環境分野における企業との連携について伺う。
本年2月に行われたSDGs AICHI EXPO2020において、企業とどのような連携をしたのか。また、本年10月に開催予定のSDGs AICHI EXPO2021ではどのような取組を行うのか。
【環境政策課担当課長】
SDGs達成には、企業をはじめとする多様な主体がSDGsを理解し主体的に行動する必要があるため、主体間のパートナーシップの構築や行動変容のきっかけづくりを目的に、SDGs AICHI EXPOを開催している。このエキスポは、県をはじめ経済や学術団体、NPO、国際機関等から成る実行委員会を設立し、各主体と連携して開催している。
オンライン開催となったSDGs AICHI EXPO2020では、本エキスポの公式サイト上に42の企業がSDGsの取組をPRした。また、オンラインイベントとして、池上彰氏によるSDGsに関する講演や、水素エネルギー社会実現に向けたシンポジウム等を開催し、約2万1,800人の視聴があった。
本年度は県国際展示場で10月22日及び23日の開催に向け、現在、ブース出展する企業や協賛企業を募集している。本年度のテーマは、地球・まち・ひとが共生できる社会へ、多世代パートナーシップでつくるSDGsあいちである。
昨年度、開催がオンラインとなったことにより実現が難しかった各主体のネットワーク構築に向け、出展者同士で優れたブースや取組内容を投票し、互いの活動を知る機会を通じてパートナーシップを構築したいと考えており、連携を重視したSDGs推進フェアとしたい。
企業ではESG経営をはじめ環境分野への取組に関心が高まっており、意欲のある中小企業も多い。本県におけるESG経営の周知について、環境分野に貢献したいが、その方法がわからずに悩んでいる企業に対する県の関わり方について伺う。
【環境政策課担当課長】
第5次環境基本計画では目指すべき姿の一つとして、環境課題の解決と企業の利益を同時に実現するという考え方が定着し、環境ビジネスやESG投資が拡大するなど、環境と経済成長が好循環するあいちを目標として掲げている。この目標の実現に向け、企業に対しESG投資や環境の取組を促す事業を実施している。
ESG投資については、SDGs AICHI EXPO2020において、環境金融コンサルティングの第一人者である吉高まり氏によるSDGsとESG投資をテーマとした特別セミナーを行い、ESGという理念の普及に努めている。
一方、環境への取組を促すため、社会人を対象としたあいち環境塾において、持続可能な社会づくりのための知識や環境の視点で考え合意形成する力を習得し、さらには、塾生同士の交流を深め、お互いの視野を広げてもらうよう取り組んでいる。
また、環境保全基金条例に基づき創設した環境保全基金に、企業が寄附することによって環境貢献できる制度もある。県ではこの基金を財源として、様々な環境保全活動を実施している。さらに、自然保護活動を希望する企業と県が協定を締結し、海上の森自然環境保全地域において希少な動植物の生息生育環境を改善するために、周辺樹木の伐採を共同で実施している。
これらの事業やイベント等により、企業の自主的・積極的な取組を促進していく。
次に、環境政策推進における原動力として、若者の活用について伺う。
若い世代は環境分野への関心が高いと思うが、若い力と企業との連携といった観点から、県の取組について伺う。
【環境政策課担当課長】
本県では、未就学児からシニアまで世代に応じた環境学習を推進しており、若い世代が企業と連携する取組として、かがやけ☆あいちサスティナ研究所と生物多様性あいち学生プロジェクトがある。
かがやけ☆あいちサスティナ研究所は、研究員である大学生がパートナー企業から提示された環境課題に対し企業の先進的な環境の取組を学んだり、企業の現場で調査し、企業担当者と議論することにより解決策を提案する事業である。2015年度の事業開始から昨年度までの6年間で26大学220人の大学生が参加し、パートナー企業30社にも参画してもらっている。
生物多様性あいち学生プロジェクトは、生物多様性の保全に向け2019年度からユース世代が企業等と連携して外来種駆除やビオトープ整備等に取り組んでおり、この取組から、オール愛知で生物多様性保全に取り組む学生団体GAIAが立ち上がるなど、連携の輪が広がっている。
このように、若い世代が企業と連携して社会における実際の環境課題に向き合い、関係者との議論あるいは指導を受けながら活動する機会を設けることは、若い世代の力を大きく育てていく上で大変重要であると考えている。
