令和3年 8月臨時議会(2021.8.31)

議案質疑

 第146号議案令和3年度愛知県一般会計補正予算第14号について質問いたします。
 8月27日、本県において、本年4月から数えて3度目の緊急事態宣言が発出されました。
 全国的に見ると、東京都を中心とする首都圏だけではなく、他の地域でも爆発的な感染が起きており、デルタ株の脅威をまざまざと見せつけられています。
 また、今回は、愛知、岐阜、三重が同時に緊急事態宣言発出を受ける事態となり、3県が足並みをそろえて感染防止に取り組むことも重要であると思います。県民や事業者の皆様が我慢する状況から一刻も早く抜け出すため、引き続き、皆様との連携をしっかり図りたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 初めに、新型コロナウイルス感染症に感染した患者療養の考え方についてお聞きします。
 国が今月上旬発出した現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方についてでは、感染者急増地域における対応として、入院させる必要がある患者以外は自宅療養を基本とし、家庭内感染のおそれや自宅療養ができない事情等がある場合は適切に宿泊療養を活用する考え方を可能とする旨が記されています。これは、無症状・軽症患者のうち、やむを得ず宿泊療養を行えない者を自宅療養で対応するとしてきたこれまでの方針を大きく見直したと言えると思います。
 この考え方に従えば、単身で生活されている方が新型コロナウイルスに感染した場合、本人が宿泊療養を希望しても、基礎疾患等の事情がない限り自宅療養になってしまいます。
 自宅療養者数の増加に伴い、保健所等における健康状態の確認連絡も遅れ気味であると聞いておりますし、また、自宅において容体が急変した場合、速やかに適切な相談や対応が行えるのか、非常に不安になります。本当に国が考える自宅療養基本が適切なのかという疑問があります。
 新規陽性者の急増、病床使用率の上昇という現状を踏まえれば、今まで以上に宿泊療養の必要性、重要性が増してくるのではないでしょうか。
 そこで、国から、患者が急増している地域における対応として、入院が必要な患者以外は、自治体の判断により自宅療養を基本とすることができることが示されましたが、県はどのような方針で対応しているのか、お伺いします。

 次に、自宅及び宿泊療養施設における応急処置の体制及び設備、容体が急変した場合の搬送等についてお聞きします。
 本県では、新規陽性者数の急増に伴い、自宅療養及び宿泊療養者数も急増しており、これは、東京や大阪など患者が急増している他の都道府県でも既に大きな問題となっています。
 自宅療養の方の容体が急変し、病院へ搬送されるまでに時間を要する事例や、搬送できずに亡くなってしまうといった報道も見られる中、このような悲劇は何としても防がなければなりません。
 最近、地域で陽性者となった方々から、療養施設を希望するが何とかならないかといった切実な声を頻繁に受けます。デルタ株の感染力はこれまでとは桁違いに強力、容体の急変が早いと言われる中、自宅や社員寮など複数人での生活をせざるを得ない方が、身体的に大きなダメージを負いながら抱えるうつしたくないといった不安や、容体急変したらどうなるのかといった恐怖は計り知れないと思います。
 現在、使用済み客室において、従来のフロアごとの清掃・消毒方式に加え、退室直後の個別清掃方式を取り入れるなど、一室でも多く提供できるよう改善を図っていただいていると伺いました。
 また、今回、宿泊療養施設の新規開設が補正予算で計上されていることは、現在自宅療養で苦しんでいる方や感染急増に怯える県民の皆様にとって心強い知らせになると思います。引き続き、早期に入所できる環境の整備に御尽力いただくことを要望します。
 そして、宿泊療養施設においても、応急処置をはじめ、できるだけの設備等を設けるとともに、医療機関への搬送時間に無駄が生じぬよう対策を講ずることも重要ではないかと考えます。
 今回の補正予算では、宿泊療養施設で容体が急変した患者を医療機関まで搬送するために必要な車両を確保するための予算も計上されております。
 そこで、宿泊療養施設において、容体が急変した場合に対応するための体制及び設備はどうなっているのか。また、自宅や宿泊療養施設において、容体が急変した場合の医療機関等への搬送についてはどのようになっており、今後はどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 最後に、若い世代の感染拡大防止に向けた取組についてお聞きします。
 今回の第5波については、全国的に見ても、今までの第4波とは比較にならないほどの勢いで感染拡大が続いています。
 また、第5波の特徴の1つとして、若い世代の感染者の増加が言われております。新規陽性者や重傷者に占める高齢者の割合が減少する一方、10代から30代までの世代、いわゆる若い世代が新規陽性者数の約7割を占め、重症者等に占める割合も上昇してきております。
 感染者等に占める高齢者の比率が減少した要因の1つに、多くの方が既にワクチン接種を終えていることが大きいと言われています。
 先日、県は年代ごとのワクチン接種率を発表しました。これによれば、1回目の接種率で見ると、8月25日時点で、65歳以上が90.58%であるのに対し、10代の接種率10.01%、20代14.68%、30代17.76%と、いずれも10%台であり、接種が遅れていることが分かります。
 ワクチン接種に若者が消極的といった趣旨の話も聞かれますし、私自身、そうした考えを持つ若者の声を耳にすることもあります。
 しかしながら、若者も重症化リスクがあるというデルタ株の特徴により、早期に接種したいと考えるようになった人も多くおり、正確かつ適切な情報発信、啓発が必要と考えます。
 県では様々な形で啓発に取り組んでいただいておりますが、引き続き、若者に向けての直接的な呼びかけ、親世代に響く発信、軽症の場合でも起こり得るコロナ発症に伴う後遺症の事例紹介等、あらゆる方法で呼びかけ続けていただくことを求めるところです。
 そして、こうした点を議論する以前に、そもそも接種券の配布順番をはじめ、若者が接種できる環境が現時点で十分に整えられていないことが大きな要因であると思っています。東京都が渋谷に設置した若者向けワクチン接種会場におけるこの週末の混乱ぶりを見ても明らかです。大多数の若者は、ワクチンの早期接種を望んでいます。
 補正予算では、若い世代に対する感染拡大防止に向けたワクチン接種を促進する取組が含まれており、大きな期待を寄せています。
 そこで、若い世代への今後のワクチン接種に対する県の方針はどうなっているのか、お伺いします。
 以上、明快な御答弁をお願いして、質問を終わります。


