あいち民主、日比たけまさです。
8月16日、あいち民主県議団は大村知事に「令和7年度施策及び当初予算に対する提言」を提出させていただきました。
次年度の予算要望提出は、例年、9月定例会が終了したタイミングで行っておりましたが、今年度の当初予算をもって、「県当局からの回答が示された」という認識のもと、森井元志団長が掲げる「県民の皆様の「声」を「形」にする県政」を実現するため、いち早く始動しました。そして、連合愛知の組合員の声や各自治体議員との意見交換、政策推進議員連盟の活動を通じ、県民・地域の声を踏まえた私たちの思いをまとめた次第です。
また、私たちの要望提出の1週間前にあたる8月9日には連合愛知が「2024-2025 働くことを軸とする安心社会」実現のための要望書を大村知事に提出されています。
今回の代表質問はこうした動きと連動する内容も含め、1.あいちの発展と魅力的な地域づくり、2.誰もが活躍できる社会の実現、3.安全・安心なあいちという大項目から13の質問をさせていただきます。ぜひとも明快な答弁をお願いし、質問に入ります。
それでは、1つ目の項目「あいちの発展と魅力的な地域づくり」として、はじめに、外国企業誘致について、お伺いします。
昨年6月、政府は骨太方針2023において「対内直接投資残高を2030年に100兆円とする目標の早期実現」を示しました。対内直接投資とは海外の企業が日本企業に対して直接投資を行うことを指し、これまで日本特有の制度や商慣行の複雑さ、言語的な障壁などの要因により、あまり進んでいない実態があります。国連貿易開発会議のデータによれば、2022年末時点で日本の対内直接投資残高は約46兆円で、この数値をGDPで除した値は国際的にみて著しく低い水準であり、北朝鮮より下位に位置しています。
その一方、地政学リスクの回避と経済安全保障の確保の観点から、中国抜きのサプライチェーンを構築することや、半導体等の重要物資の安定供給に向け自国内の生産体制を強化することなど、各国が自国回帰を進め、世界全体で対内直接投資が縮小、すなわちグローバル化が後退しているなか、近年、円安の進行に加え、日本の社会・経済の安定性などが評価され、日本に対する直接投資のシェアは着実に上昇しています。
「対内直接投資の増加は外資系企業の収益につながるだけ」といわれてしまえばそれまでですが、イノベーション創出、サプライチェーン強靭化、雇用創出・賃上げによる地域活性化、経営の高度化など、経済活性化につながる様々な効果が期待されます。
現在、世界有数の半導体メーカーである台湾のTSMCが巨額の投資をして熊本県菊陽町に半導体生産拠点を整備するなか、その影響が地元経済に想像以上の恩恵をもたらせているとの報道も度々耳にします。
愛知県は本年10月に日本最大のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」が開業するなど、世界からみて、とても魅力を感じる地域であることは言うまでもありません。
そこで、お伺いします。
本県のイノベーション力を強化し産業の活性化を図るためには、外国企業誘致が重要であると考えますが、本県の外国企業誘致の取組状況について、知事のご所見をお伺いします。
次に、水素の社会実装に向けた取組について、お伺いします。
2050年カーボンニュートラルに向け、本年5月に「水素社会推進法」が成立するなど、水素の供給や利用を促す動きが本格化しています。こうした中、本県においては、2022年2月、大村知事を会長に行政、民間、経済団体が連携し、中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議を設立。現在は、愛知県経済産業局を中心とする普及促進WG、中部圏水素利用協議会を中心とする水素社会実装WG、株式会社JERAを中心とするアンモニア社会実装WGを設け、それぞれプロジェクトを進めているところです。
本年に入り、株式会社JERAが、碧南火力発電所4号機における定格出力100万kW運転において燃料アンモニアの20%転換を達成し、実証試験結果を踏まえて、アンモニア大規模転換の商用運転に向けた工事に着手することを6月に公表。また、7月には愛知県が、中部圏水素・アンモニアサプライチェーン計画として、2040年の水素の年間需要量を24.5万トン以上、アンモニアの年間需要量を250万トンと見込み、水素やアンモニアの供給拠点を本県や三重県内に整備することを公表するなど、具体的な取組が徐々に見え始めています。
一方、水素を利活用したプロジェクトは北海道、福島、横浜・川崎、山梨、関西、九州を始め、全国で取り組まれていることから、本県が目指す水素の社会実装に向けては、その特徴やアドバンテージを十分に活かした展開を仕掛ける必要があると考えます。
例えば、日本一の製造品出荷額、国内トップクラスの火力発電力、日本一の港湾、日本一の貨物車保有数という実績、また港湾臨海部のみならず内陸部にも産業が集積しているという地理的な特徴がある中、現時点で燃料電池車両数、燃料電池フォークリフト数、水素ステーション設置数とも全国一という強みを活かした「水素・アンモニアの需要と供給の一体的かつ大規模な創出」が期待されるところです。
そこで、お伺いします。
本県が進める水素のプロジェクトについて、知事のご所見をお伺いします。
次に、サーキュラーエコノミーについて、お伺いします。
私事ですが、この春、13年間使用していた事務所を移転しました。その際、備品等をできるだけコンパクトにするため、様々な物の処分を春日井市に拠点を置き、再資源化やサーキュラーエコノミーに力を入れている大和エネルフ株式会社にお願いしました。廃棄物の積込時には、「これまでありがとう。また新たな形で再利用されてほしい」という願いを込めて、車を見送りました。
英国を拠点に国際的にサーキュラーエコノミーを推進する団体「エレン・マッカーサー財団」では、サーキュラーエコノミーの3原則として
・廃棄物・汚染などを出さない設計
・製品や資源を使い続ける
・自然のシステムを再生する
を定義しています。
しかし、この究極の循環を目指した経済モデルを構築するためには、乗り越えなければならない壁がいくつもあります。
まず、製品のライフサイクルという観点から考えると、設計、生産、流通、小売、利用、回収、リサイクルといった全ての工程を見つめなおさなければなりません。そのためには、様々な知識、技術、経験が求められるとともに、あらゆる分野にわたる協業が不可欠で、ネットワークの構築に多大な時間と労力を要します。
