平成24年12月定例会(2012.12.7)

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日比たけまさ 平成24年12月定例会一般質問

《一般質問》

 議長のお許しを得ましたので、通告に従い順次質問いたします。
 始めに「脱法ハーブへの対応」について質問します。
 突然ですが、みなさんは「Superfly」というシンガーをご存知でしょうか。平成19年にデビューし今年5周年を迎える、今最も注目を集めているアーティストの一人です。
 圧倒的な力強さで歌い上げる彼女の曲を、素人の私がここで披露することは決してできませんが、サッカーワールドカップ南アフリカ大会やロンドンオリンピックのテーマソングにも選曲されていますので、みなさん一度は耳にされたことがあると思います。
 先日、私が参列したある葬儀では、開式までの間、この「Superfly」の力強いロック調の楽曲が会場を流れ、およそ葬儀とはほど遠い雰囲気に私は居ても立っても居られない気持ちになりました。お亡くなりになった女子高校生が大好きなアーティストだったそうです。
 今から約2か月前の10月10日午前、私の住む高蔵寺ニュータウンで到底信じがたい、そして絶対にあってはならない交通事故により16歳の少女が命を落としました。通学に際し、見通しの良い横断歩道を自転車で渡っていた少女に猛スピードでワゴン車が接触したのです。その運転者は脱法ハーブを吸引し酩酊状態であったとのことで、後に危険運転致死罪で起訴されました。あまりに衝撃的なニュースでしたので、ご記憶に残られている方が多いと存じます。
 葬儀は通っていた高校の生徒や中学時代の友達であふれ返るという状況の中で進みましたが、私の頭の中は悲しみを通り越して、ある一点のみがぐるぐると駆け回っていました。「彼女はなぜ、命を落とさなければならなかったのだろう・・・彼女の死を無駄にすることは絶対にできない」ということです。
ここで、皆さんご存知のことと思いますが、脱法ハーブについて少し触れたいと思います。脱法ハーブは大麻や覚醒剤などの違法薬物と類似した成分を吹き付けた香草で、国内では3年前頃から流通し始めました。体内摂取を目的とする未承認薬物の売買は薬事法違反になることから、お香・アロマ・鑑賞用の「合法ハーブ」「合法アロマ」などと称して販売されておりますが、実態は吸引目的の売買が前提であると言われており、こうした販売店は、本年3月末時点で少なくとも29都道府県389業者も確認されております。
私の地元、春日井市でもつい先日まで「ハーブあります」と堂々と明記されていたお店がありました。新聞報道によるとこの店舗は11月19日、県と県警の合同立ち入り調査を受け、違法性が疑われるハーブは販売しないよう要請を受けたそうです。また、インターネットで検索すると「商品は観賞用・お香です。体内に取り込む行為は禁止です」との注意書きのもと、脱法ハーブが誰でも簡単に入手できる状態となっています。
脱法ハーブは麻薬や覚醒剤につながる入門薬物とも呼ばれていますが、身体への影響が未確認な成分を含むものも多く、けいれん・意識障害・呼吸困難などの重篤な健康被害を引き起こす恐れもあり、治療方法も確立されていないことから「禁止薬物」以上に危険だという声も多く聞かれます。
愛知県内では今年に入って脱法ハーブが原因と疑われる救急事例が100件を優に超え、うち2月6日には名古屋市のマンションの一室で脱法ハーブを吸引したと思われる20代男性が死亡するという事件も発生しました。同様の死亡事故は全国でも数件発生しております。
厚生労働省は平成19年から、薬事法の取締り対象とする「指定薬物」制度をスタートさせ、先月16日に指定された17種を含め、現在90種の化学物質を取締り対象としております。しかしながら、主成分の化学式を一部だけ変えた「新製品」が後を絶たず、現在も規制とのいたちごっこが続いています。
こうした中、国ではより厳しい規制をかけるべく2つの対策に力を入れています。1つは、まだ国内に流通していないものの既に欧米で危険性をうたわれている化学物質を予め規制対象とする水際防止策の実施。そして2つ目は、類似成分を含む物質を一括して規制する「包括指定」制度の導入です。
愛知県議会でも6月定例議会において、「違法ドラッグの規制強化に向けての意見書」が全員一致で可決されたのに続き、9月定例議会では「薬物の濫用の防止に関する条例案」も全員一致で可決され、10月16日、全国で東京都に次いで2番目という形で公布されました。また、大阪府議会でも10月23日に脱法ハーブを規制する条例が全会一致で可決されました。このように、国、府、県でも規制強化に向けた動きが活発になってきたところであります。
ここまで、脱法ハーブに関する動向に触れてまいりましたが、冒頭述べた事故では、脱法ハーブと何らかかわりのない第三者が命を落とすといった点で、これまでの事件、事故とは全く意味合いが異なります。全国でみても様々な形で第三者が事件、事故に巻き込まれるといったニュースが次々と飛び込んできており、一刻も早く脱法ハーブを撲滅しなければなりません。そこで今後の対応について質問をします。
 始めに、脱法ハーブの販売店に対する対応について伺います。県では、今年に入って4度の立入調査を行い、違法な成分を含むハーブの販売の確認や脱法ハーブの販売そのものの自粛要請を行うなど指導・取締りを進めており、販売店も減少傾向にあると聞いております。来年4月には、規制に関する部分も含め愛知県条例が全面施行されますし、国においても、来年2月に指定薬物の包括規制が行われる予定です。こうしたことを踏まえ、今後、県として脱法ハーブの販売店に対しどのような対応を考えておられるのか伺います。
次に、県民への周知について伺います。脱法ハーブによる事件事故、健康被害をなくすためには、販売する側だけを規制するのではなく、使用する側への注意喚起もたいへん重要だと思います。マスコミ等でも危険性については繰り返し報道されていますが、今後、県としてはどのように取り組んでいくのでしょうか。
 最後に脱法ハーブについての警察の取組について伺います。
 条例では、知事指定薬物について、製造、栽培、販売、販売目的の所持などが禁止となり、罰則も設けられております。また、薬事法の指定薬物についても、刻々と追加指定されております。こうした規制強化にともない、今後どのように取締り等に取り組んでいくのか、これまでの取組状況と合わせて、今後の方針をお伺いいたします。

