
3つ目の項目として、オオキンケイギクの駆除について伺います。ご存じの方も多くお見えの事と思いますが、議長のお許しを得ましたので、始めにオオキンケイギクの花をご覧いただきたいと思います。
オオキンケイギクは北米原産の多年草で、高さは30cm~70cm、5~7月にかけて黄色のコスモスに似た花を咲かせます。名前の由来は花の色を金鶏(黄色の鳥)に見立てて名付けられたと言う説と、金色に輝き、花の形が鶏の鶏冠(とさか)に似ているからと言う説の2つがあるようです。また、花言葉は「いつも明るく」「きらびやか」。本当にきれいな花です。
明治時代中頃から観賞用に輸入されるようになり、価格も安く、荒れ地でも強く繁殖できるために戦後には道路や堤防などの法面緑化に積極的に使用されたり、苗が販売されたりしていました。しかし、あまりに強く、いったん定着してしまうと在来の野草の生育場所を奪い、周囲の環境を一変させてしまうため、平成18年に外来生物法に基づく特定外来生物に指定され、生きたままの運搬や栽培、譲渡などが原則として禁止されました。
さて、今回この話を取り上げたきっかけは、本年5月、地域の方からいただいた「春日井市内の河川にオオキンケイギクが咲いており駆除してほしい。ここ数年、生育範囲が拡大しているように感じる。放っておいたら大変なことになる。」このような声でした。
早速、河川を管理している尾張建設事務所に問い合わせをしたところ、「オオキンケイギクの生育について把握はしている。しかし業者への発注にも限りがあるため、まずは今、マーキングしている部分についてしっかり対応したい」といった趣旨の回答でした。
そこで、始めに河川におけるオオキンケイギクの生育状況について、河川管理者としてどの様に把握し、また生育が把握された場合の駆除等の対応状況について伺います。
次に、この問題について環境局に問合わせたところ特定外来種の広報啓発は行えるものの、駆除については土地の管理者の責任において駆除をお願いしているとのことで、こちらも対応が困難なことが判明しました。
なんとか駆除はできないかと困っていたところに、数日後「春日井市の建設部・環境部と県の建設局・環境局の職員、またコロナ禍で大人数は難しいものの地域住民も加わって八田川の駆除作業を行う」との連絡が入りました。そして6月18日、県職員10名、市職員13名、地域住民11名プラス私の計35名で作業を行いました。
当日はあいにくの天気となり、雨で途中切り上げる形となったものの、1時間で90ℓゴミ袋が140袋、計940kgの刈り取りが行えました。ただ、予定区域の駆除が出来なかったことから、翌週、県、市の職員総勢37名でさらに1,450kgの駆除を頂きました。ここで、駆除前の河川の様子と駆除後の様子をご覧いただきたいと思います。
ただ、実際には花がついているものは駆除できたものの、小さな葉の状態のものまで駆除しきれませんでした。そこで11月8日、かすがいクリーン大作戦に合わせて3回目の駆除活動が行われました。当日は県職員5名、市職員12名、地域住民40名と私の58名で小さな葉の駆除を行いました。この日の収量は360kg。前2回と比べ重量は少ないものの、花が咲いて大きく成長したものと小さな葉ではひとつあたりの重量が全く異なり、駆除した数は相当な数であったと思います。ただ、この時もすべて駆除できたわけではなかったことから、後日、建設局の職員の方がさらに作業頂いたと伺いました。みなさまにはこの場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございます。
かすがいクリーン大作戦は、自分の地域は自分できれいにするという考えのもと、多くの市民の方々と協働で快適な住みよい生活環境を実現することを目的としており、例年春と秋に行われる市民に定着している清掃活動です。このタイミングに行うことで駆除活動の継続が期待されます。というのも調べると駆除には数年必要と言われており、実際の作業を通じて、改めてそのことがわかったからです。市では来年度も春と秋のかすがいクリーン大作戦に合わせて、地元住民を中心とした取組として継続したいと考えています。
そこで伺います。オオキンケイギクのような特定外来生物の対策については、まず、県民の特定外来生物についての正しい理解の普及のほか、地域との協働も重要と考えます。県の特定外来生物への対応状況及び考えについて伺います。
(政策企画局長)
(環境局長)
(環境局長)
(環境局長)
(知事)
(保健医療局長)
(福祉局長)
(保健医療局長)
(教育長)
(県民文化局長)
(建設局長)
(環境局長)