加えて、回収、リサイクルを主に担う事業者、血液の循環に例えて、よく「静脈産業」と呼ばれる事業者は、規模が小さいところも多くあり、「技術やプロセスの体系化が進んでいない」、「デジタル化の遅れによる情報連携や利活用が不足している」といった課題も上げられます。
そして何より、関わる全ての事業者がWinWinになるようなビジネスモデルを築き上げなければ、持続可能な社会は実現しません。
このような課題を克服し、サーキュラーエコノミーを実現するためには、産官学金の連携が必須です。
こうした中、本県が2022年3月に策定した「あいちサーキュラーエコノミー推進プラン」では、2031年度までの10年間を計画期間とし、具体的な施策として、7つのプロジェクトチームを立ち上げ、サーキュラーエコノミーへの転換による循環ビジネスの進展を図っています。
そこで、お伺いします。
サーキュラーエコノミーの推進について、プランの策定から2年が経過しましたが、現在の取組状況と今後の展望について、知事のご所見をお伺いします。
次に、スマート林業の推進について、お伺いします。
「持続可能な林業」の実現に向けては、計画的な伐採及び再造林による収益向上を狙った森林資源の循環が求められ、デジタル技術を活用した森林管理や林業の作業効率向上を図る「森林・林業DX」が注目されています。
先日、宮崎県森林組合連合会、西日本電信電話株式会社宮崎支店及び株式会社地域創生 Co デザイン研究所による「諸塚村森林・林業 DX 推進協議会」が2021年4月から2年間取り組んだ4つの実証事業について話を伺いました。
具体的には、所有者や素材生産など木材流通の川上部門、製材所や市場など川中・川下部門、さらにカーボンニュートラルの観点から課題を整理した、1.森林情報のデジタル化、2.森林情報の見える化・共有、3.クラウドを活用した所有林/木材取引、4.民有林の集約化によるJ-クレジット創出という内容です。
まず、森林情報のデジタル化では、従来の現地調査の約40分の1という飛躍的な省力化を実現。
次に、森林情報の見える化・共有では、取得した森林デジタル情報をAIで解析、森林施業や資産評価に役立つ情報を森林クラウドにて見える化し、森林所有者並びに林業関係者と共有。また、コミュニケーションツールを活用することで、森林所有者の林業経営・再造林の意欲向上につながるコミュニケーション活性の場を提供。
さらに、クラウドを活用した所有林/木材取引では、「所有林取引」において、模擬取引を実践し、所有者探索の省力化や立木評価の省力化といった効果を確認するとともに、「木材取引」においては実際に取引を行う中、生産者から「市場価格よりも高く売れる」、製材所からは「予約により安定的に材木を確保できる」という評価を獲得。
そして、J-クレジット創出では、ICTを活用し、国内でも先進的な“民有林の集約化”によるJ-クレジットのプロジェクト登録承認を実現。今後は、市場に応える規模のクレジット発行を可能とし、クレジット取引の活性化による個人所有の民有林の付加価値向上につなげることが期待されています。
本県においても、林業分野におけるICT化について今後10年を目途とする「あいちのICT林業活性化構想」を2019年に策定しています。
そこで、お伺いします。
「あいちのICT林業活性化構想」の中心的な役割を果たす、森林クラウドシステムの進捗状況と、それを活用してどのように林業振興を図っていかれるのか、知事のご所見をお伺いします。
次に、戦争に関する資料館について、お伺いします。
8月15日に開かれた愛知県戦没者追悼式を始め、今年も各地で戦没者の追悼と平和を祈念する式典が行われています。
愛知・名古屋 戦争に関する資料館は1994年3月に愛知県議会において「戦争メモリアルセンター(仮称)の建設について」の請願が全会一致で採択されたことを皮切りに「戦争に関する資料館検討委員会」の設立等の経緯を経て、2015年7月、戦後70年という節目の年に、戦争に関する資料の収集、保存、展示、教育及び調査研究のための施設として、愛知県庁大津橋分室1階に開館しました。
これ以降、私は大学生の夏休み、春休みに行われる議員インターンシップ制度にて学生を受け入れる際、できるだけ愛知・名古屋戦争に関する資料館に学生と訪問するようにしています。社会や政治を学びに来る若い世代に、まずは平和の尊さを理解して貰いたいからであり、学生たちもその意義をしっかり理解してくれます。また、この資料館は年に数回資料が入れ替わることから、私自身も訪問するたびに新たな刺激を受けています。
先週末まで、イオンモールナゴヤドーム前店にて「愛知・名古屋 戦争に関する資料館」巡回収蔵資料展も開催されました。多くの人が往来する場所で展示を行うことは大変意義のあることだと思います。欲を言えば、もう少し、目立つ展示ができれば、なおよかったのではないかと思いました。
昨日の新聞では、戦争中に使われた軍事関連施設や戦災建造物などの「戦争遺跡」について大きく取り上げられていましたが、現在、県では、こうした「戦争遺跡」の把握・保存に向けて調査を始められていると伺っており、期待をしているところです。その一方で、戦争を体験された方が高齢化することで、直接お話を伺う機会が徐々に減っております。
こうした中、県民の皆様から寄贈を受けた数々の品は、当時の社会や生活をありのままに伝え、二度と戦争を起こさず、恒久平和を後世に継ぐ大切な資料であり、その数々を展示する資料館の果たす役割はますます重要になると考えます。
折しも、来年は資料館開設10周年かつ戦後80年という節目を迎えます。ぜひ、多くの県民に来場いただき、肌で感じ取ってもらいたいと思います。
そこで、お伺いします。
戦争に関する資料館が、これまで果たしてきた役割とこれからについて、知事のご所見をお伺いします。
次に、2つ目の項目「誰もが活躍できる社会の実現」として、はじめに、あいちトップアスリートアカデミーの取組について、お伺いします。
この夏開かれたパリオリンピック・パラリンピックにて、私たちは選手たちの活躍に魅了され、多くの勇気と感動を得ました。
その興奮も冷めやらぬ今月8日、春日井市にフェンシング教室がオープンし、私も開校式に参加しました。記念イベントでは、男子フェンシングエペ個人金メダル、団体銀メダルを獲得した加納虹輝選手と同団体銀メダルを獲得した山田優選手によるスペシャルマッチが行われ、会場は大いに盛り上がりました。ここでは昨年、アーチェリー教室も開設しており、アーチェリーとフェンシングの両方が行える本格的な常設施設は日本初ということです。施設を運営するケイ・エル・サービス株式会社が、4年前、あま大治スイミングスクールを開いた際、あま市出身で東京オリンピックアーチェリー団体銅メダルを獲得した武藤弘樹選手と同じくあま市出身の加納選手から、両競技の魅力を広げて欲しいという声を聞き、開設に至ったそうです。