 ここで、先日、冒頭申し上げた女子高生のご遺族の方からお手紙をいただきましたので、その一部をご紹介させていただきます。
「満16歳というあまりにも短すぎる人生を脱法ハーブを吸って運転していた加害者の車に命を奪われてしまいました。三人姉妹の長女として責任感の強さと思いやりを持つやさしい子でした。将来は人々を助ける看護師、助産師を目指しての夢を断たれ、さぞ悔しかったと思います。
多くの親しい友人などに送られて永久の旅立ちとなりました。残されました遺族も突然の出来ごと故に途方に暮れております。絶対に許すことの出来ないこのような危険運転が無くなるように切に祈るものです。」
本日は、お亡くなりになった女子高校生のご遺族の方も傍聴に来られております。県当局の誠意ある回答、そして脱法ハーブ撲滅に向けた強い決意をぜひお示しください。



次に「移動制約者に対する移動策」について伺います。
 急激な高齢社会を迎えている日本では、要介護高齢者等、公共交通機関を単独では利用できない移動困難者が増えるとともに、過疎地域や郊外住宅地では公共交通機関の利用が不便なため、車を運転できない高齢者等の移動制約者が増加しています。
こうした状況に対応すべく、現在「福祉移送サービス」として、福祉・介護タクシーを始めとした民間輸送業者が広がりをみせつつあります。この「移送サービス」には、一般タクシー事業者が福祉自動車を使用して行う移送や、要介護高齢者等の移送に業務の範囲を限定した福祉限定タクシー事業者が行う運送があり、一方、ホームヘルパーの資格を持ったタクシー運転手がタクシーの乗り降りの介助に加え、自宅や病院内において通院する上で必要な介助を行う等の訪問介護サービスも見られます。
「福祉移送サービス」は、昭和40年代後半にリフト付き福祉車両「ハンディキャブ」が開発され、ボランティア団体にて開始されたのが始まりと言われております。その後、平成12年の介護保険法施行や平成16年の道路運送法改正による規制緩和が進められた結果、福祉・介護タクシーを定年後や転職等で開業する個人事業者が増え、現在では愛知県内にこうしたタクシーがおよそ300台あるといわれています。
冒頭述べたような社会情勢の中、「福祉移送サービス」の必要性は今後高まることが予想されるものの、一般的な福祉輸送の実態は、利用者の自宅までのお迎え、病院や会合場所等の目的地まで送迎およびその前後の介助サービスの提供に1~2時間の時間を要す一方、利用が平日午前中に偏るなど、一般のタクシー事業と比べサービス提供の効率が非常に悪く事業として成り立ちにくいと言われております。
そこで、このような民間の福祉移送サービスを活用できないかといった点から話を進めます。
始めに救急車の適正利用および広域災害時における移送体制についてです。近年、全国的に救急車の出場件数が増加の一途を辿り、救急車の到着遅延の傾向や適正利用が社会問題となっています。愛知県でも平成17年まで救急出場件数が右肩上がりで増加し、その後一端減少を示したものの、平成22年以降また増加に転じ、昨年は初めて年間30万件を突破しました。この主な要因として、高齢化の進展に伴う搬送人員の増加等が挙げられておりますが、愛知県内の救急車は約220台しかなく、限られた救急車をより有効に活用するためにも、救急車および救急体制を整備するとともに、緊急性における搬送とそうでない搬送の振り分けをする必要が生じていると考えます。そこで救急車の適正利用に取り組んでいる東京消防庁を訪問し、取組事例を伺ってきました。東京消防庁ではこの問題に対処すべく平成17年度から緊急性のない方を搬送する手段として、公益財団法人東京救急協会が運営する「東京民間救急コールセンター」を立ち上げました。
 このセンターは、利用者の利用状況に応じて、緊急性がない通院や入退院、病院から病院への転院などに際し、民間救急事業者または救命講習を修了した乗務員が乗務するサポートCabを案内しています。平成17年度から21年度の5年間で、約2万6000件の民間救急、サポートCabの搬送利用があったことから、救急車の適正利用に結びつき、救急需要の抑制に一定の効果があったと判断されています。