企業との連携に向けては、新たな展開も必要だと考えるが、今後、どのような取組を考えているのか。
【環境政策課担当課長】
企業のSDGsの取組をさらに促進するためには、企業等のSDGsに係る先進的な取組事例を伝えて発信すること、情報を得たい人には、優良な取組が効率的に調べられること、知恵を持っている企業、大学、NPO等がマッチングをして一緒に取り組んでいくことが必要である。
SDGs AICHI EXPOはその一つの機会であるが、常設の基盤となるプラットフォームが必要であると考えており、本年度から取組を進めて
この中核となるのは、取組に関するデータベースであり、企業、金融機関、大学、NPO、自治体等の多様な主体におけるSDGsの取組やESG投資に係る情報を格納していくことが基本であり、本年度、データベースの機能の検討を行い、来年度、データベースを構築し、運用を開始する。本年度は、データベースの構築のための事例調査や、企業の意識改革を促すためのESG投資に関するセミナーも併せて実施していく。
このプラットフォームの構築と運用を通じて、企業、金融機関、大学、NPO、自治体等の多様な主体が連携したSDGsの取組を促進していく。
カーボンニュートラルの実現に向けても、企業との連携が大変重要である。
先日、設置が公表されたあいちカーボンニュートラル戦略会議では、本県のカーボンニュートラル実現に向けた動きを加速するため、幅広い事業、企画、アイデアを企業団体から募集するとのことだが、企業、団体への周知はどのように行っていくのか。
【地球温暖化対策課担当課長】
県内外に広く周知するため、知事自らが会見の場で発表し、併せて募集要項をウェブページに掲載し、新聞にも取り上げられた。
今後とも、県の様々な広報媒体を活用することに加え、民間団体から依頼される地球温暖化対策等に関する研修会等の場で周知を図り、民間の技術、ノウハウを生かした多くの提案を得られるよう努めていく。
カーボンニュートラルの実現に向けた新たな取組を追求する背景の一つに、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正が挙げられる。
法改正に伴い、県としてどのようなことに取り組むのか。
また、あいち地球温暖化防止戦略2030はどのように見直すのか。
【地球温暖化対策課担当課長】
地球温暖化対策の推進に関する法律の改正の内容は主に3点あり、1点目がパリ協定及び2050年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の新設、2点目が地球の再生可能エネルギーを活用し、脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設、3点目が本法で義務づけられている企業の温室効果ガス排出量の国への報告を原則電子化するものである。
これらのうち、特に二つ目の内容が自治体に影響を与え、県に対して再生可能エネルギーの導入目標等の設定が義務化されるとともに、市町村における再生可能エネルギーを活用した促進地域の設定に関する環境配慮の基準を、環境省令に即して定めることができるとされており、本年度中に、国はこの詳細について、省令の改正やガイドラインの整備を行うこととしている。
また、国は本年4月に2030年度の温室効果ガスの削減目標を2013年度比で、これまでの26パーセントから46パーセントまで大幅に引き上げることを表明した。同時に、地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画の見直しの検討を進めており、46パーセント削減のための具体的な対策や、その削減量の積み上げを行っている。
こうした国の動きに対応し、本県においても、あいち地球温暖化防止戦略2030で目標としている2013年度比26パーセントの削減目標の修正が必要となってくるので、国の動向を注視しながら、適切に対応していきたい。
昨年の12月定例議会で、大村秀章知事から、本県は日本一のモノづくり県であるからこそ、環境分野でもトップランナーであるべきであり、持続可能な社会を構築するリーディングモデルを、本県から牽引するといった力強い答弁があった。
今後は環境局の枠を超えた取組も必要になってくるので、ぜひ環境局がその中心となって取り組んでほしい。