イベントの合間をみて、加納、山田両選手そして加納選手のご両親にもお話を伺いました。みなさん口を揃えて、「子どもにはそれぞれ適性の合うスポーツがある」、「フェンシングの裾野を広げるためには環境の整備が重要」と力強く話されていました。
スポーツ指導では、よく「幼児期から中学校までのゴールデンエイジに様々なスポーツや身体活動を体験し、運動神経をできるだけ発達させておく。その後、自分が好きで自分に向いているスポーツを見つけていくことが理想」と語られます。私も、子どもの可能性を見出すためには、多くの種目に触れる機会と練習できる環境を作ることが大切であると考えます。
本県では、2026年に開催するアジア競技大会やオリンピック等の国際大会で活躍できる地元選手を発掘・育成するため、あいちトップアスリートアカデミーが開講されています。
アカデミーは、トップアスリートを目指す小学4年生以上の子どもたち等を県内全域から募集、選抜し、トップコーチによる競技体験プログラムや、栄養、心理等を学ぶスポーツ教養プログラムなどを通じて育成するもので、今年度で創設から6年目を迎えています。
そこで、お伺いします。
あいちトップアスリートアカデミーにおけるこれまでの取組とその成果について、知事のご所見をお伺いします。
次に、女性健康支援事業について、お伺いします。
あいち民主県議団は「令和7年度施策及び当初予算に対する提言」において、最重点要望事項のひとつに「次世代を担う子どもの健康を守るため、学校現場などにおける命や性についての正しい知識を身につけるためのプレコンセプションケアを積極的に推進すること」という項目を新たに加えました。
プレコンセプションケアとは、男女を問わず、妊娠前から性や妊娠に関する正しい知識の 普及を図り、健康管理を促す取組を指します。
この提言を盛り込んだ背景として、「少子化対策の推進には、出産、子育て環境の整備そして経済的負担を軽減する制度の維持拡大を図る一方で、若者世代が結婚・出産に対する過度なプレッシャーを感じることのないよう、人間の体の仕組みに関心を持つことで健康に向き合うプレコンセプションケアを啓発することや、自身が家庭や社会に大切に育てられたと感じることで、将来的に家庭や子どもを持ちたいという意識を高めてもらうことなど、複合的な取組が必要である」と考えたからです。
福岡県は本年4月30日、全国の自治体として初となる「福岡県プレコンセプションケアセンター」を設置しました。将来の妊娠に備えた健康管理について専門家に相談できる体制を整備することで、男女を問わず、若い世代が早い段階から妊娠・出産の知識を持ち、その悩みを解決することで、安心・安全な妊娠・出産に繋げていくことを狙いとしているそうです。
本県でも、従前から思春期の身体の変化や妊娠・出産に関する様々な不安、更年期の悩みなどに専門的な知識を持つ相談員が応じる電話相談事業や学校などに助産師が講師として出向く健康教育に取り組んでいます。
加えて、昨年度、国のこども未来戦略方針に先んじて発表した本県独自の少子化対策パッケージの中で、プレコンセプションケアを含めた女性健康支援事業として、電話やSNSによる相談などを通じ、様々な問題を抱えながらも女性が安心して妊娠・出産を迎えることができるような支援を新たに追加しました。
そこで、お伺いします。
現在、県が進めている女性健康支援の取組について、知事のご所見をお伺いします。
次に、困難な問題を抱える女性支援について、お伺いします。
近年、女性をめぐる課題は多様化、複合化しており、配偶者等からの暴力、いわゆるDVや、ストーカー被害、性暴力、予期せぬ妊娠、経済的困窮など、様々な困難に直面した女性への支援が急務となっています。
また、この4月には、保護命令制度の拡充などDV被害者の支援強化を目的とした改正DV法が施行されたほか、5月には、離婚後の共同親権の導入をめぐる改正民法案が成立するなど、女性支援に関連のある大きな動きも見られました。
女性支援の現場で活動する方々にお話を伺うと、こうした社会状況や制度改正等に迅速に対応し、多様な悩みを抱えた女性に適切な支援を提供するため、日々、知識や相談スキルの習得等に苦慮されているとのことです。
本県は今年3月に「愛知県困難な問題を抱える女性支援及びDV防止基本計画」を策定しました。
私は昨年2月の定例会にて、この基本計画の策定に関する質問を行い、その際、1.女性相談支援センターや女性相談支援員、女性自立支援施設といった支援機関、民間団体、当事者の意見を十分に聞き取ること。2.当事者を中心に、関係機関が民間団体などと連携し支援を行う、支援調整会議を定めること。3.女性相談支援センター及び女性相談支援員の充実を図ること。4.民間団体への支援充実に努めること。と4点にわたる要望を申し上げました。
これに対して、策定時には支援機関や民間団体など支援の最前線で活動する方々のご意見を踏まえながら検討を進められたと聞いています。
困難を抱える女性にとって、自分の悩みに対し親身になって耳を傾け、助言や支援を提供してくれる支援機関や支援者の存在は、官民を問わず大変重要であり、県がこうした方々の活動を支援し、多様な機関と連携して女性支援の取組を推進していくことに、大いに期待を寄せているところです。
そこで、お伺いします。
困難な問題を抱える女性への支援の推進に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いします。
次に、ひきこもり支援施策の推進について、お伺いします。
外出をほとんどしない状態が長期間続く、いわゆる「ひきこもり」の人は、内閣府調査によると2018年時点で推計115万人。直近では、2022年11月に実施したもので、15歳から64歳までの年齢層の2%余りにあたる推計146万人となり、わずか4年で30万人も増えています。また、本県における人数を推計すると、40歳から64歳のひきこもりは5万300人、15歳から39歳では3万9千人となります。
ひきこもり状態にある方やその家族への支援については、より住民に身近なところで相談ができ、支援が受けられる環境づくりを目指して、現在、市町村において「ひきこもり地域支援センター」の設置やひきこもり相談窓口の明確化、市町村プラットフォームの設置が図られているところです。