 また災害時の移送強化策として、「震災等大規模災害時における傷病者の搬送業務に関する協定」を締結し、昨年の東日本大震災時には、災害により倒壊の恐れがでた病院に入院中であった移送困難者40名を他の病院に転送すべく、「東京民間救急コールセンター」に登録する民間救急事業者が協定に基づき患者を的確に移送したそうです。
 さらに東京消防庁では、平成19年から救急搬送トリアージ事業を開始しました。トリアージとは、一般的に「災害時に治療や搬送の優先順位を決定すること」とされています。「救急搬送トリアージ」とは、平常時における個別の傷病者に対する緊急度、重症度を評価し、評価結果に応じた搬送体制を提供する仕組みであり、具体的には救急隊が救急現場において傷病者を観察し、緊急性がないと判断された場合、診察可能な近隣の救急医療機関や救急相談センター、先ほど述べた東京民間救急コールセンター等を案内し、自己通院を促すものです。本人または保護者、責任者等の同意が得られれば、救急隊による医療機関への搬送はしません。ただし、同意が得られなければ通常どおり搬送します。事業効果として、実施件数が年間2,000件を超える中、およそ8割の方が搬送しないことに同意をいただいており、結果、救急隊が再出場可能となるまでの活動時間が、同意が得られず搬送した場合より18分短くなるという効果が挙げられています。
 愛知県は、昭和54年に「救急医療情報センター」が設置されるなど、救急医療についての先進県であると言えます。先日、センターにお伺いさせていただきましたが、頻繁にかかる電話に対しオペレーターの方が、近隣病院がどういった診療状況か瞬時に端末で確認し、適切な指示を出している姿を目の当たりにし、大変心強く感じました。救急医療情報センターでは昭和54年の開業以来の電話件数が450万件以上、近年では年間20万件前後の電話を受信しており、愛知県の救急医療相談窓口として広く県民に浸透しています。だからこそ、さらなる進化を果たしていただきたく、民間救急を活用できないものかと期待して止みません。
 そこで質問いたします。救急車の適正利用が課題となっている中、緊急を要しない患者等の搬送需要にどのように対応していくのか県としての考えを伺います。また、本県の救急医療情報センターを活用した民間救急事業者の情報提供について伺います。
次に移動制約者の移送需要及び支援に対する県の見解について伺います。
要介護認定を受けている方など、移動が制約される方にとっての外出は決して容易ではありません。このような方々に対して移動支援を行い、ハードルを低くすることで、通院・通所も円滑になり症状の改善等に効果がもたらされることはもちろんですが、社会参加や消費行動が促進されること、あるいは介護等に専従してきた家族の就業が可能になることなど、地域社会および地域経済にも大きな波及効果をもたらすものと考えられます。また、直接的な経済波及効果ではないものの、移動制約者自身の「閉じこもり」抑止効果や近親者の介護疲労の軽減など、移動制約者およびその家族を巡る生活環境の向上も期待できます。このように移動制約者の外出支援には計り知れない効果があり、行政の対応が大変重要になると考えます。
国は平成18年度、福祉輸送のニーズに的確に対応するため、一定の地域における計画的な福祉車両の導入、輸送効率の向上に資する共同配車センターの設立等への支援を行い、福祉輸送の普及を促進することを目的とした「福祉輸送普及促進モデル事業」を創設しました。ここに大阪府、大阪市、堺市が支援する「大阪福祉タクシー総合配車センター」や京都市が支援する「京都市福祉タクシー共同配車センター」等が設立されました。先日「大阪福祉タクシー総合配車センター」に話を伺ったところ、「まだまだ存在が知られていない」ことを課題に挙げられていましたが、そうした中でも利用者数の拡大を目指すべく、料金体系の見直しや自治体の協力を仰ぎながらの広報活動に努めた結果、設立当初の平成20年は年間500件余りの配車件数であったのが、平成24年は11月末時点で既に4,000件を超える配車実績があるとのことで、移動制約者の支援に寄与していると言えます。
そこでお伺いします。車社会と言われる愛知県でも移動制約者の足となる支援が重要であると考えますが、移送需要及び支援について県としての見解を伺います。