<答弁要旨>

(感染症対策局長)
 新型コロナウイルス感染症に感染した患者療養の考え方についてお答えします。
 御指摘の国の文書については、全国一律に適用されるものではなく、患者数が急増し、すぐに入院できずに自宅で療養する人が増えている地域において、誰もが症状に応じて必要な医療が受けられるようにするための緊急的な対応として示された選択肢の1つです。
 本県では従来から、入院は、重症、中等症患者など、医師が入院治療を必要と判断した患者を対象とすることで、確保病床の効率的な運用を行い、必要な医療が提供できるように努めているところです。
 また、今月5日には、県医師会、県病院協会、各病院の御協力をいただき、これまで確保していた1515床に新たに55床、うち重症病床24床を確保し、全体で78病院1570床プラスアルファ、うち重症病床170床を確保したところです。
 さらに、8月25日には、国が本県に対して緊急事態宣言を発出したことに合わせ、患者受入れ医療機関に対し、最大確保病床の85%以上、重症患者用病床については100%の受入れをお願いするとともに、新型コロナウイルス感染症患者に対応する人員を確保するため、医師が延期可能と判断した入院、手術の一時延期について要請したところです。  このような取組の中、本県の病床使用率は、8月30日現在で55.4%と、入院が必要な患者に対し必要な医療を提供できる体制を確保しており、御指摘の文書で国が新たに示した方針を適用する状況にはないものと考えています。
 今後とも、入院が必要な患者に適切な医療を提供できるよう、医療提供体制の整備に努めてまいります。
 次に、宿泊療養施設における応急処置の体制及び容体が急変した場合の応急処置について、お答えします。
 宿泊療養施設におきましては、医師はオンコールで待機しており、看護師や生活支援スタッフ、県職員等が常駐し、24時間体制で入所者の体調管理に努めております。
 入所者の容体が急変した場合は、看護師が医師に相談し、救急搬送の依頼や、電話やオンラインによる診療または近隣の医療機関による往診や外来受診など、必要な対応を行います。
 また、酸素吸入が必要となる場合に備えまして、各宿泊療養施設には、酸素濃縮器を合計24台配置しており、今後も必要に応じて増設してまいりたいと考えております。
 次に、自宅や宿泊療養者の容体が急変した場合の医療機関への搬送についてであります。
 新型コロナウイルス感染者の受診搬送は、県内5保健所に各1台配備している車両により職員が搬送しておりますが、拘束時間が長く、業務の負担が大きくなっております。
 そのため、保健所の業務負担を軽減し、感染者の健康観察などの業務に人的資源を集中するため、民間事業者へ委託することとし、県保健所11か所に各1台、感染対策を行った運転手つき搬送用車両を配備いたします。
 また、新型コロナウイルス感染者の入院搬送は、感染症法に基づき保健所が行う業務とされていますが、酸素吸入やストレッチャーでの搬送が必要な方については、保健所に対応できる搬送手段がないため、消防機関に依頼して対応しております。
 第4波のピークである本年5月には、消防機関へ300件の入院搬送を依頼しておりますが、新型コロナウイルス感染者の搬送が大幅に増加した状況では、コロナ患者以外の救急搬送に支障を来すだけでなく、コロナ患者の搬送も遅れることとなり、速やかな医療提供が困難となるため、消防機関からも県による搬送が求められています。
 そのため、救急型車両を県内に4台配備し、24時間対応できるよう、民間委託により体制を整備してまいります。
 今後とも、自宅療養者等が安心して療養していただけるよう、搬送体制を整備してまいります。
 若い世代へのワクチン接種について、お答えします。
 新型コロナウイルスのデルタ株が猛威を振るい、30代以下の若い世代への感染が急増する中、若者に対するワクチン接種の加速が急務となっております。
 今後、若者のワクチン接種への関心を高め、接種へと促す取組に力を入れていくことが必要であると考えております。
 具体的には、ワクチン接種へのインセンティブを高めるため、10月末までに2回目の接種を完了した20代、30代の若者に対し、ニューあいちスタンダード、通称あいスタの認証店舗で利用できる食事券1万円分を、抽選で2万人の方にプレゼントする取組を新たに実施し、接種率の向上へとつなげてまいります。
 また、9月11日から、愛知芸術文化センター内に新たな大規模集団接種会場、あいちワクチンステーション栄を開設し、若者が気軽にワクチンを接種できる機会を提供してまいります。
 さらに、ワクチン接種を希望する県内の高校生が、新学期に入った後、学校単位でまとまって速やかにワクチン接種を受けられるよう、教育委員会とも連携してまいります。  また、こうした取組と合わせ、インターネットやSNSなどを通じ、新型コロナウイルスに感染した場合のリスクやワクチン接種の効果、メリットなどについて分かりやすく情報発信していくことで、若者のワクチン接種への関心を高めてまいります。
 今後、様々な取組を、工夫を凝らしながら強力に推し進めていくことで、若い世代のワクチン接種を加速してまいります。