一方、支援現場向けに国が2010年に示した指針「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」は、思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究としてまとめられたもので、策定から10年以上が経過しています。この間、中高年層のひきこもりが若年層のひきこもりの数を上回っていることが確認され、また、ひきこもり状態の中高年の子どもの生活を高齢の親が支える8050 世帯といった複雑化・複合化した課題を抱える世帯が顕在化したことなど、ひきこもりの現状が大きく変わっており、ガイドラインではカバーできない部分もあると感じます。
実際、昨年、国が自治体などを対象に行ったアンケート調査では、支援にあたる職員が特にひきこもりの人とのコミュニケーションの方法や家族への支援などについて難しさを感じていることが明らかになりました。また、支援体制も様々であり、ひきこもり状態にある方の実態を把握していない自治体もあるとみられ、市町村における相談窓口の設置と支援内容の充実を図ることが喫緊の課題となっています。
そこで、お伺いします。
県として市町村に対するひきこもり支援施策の推進についてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いします。
次に、3つ目の項目「安全・安心なあいち」として、はじめに、医療的ケア児への支援について、お伺いします。
学校生活において日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒等が年々増加するとともに、人工呼吸器による呼吸管理等を必要とする医療的ケア児が通学できるようになるなど、医療的ケア児を取り巻く環境が変わりつつあります。
2021年9月、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の施行により、国及び地方公共団体等の責務が明記され、医療的ケア児に対して教育を行う体制の拡充等を図ることが求められました。
本年2月に県教育委員会が策定した第3期愛知県特別支援教育推進計画(愛知・つながりプラン2028)には、法律の施行を受け、主な取組として「医療的ケアの体制や支援の強化、通学・校外学習への看護師付添い事業の推進」が挙げられています。
こうした中、昨年度、県立特別支援学校における医療的ケアガイドラインの策定に向けた準備会議を設置し、今年度にも策定を目指していると伺っています。既に策定している自治体もあることから、参考にしていただき、ぜひとも児童・生徒や保護者に寄り添ったきめ細かなガイドラインを策定頂きたいと思います。
また、本年3月に公表した文部科学省の「令和5年度学校における医療的ケアに関する実態調査結果」では、特別支援学校における医療的ケアを実施する看護師の数や通学時における福祉タクシー等の支援について、取組が進んでいる自治体が多数あることも確認できます。
先日、地域の方とお話をする際、「特別支援学校に通う子どもの修学旅行に看護師の同行がない。子どもは修学旅行をとても楽しみにしており、親として行かせてあげたいが、自前で看護師を賄うと多額の費用が掛かる。法律の趣旨を鑑み、改善はできないものか。」との声も頂きました。
県教育委員会では、保護者の負担を軽減するため、昨年度から医療的ケア児校外学習付添モデル事業に取り組んでいると聞いています。
そこで、お伺いします。
県立特別支援学校における医療的ケア児への支援について、教育長のご所見をお伺いします。
次に、インターネット上の誹謗中傷対策について、お伺いします。
先ほども触れましたが、この夏開かれたパリオリンピックにて、私たちは選手たちの活躍に魅了され、多くの勇気と感動を得ました。その一方で、心が痛む報道も度々耳にしました。
国際オリンピック委員会の選手委員会はオリンピック期間中に選手や関係者に対するオンライン上での誹謗中傷が8500件を超えたと公表しました。
また、日本オリンピック委員会が選手等への誹謗中傷に関し、「応援いただく皆さまへSNS等の投稿に関してお願いがあります。皆さまからの激励・応援メッセージは、大きな力となっています。その一方で、心ない誹謗中傷、批判等に心を痛めるとともに不安や恐怖を感じることもあります。SNS等での投稿に際しては、マナーを守っていただきますよう改めてお願い申し上げます。」といった声明を発表しています。
ソーシャルメディアに詳しい国際大学の山口真一准教授は「今の時代は非常に簡単に投稿ができてしまうし、著名なアスリートに対しても気軽に直接メッセージを送ることができる。それは裏を返せばそれだけ一人ひとりが情報発信力を持っているということだ。だからこそ投稿を読み返す、そして投稿するまでにひと呼吸置くという癖をつけてほしい。」と呼びかけています。
総務省が運営委託する「違法・有害情報相談センター」に寄せられた2022年度の相談件数は5,745件と8年連続で5,000件を超え、また、株式会社三菱総合研究所が昨年行ったSNSユーザを対象としたアンケート調査では、過去1年間にSNSを利用した人の65.0%が「インターネット上で誹謗中傷を目撃したことがある」、18.3%が「誹謗中傷の被害に遭っている」と回答しています。
私自身もSNSで誹謗中傷を受けた経験がありますし、皆様の中にも経験されている方がみえると思います。ほんの些細な出来事で誹謗中傷が浴びせられる社会に、私は恐ろしさを感じます。
そこで、お伺いします。
本県は2022年4月に施行された愛知県人権尊重の社会づくり条例にて、インターネット上の誹謗中傷等の未然防止及び被害者支援を明確に示していますが、こうしたインターネット上の誹謗中傷への対策について、知事のご所見をお伺いします。
次に、防災人材の育成について、お伺いします。
先週発生した能登半島豪雨の被害状況を目にし、言葉が出てきません。まずは不明者が救出されることを祈るとともに、お亡くなりになられた方、被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げ、そして復旧、復興を願うばかりです。
8月8日、16時43分頃の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震発生に伴い、気象庁は同日19時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を初めて発表しました。幸い、8月15日17時をもって呼びかけが終了しましたが、かなりインパクトのある発表であったことから、県民の皆様は緊張感を持たれ、また、地震への備えについて考えられたことと思います。