最後に、前回平成24年2月定例議会でも質問させていただいた「高蔵寺ニュータウンの再生」について伺います。
 9か月しか経過しておりませんが、この間、私の地元高蔵寺ニュータウンで発生した出来事や、国によるニュータウンの課題解消に向けた施策を紹介しながら、質問をいたします。
 前回、高蔵寺ニュータウンが形成された背景やニュータウン再生に向けた地域での動きについて触れましたので今回は省略しますが、課題はぜひご認識いただきたいと思います。ずばり、「人口減少と急激な高齢化による町の衰退」です。
 国では本年9月5日、地域再生法の一部を改正する法律が公布され、地方公共団体が地域活性化のために特に重点的に取り組む必要のある政策課題、例えば少子高齢化への対応などを「特定政策課題」として国が提示、その解決のための事業に対して国が重点的かつ総合的な支援策を講ずる「特定地域再生制度」が創設されました。この課題の中には「居住者の高齢化等が進む郊外住宅団地における生活環境の維持・向上」という視点も取り上げられております。
 一方で、高蔵寺ニュータウン内には約8ヘクタールの県有未利用地が存在し、県はこの土地について「行革大綱に係る重点改革プログラム」に掲げる「県有地や県施設の空きスペースの利活用の拡大」の一環として、今年に入り2つの新たな施策に取り組まれました。
一つは「未利用地の活用アイデア募集」と題して未利用県有地を紹介し、県民の方を始め広く活用アイデアを募集しているという取組。もう一点は「県有地を活用した福祉施設の整備促進」事業として、福祉施設の整備促進を図るため、県有地を福祉施設運営事業者に賃貸する制度を創設し、その1例目として、春日井市健康福祉部にて公募する運びとなりました。
 これまで40年余り手つかずに残っていた土地がにわかに動きを見せる中、この土地の今後の動向が地元の大きな関心事となっており、先日「高森台県有地の活用を提案する市民の会」なる市民団体が設立されたところです。
 さらに県内各大学では、高蔵寺ニュータウンの再生、特に若い世代を取り込もうという研究や取り組みが盛んに行われております。例えば、フランスで成功した世代間同居、これは学生が低家賃で独居老人宅に一緒に暮らし、他人以上親戚未満の関係を構築することで、孤独死解消と学生の生活支援を両立する取り組みなのですが、これを高蔵寺ニュータウンで実施しようと取り組んでいる地元中部大学。また、椙山女学園大学、名古屋大学、名古屋商科大学、名城大学の学生とUR都市機構が協同して、入居者が部屋を自分流にDIYして住むことができる賃貸住宅「フリースタイルハウス」の内覧会を開催するなど、斬新なアイデアが次々と生まれる中、最近ではメディアもよく紹介しております。
 このように、産、学が連携を取り始めている中、行政においても積極的に取組に関わっていただきたいと思います。
 そこで質問します。県は高蔵寺ニュータウンにある県有未利用地をどのように認識し、どのように活用しようとしているのでしょうか。
次に県有地活用による福祉施設整備事業についてであります。この12月には事業者が決定されると伺っておりますが、現在の状況および今後の予定についてお聞かせください。
最後に、私としましては高蔵寺ニュータウンの再生が、少子高齢化が著しく進行する大規模住宅団地を再生する全国モデルとなってほしいと考えていますが、高蔵寺ニュータウンの再生に向けた、地元各大学と連携した研究や取組みについて、県としてどのように考えておられるのかお聞かせください。