この間、愛知県では220人で24時間、情報収集や警戒にあたる体制が組まれました。対応にあたられた職員の皆様、本当にお疲れさまでした。ひとたび大規模地震が発生すると、迅速かつ適切な対応が求められることから、皆様の緊張感も相当高かったものと考えます。
元日に発生した令和6年能登半島地震では、総務省の応急対策職員派遣制度に基づき、被災地外の自治体職員が被災市町の役場に派遣され、災害マネジメントの支援を行いました。愛知県においても、1月3日から6月16日までの間、石川県志賀町に総括支援チームを派遣し、8月9日には志賀町の稲岡町長から感謝の言葉を頂いたとのことであります。
私も、2月上旬に被災地ボランティアに参加した際、志賀町役場を訪問し、稲岡町長と面談をさせて頂きました。その際、町長室のすぐ横に「石川・愛知県支援隊志賀町詰所」があり、愛知県職員のみなさんが、避難所運営や復旧に向けた作業確認を行っている様子を拝見し、とても頼もしく感じました。
一方で、このことは、災害対策基本法や災害救助法の運用を始め、災害マネジメントを担う知識や経験のある職員が現地で不足していたとも言えると思います。
一昨年、昨年と続けて大きな地震に見舞われてきた石川県ですらそうであれば、愛知県がひとたび大規模地震に見舞われた場合には、能登半島地震の被災地と同じことが起きるのではないかと危惧するところです。
そこで、お伺いします。
南海トラフ地震の発生が危惧される本県において、被災市町村を支援するためにも、また、県の災害対策本部・方面本部を運用する上でも、災害マネジメントに精通した人材を多数育成しておくことが必要であると考えますが、こうした防災人材の育成について、知事のご所見をお伺いします。
次に企業を巡り多様化する脅威に対する県警察の取組についてお伺いします。
愛知県は2022年の製造品出荷額等が50兆円を超え、過去最高の52兆4098億円に達するモノづくり王国。当然ながら県内には、規模の大小を問わず、先端技術を保有する企業や学術研究機関が多数存在しています。
こうした企業等が保有する技術情報やデータは、日本の産業や国際競争力の重要な基盤となっている上、軍事転用可能なものも含まれていることから、様々な経済活動を通じた技術情報等の流出が経済安全保障上の脅威となっています。
独立行政法人情報処理推進機構が実施した「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」では、従業員301名以上の大規模企業742社、従業員300名以下の中小規模企業1368社が回答する中、過去5年以内における営業秘密漏えい事例の有無について5.2%があったと回答。また、従業員・役員を通じた漏えいが8割超に達していることが明らかになりました。一方、情報漏えいに気づくことのできる対策の実施割合は57.8%であったことから、実際の情報漏洩はさらに多いことが推察されます。
技術流出防止に向けては、社内の従業員における管理、取引先における管理、技術移転等の管理が必要であり、具体的な対策をより多くの方に理解してもらう必要があります。
他方、企業等が使用する通信機器のぜい弱性を狙ってシステム内に侵入し、暗号化したデータと引き換えに身代金を要求するランサムウェアの感染被害も確認されており、業種や事業規模を問わずサイバー空間の脅威にさらされています。
先日、サイバーセキュリティに関するセミナーを受講し、実際に被害に遭われた企業から、ランサムウェアによるデータ暗号化の実態、そして、対応、復旧に相当の時間と費用を要したことを伺いました。また、その一方、セキュリティ対策の必要性を感じない、費用対効果がみえない、どう始めたらよいかわからない等の理由で対策を取っていない企業も数多くある実態を知りました。
そこで、お伺いします。
技術革新に伴って、企業をめぐる脅威が多様化する中、企業における技術情報の流出防止やサイバーセキュリティ対策の促進に係る県警察の取組について、警察本部長のご所見をお伺いします。
以上、あいち民主県議団を代表して、県政各般にわたる様々な課題についてお尋ねしました。真摯な御答弁をお願い申し上げ、質問を閉じたいと思います。御清聴ありがとうございました。
(知事)
はじめに、外国企業誘致についてのお尋ねであります。
多様な技術・ノウハウや人材を有する外国企業の本県進出は、本県の強みであるモノづくり産業の更なる高度化や、海外ネットワークの拡大を促進するなど大きな意義があると考えており、近隣の自治体や関係機関とも連携してその誘致に取り組んでいます。
具体的には、本県では、上海、バンコクに設置している海外産業情報センター及びジェトロと連携し、本県への進出を検討している外国企業からの相談対応や情報提供等を行っております。また、愛知県、岐阜県、三重県の自治体や経済団体等で構成される「グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会」におきましては、関係機関が一体となって、広域経済圏としての海外へのミッション派遣や国内外の展示会出展等の誘致活動を行っております。
そして、2022年3月には、本県や名古屋市、名古屋産業振興公社を構成員として「INVEST IN AICHI-NAGOYA CONSORTIUM」を立ち上げ、本県に進出した外国企業と県内企業とのネットワーク構築等の支援を行っており、さらに、昨年度からは、本県に進出を検討している外国企業への伴走支援等にも取り組んでいるところです。
このような取組を進める中で、統計のある2002年度以降、これまでに195社の外国企業を本県へ誘致してまいりました。
来月末には、STATION Aiが開業し、国内外のスタートアップはもとより、世界的な大企業も誘致できる万全の受入体制が整いますので、外国企業と県内企業との協業・連携により、絶え間ないイノベーション創出や本県経済の更なる活性化に繋げ、日本の成長エンジンとして我が国の発展をリードし続けてまいります。
(知事)
次に、水素の社会実装に向けた取組についてであります。
本県は、日本一の産業県であると同時に、温室効果ガスを多く排出しているため、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を積極的に推進していく必要があります。
特に、当地の長年培われたモノづくり技術を活かし、新たなイノベーションを創出しながら、従来の化石燃料を脱炭素燃料に転換していくことが重要です。
そこで本県では、工場や発電所のほか、港湾や空港、運送、さらに農業や浄水場、公共施設など、県内のあらゆる分野において、水素やアンモニアを利活用するプロジェクトを推進しています。
例えば、サプライチェーンを構築するプロジェクトは、海外から調達するアンモニアを、碧南火力発電所での燃料として利用する取組を核としつつ、周辺の工場での工業炉や自家発電等の燃料を水素やアンモニアへ転換することを促進し、大規模な需要と供給を創出するものです。なお、このプロジェクトは、本年5月に成立しました水素社会推進法に基づく支援の獲得を目指しており、関係企業等と調整しているところです。
先月末、日本を代表する大企業の社長等と東京で意見交換を行いましたが、ぜひ愛知県で取り組んでいきたい、水素社会のモデル地域として一緒に世界へアピールしていきたいという大変心強い発言をいただきました。
本県としては、このようなプロジェクトを通して、水素やアンモニアの社会実装に向けたモデルを構築し、新たな経済成長の源泉となりうる水素関連技術、市場を創出してまいります。
(知事)
続いて、サーキュラーエコノミーについてお答えします。
まず、「あいちサーキュラーエコノミー推進プラン」の取組状況でございます。現在、循環ビジネスの高度化を牽引する7つのプロジェクトチームにおいて、延べ90事業者に参画いただいております。
既に、いくつかの事業者同士の連携が生まれ、新たな技術・アイデアの実用化に向けた先導的な取組が進展しております。
このうち、「プラスチック循環」のチームでは、今年7月、これまで再生が難しく廃棄されていた使用済み航空貨物用フィルムを再生し、ごみ袋に循環利用する取組を中部国際空港で開始いたしました。
本県では、この取組で開発された再生プラスチック原料の製造設備をはじめ、先導的なリサイクル設備の導入等を行った5者に対し、昨年度、約1億3千万円の補助金を交付し、県内産業のサーキュラーエコノミーへの転換を後押ししてまいりました。
今後につきましても、例えば「太陽光パネル循環」のチームでは、パネル重量の大半を占めるガラスの破砕くずについて、建築・自動車向けなど、付加価値の高いガラス製品への再生に取り組んでおります。また、「バイオマスプラスチック循環」のチームでは、抹茶かすやミカンの木の皮など、地域のバイオマス資源の利用割合を高めた新たな製品開発が進められています。
本県といたしましては、こうした取組の一層の拡充に向け、県内の動脈産業と静脈産業の連携を通じた、新たな技術やビジネスの創出を積極的に支援することにより、環境と経済が好循環する循環型社会の形成を推進してまいります。
(知事)
次に、スマート林業の推進についてであります。
「あいちのICT林業活性化構想」は、スマート林業の推進に向け策定したもので、森林クラウドシステムはその中心的な役割を担っています。このシステムは、航空レーザ計測により得られた、詳細な地形情報と膨大な森林資源情報に加え、県、市町村、林業経営体が保有する、所有者、面積等のデータや過去の伐採履歴などの情報を、クラウド上で一元化し共有する重要なシステムであることから、全国に先駆けて整備を進めてまいりました。
進捗状況としましては、2021年度から開発準備を進め、今年度、本格稼働を開始しており、県、市町村及び森林組合を始めとする林業経営体が利用しております。
現在、新規林道等のルート検討や木材生産に適した事業地の選定に活用しているほか、森林の施業を進める上で重要となる土地の境界についても、詳細な地形情報や森林資源情報を基に、境界の推定図を作成し、所有者に示すことで、測量や現地での立ち会いをすることなく、境界を明確化する実証事業を進めてきたところです。
今後は、製材工場などの需要に応じた木材生産や、森林クレジット創出の際の、現地調査や申請書の作成にも活用してまいります。
また、林業経営体等のシステム利用者から要望を聞き取り、新たな機能を順次追加してまいります。
こうした取組を進め、森林クラウドシステムにより、県、市町村、林業経営体が情報を共有し、連携することで、充実した森林資源を有効に活用し、本県の林業振興を図ってまいります。
(知事)
続いて、戦争に関する資料館についてお答えします。
資料館では、県民の皆様からご寄贈いただいた、戦時下の生活資料や図書・文献など、約19,000点の貴重な資料を収蔵し、その一部を県民の戦争体験や地域史を伝えるコーナーに展示することで、来館者自らが平和や戦争について考える機会を提供しております。
戦後79年が経過し、戦争の体験談を直接聞くことが日増しに難しくなっている中、実物資料を通じて、戦争の悲惨さを小中学生など若い世代へ継承していくことは、ますます重要になっております。
そのため資料館では、同年代の子どもたちが経験した苦労や思いを直接感じることができるよう、戦争当時の学校での生活や学童疎開をテーマとした展示を行うとともに、そうした展示資料の説明を小学生でも理解しやすい文章で表示するなど、工夫をしております。
さらには、小中学校へ戦争体験者を語り部として派遣する「平和学習支援事業」や、夏休み中の「戦争体験談を聞く会」を毎年度実施するなど、若い世代への継承という役割を果たしてまいりました。
来年は戦後80年、資料館開館10周年を迎えます。今日、私たちが享受している平和と繁栄は、あの悲惨な戦争により心ならずも命を落とされた方々の尊い犠牲と、ご遺族の皆様のご苦労、ご労苦の上に築かれたものということを決して忘れてはなりません。
そこで、戦争に関する資料館では、来年の節目の年を契機に、更なる展示内容の充実・改善を図るとともに、節目にふさわしい事業の実施を検討するなど、今後も、一人でも多くの皆様が、戦争の残した教訓や平和の大切さ、尊さを学び、平和を希求する豊かな心を育むことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
(知事)
次に、あいちトップアスリートアカデミーについてのお尋ねであります。
先日閉幕したパリオリンピック・パラリンピックでは、64名の愛知県ゆかりの選手が、夢の舞台で素晴らしいパフォーマンスを発揮され、私たちに大きな感動や勇気、元気を届けてくれました。
2026年に開催する、愛知・名古屋2026大会においても、地元から多くの日本代表選手を輩出し、活躍いただくことが、大会の盛り上げや成功に向けて、大変重要と考えております。
このため、本県では、小学4年生から中学2年生までを中心としたジュニア世代から、運動能力が高く、日本代表として世界で活躍する夢を持つ未来のアスリートを発掘し、育成する「あいちトップアスリートアカデミー」を2019年度から開講しております。
このアカデミーでは、競技団体の協力による専門的な指導のもと、射撃やアーチェリー、カヌーなど、ふだん体験する機会が少ない競技もカリキュラムに積極的に加えながら、素質を見出し、適性に合った競技へのチャレンジを促す取組を行っております。
アカデミーでは、昨年度までに延べ447名を育成し、昨年の鹿児島国体では3名が入賞、今年のインターハイにも2名が出場しました。さらにライフル射撃のアンダー18歳の日本代表として、今年12月の東アジアユース大会への出場を決めた選手も誕生しております。開講6年目を迎え、成果は着実に広がってきております。
引き続き、世界の大きな舞台で輝く、地元愛知出身のトップアスリートの発掘・育成にしっかりと取り組んでまいります。
(知事)
続いて、女性健康支援事業についてであります。
本事業は、性や妊娠に関する正しい知識の普及や、健やかな妊娠、出産に向けてライフステージに応じた支援を提供し、女性の健康の保持増進を図るものであります。
若い世代がライフプランを考えて日々の生活や健康に向き合っていただく、いわゆるプレコンセプションケアは、将来の健やかな妊娠や出産につながるといわれており、大変重要なことだと認識しております。
県では、2024年3月に開設した「すこやか妊娠・出産総合ポータルサイトAICHI」において、プレコンセプションケアについて啓発しており、8月末までのアクセス数は8,039件となっています。
また、相談に関する取組として、若い世代にはSNSが電話よりも利用しやすいという現状を踏まえ、2023年秋から妊娠や出産に関する様々な悩みに対応するLINEを活用した相談を開始しました。
寄せられた相談の中には、予期せぬ妊娠で誰にも言えずどうしたらよいかという深刻なケースもあり、医療機関への受診に躊躇されている場合に、助産師が産科医療機関へ同行し、市町村の支援窓口へつなげるアウトリーチ型の支援を実施しております。
今後も、若い世代に対する妊娠・出産・性に関する正しい知識の普及とともに妊娠期からの切れ目ない支援にしっかりと取り組み、安心して子どもを生み育てることができる愛知を目指してまいります。
(知事)
次に、困難な問題を抱える女性支援についてお答えします。
DVや性的な被害、経済的困窮など、困難な問題を抱える女性に安心して生活いただくためには、県や市町村、福祉施設や民間支援団体等が連携・協働し、相談から自立まで、ご本人の意思に寄り添った切れ目のない包括的な支援を提供することが重要であります。
そこで、県では、支援者や当事者のご意見等を踏まえ、本年3月に「愛知県困難な問題を抱える女性支援及びDV防止基本計画」を策定し、「包括的な相談支援体制の整備」や「支援者の育成、支援機関相互の連携・協働」など5つの柱に基づき、困難な問題を抱える女性支援の推進に取り組んでいるところです。
今年度からの取組として、相談支援体制の強化を図るため、女性相談支援センターの相談担当職員を1名増員したほか、県や市町村の相談支援員向け研修の対象に、新たに民間支援団体等で活動する方々を加えるとともに、カリキュラムを拡充し、複雑・多様化する課題に的確に対応できるよう、資質向上を図っております。
また、女性が避難できるシェルターを退所後の自立支援や、気軽に相談したり、心の拠り所として立ち寄ることのできる居場所の提供等を行う民間支援団体への助成制度を創設したところであり、お一人お一人に寄り添った支援活動を後押ししてまいります。
さらに、有識者や行政、民間支援団体等で構成する支援調整会議を新たに設置し、基本計画の進行管理とともに、関係機関相互の連携・協働を進めてまいります。
今後とも、困難な問題を抱える女性が、その意思を尊重され、自立した生活を営むことができる社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
(知事)
続いて、ひきこもり支援施策の推進についてであります。
本県では、2010年度に愛知県精神保健福祉センターをひきこもり支援の拠点として位置づけ、専門相談や支援者の人材育成を行うなど、ひきこもり支援施策を推進してまいりました。
近年では、長期のひきこもりによって80代の親と50代の子が孤立する「8050問題」に代表されるような、中高年層のひきこもりが増加しております。
こうした世帯をはじめ、ひきこもり状態にある方を抱える家庭では、経済的な問題や心身の健康、介護など複雑化かつ複合化した課題を抱えていることから、より身近なところで保健・医療・福祉に関する幅広い対応や支援を行うことが重要であります。
そのため、本県では2020年度から市町村におけるひきこもり相談窓口の設置や、支援者のスキルアップ等の体制整備を進めております。
具体的には、精神保健福祉センターに市町村を支援する専門職員を配置し、相談窓口の運営体制やひきこもり状態にある方の実態およびニーズの把握方法等について、市町村に直接出向いて助言を行ってまいりました。
その結果、ひきこもり相談窓口を設置した市町村は年々増加し、2025年度にはすべての市町村に窓口が置かれる予定であります。
さらに、支援者の知識や相談スキルを向上させるための研修を行うとともに、市町村が支援困難事例に対応できるよう、事例に応じて、県が精神科医師や弁護士、福祉関係者等の専門家を派遣し、支援のあり方について専門的観点から助言を行っております。
引き続き、ひきこもりの当事者とそのご家族が、地域で安心して生活できるよう、市町村とともにしっかりと取り組んでまいります。
(教育長)
県立特別支援学校における医療的ケア児への支援についてお答えいたします。
医療的ケアが必要な子供たちは、定期的にたんの吸引が必要であったり、人工呼吸器を常時使用する必要があるなど状況が様々でございます。そうした子供たちが安全な環境で安心して学べることが、何よりも重要であると考えております。
そのため、医療的ケアの申請があった際に、できるだけ早期かつ安全に、学校の看護師によるケアを開始し、保護者の負担を軽減できるよう、ガイドラインを今年度中のできるだけ早い時期に策定してまいります。策定にあたりましては、人工呼吸器などのケアをスピーディーに実施するためのルールのほか、入学前から受け入れ準備ができるよう、検討してまいります。
医療的ケア児にとりましては、社会見学や修学旅行等の校外学習は、感性や知的好奇心を育むとともに、心身の成長を促すうえで大変貴重な機会となります。そこで、看護師が同行し、医療的ケアを実施する「校外学習付添モデル事業」を、今年度は、ひいらぎ特別支援学校と豊橋特別支援学校の2校で実施しております。また、通学時に福祉タクシー等に看護師が同乗して、たんの吸引等を実施するモデル事業についても、名古屋特別支援学校と港特別支援学校の2校で実施しているところでございます。この2つのモデル事業は、保護者から「負担が減った」と大変好評を得ていることから、希望する全ての医療的ケア児が利用できるよう検討してまいります。
県教育委員会といたしましては、医療的ケア児が学校に通って仲間とともに生き生きと学び、自己の可能性を伸ばしていけるような環境づくりを、しっかりと進めてまいります。
(知事)
次に、インターネット上の誹謗中傷対策についてのお尋ねであります。
本県では、2022年4月に施行した「愛知県人権尊重の社会づくり条例」と、同条例の基本計画として本年3月に策定した「あいち人権推進プラン」に基づき、インターネット上の誹謗中傷の対策についても、様々な取組を実施しているところです。
まず、条例制定に先駆け2021年8月からは、SNS等の差別的な書き込みについて、「部落差別」、「外国人」、「障害者」、「新型コロナウイルス感染症」の人権課題を対象としたモニタリング事業を実施し、2023年度からは、新たに「性的少数者」も対象としています。
本年8月末までの3年間で、2,343件の差別的な書き込みを把握し、このうち悪質で違法性の高い203件については、本県から名古屋法務局に削除要請を行い、115件の削除を確認しております。
また、こうした書き込みは、発信者の匿名性や情報発信の簡易性といったインターネットの特性により、その多くが安易に行われていることから、適正な利用に向けた啓発が重要であります。そこで、今週末の9月29日には、インターネット上の人権侵害防止を目的とした講演会を開催するとともに、12月の人権週間には、SNS上の誹謗中傷を題材とした人権ポスターを作成し、新聞広告や交通広告などを活用して、集中的な啓発を行ってまいります。
さらに、「あいち人権センター」の人権相談窓口における、誹謗中傷等を受けた方への支援にも引き続き取り組んでまいります。
こうした様々な取組を通じて、インターネット上の人権侵害を防止することで、多様性を認め合う、誰一人取り残されることのない人権尊重の社会づくりをしっかりと推進してまいります。
(知事)
私からの最後の答弁になりますが、防災人材の育成についてお答えします。
南海トラフ地震などの大規模災害時には、災害の状況に応じて、体制を整備し、進捗を把握し、応援の確保に関して国等と調整するなどのマネジメント業務、いわゆる「災害マネジメント業務」を円滑に実施していく必要があります。
このため、大規模災害に備え、災害対応に関する制度に精通し、災害対策の中核を担える人材を、平時から多数育成しておくことは大変重要であります。
今回の能登半島地震では、羽咋郡志賀町へ災害マネジメント支援を行う総括支援チームとして、総務省による研修を受講し、総括支援員の名簿に登録されている、防災安全局の管理職8人を中心に、延べ104人を派遣いたしました。
今後、本県が大きな災害に見舞われた際の災害応急対策を実施する上では、こうした災害マネジメント業務を担える人材を、更に多く育成していく必要があります。
そのため、今年度は、各県民事務所の防災担当課や消防学校の管理職についても、総括支援員の名簿登録資格を取得できるよう、総務省の研修を受講させ、災害マネジメントに関する知識・能力の向上を図っているところです。
今後は、更に多くの災害マネジメントを担うことができる人材を育成し、本県の防災力の強化を図ってまいります。
(警察本部長)
始めに、企業等における技術情報の流出による経済安全保障上の脅威に対する取組についてお答えいたします。
県警察では、2018年に国内の製造業をリードする先端技術保有企業と「愛知ものづくりTOPネットワーク」を設立し、最新の流出事例や事件捜査を踏まえた流出防止対策等を情報提供して注意喚起を行うとともに、企業等からの相談などにも応じているところでございます。
また、警察本部と警察署が連携して、技術情報の流出に係る違法行為の取締りや県内企業、大学、研究機関等に対するアウトリーチ活動を進めるなど、産学官が連携して経済安全保障の確保に取り組んでいるところでございます。
次に、事業者におけるサイバーセキュリティ対策の促進に係る取組についてお答えいたします。
県警察では、ランサムウェアをはじめとするサイバー空間の脅威に対処するため、県内の事業者と情報共有できる枠組みを構築し、個別訪問や講話、メール配信により最新の犯行手口や対策について情報提供しているところでございます。
また、重要インフラ事業者に対しては、サイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練を実施しているほか、サイバーセキュリティ対策が不十分となる傾向にある中小事業者に対しては、対応状況を確認し、必要な対策を促すサイバー防犯診断を実施するなど、業種や事業規模を問わず、被害を未然に防止するための支援を行っているところでございます。
今後は、経営者層に直接、サイバーセキュリティ対策の促進を働き掛けるなど、企業等に対するアウトリーチ活動を強化し、多様化する脅威にさらされている企業を支援してまいります。
(警察本部長)
始めに、企業等における技術情報の流出による経済安全保障上の脅威に対する取組についてお答えいたします。
県警察では、2018年に国内の製造業をリードする先端技術保有企業と「愛知ものづくりTOPネットワーク」を設立し、最新の流出事例や事件捜査を踏まえた流出防止対策等を情報提供して注意喚起を行うとともに、企業等からの相談などにも応じているところでございます。
また、警察本部と警察署が連携して、技術情報の流出に係る違法行為の取締りや県内企業、大学、研究機関等に対するアウトリーチ活動を進めるなど、産学官が連携して経済安全保障の確保に取り組んでいるところでございます。
次に、事業者におけるサイバーセキュリティ対策の促進に係る取組についてお答えいたします。
県警察では、ランサムウェアをはじめとするサイバー空間の脅威に対処するため、県内の事業者と情報共有できる枠組みを構築し、個別訪問や講話、メール配信により最新の犯行手口や対策について情報提供しているところでございます。
また、重要インフラ事業者に対しては、サイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練を実施しているほか、サイバーセキュリティ対策が不十分となる傾向にある中小事業者に対しては、対応状況を確認し、必要な対策を促すサイバー防犯診断を実施するなど、業種や事業規模を問わず、被害を未然に防止するための支援を行っているところでございます。
今後は、経営者層に直接、サイバーセキュリティ対策の促進を働き掛けるなど、企業等に対するアウトリーチ活動を強化し、多様化する脅威にさらされている企業を支援してまいります。