 以上で壇上からの質問を終了いたします。ご静聴ありがとうございました。

《質問要旨》

1 脱法ハーブへの対応について

(1)脱法ハーブの販売店に対し、今後、県はどのような対応を考えておられるのか伺います。

健康担当局長答弁要旨
脱法ハーブの販売店への対応についてお答えを申し上げます。
薬事法の指定薬物につきましては、現在90物質が指定されているところでありますが、先月末、国において特定骨格を有する指定薬物を包括的に指定する方式が、国の薬事・食品衛生審議会指定薬物部会において了承され、来年2月を目途に大麻類似成分760物質が新たに規制されるなど、大幅な規制強化が行われることになっております。
県におきましても、来年4月1日の薬物の濫用の防止に関する条例の全面施行に合わせ、本年度中に県衛生研究所に検査機器を新たに整備し、県独自に脱法ハーブの買上検査体制を整え、違法薬物を早期に発見するよう努めてまいりたいと考えております。
万が一、違法な成分を含むハーブが発見されました場合には、販売業者に対し、当該製品を販売中止させるなど厳正に対処してまいります。
 

(2)県民への周知について、今後はどのような対応を考えておられるのか伺います。

健康担当局長答弁要旨
次に県民への周知についてであります。
脱法ハーブの危険性に関する周知につきましては、県のホームページを活用するとともに、啓発用のポスターの掲示をカラオケボックスやスーパーなどへ依頼したり、地域の健康まつりなどの開催に合わせて啓発活動を行うなど、関係機関と連携を図り周知徹底に努めているところであります。
その一方で、繁華街やインターネットで簡単に購入することができ、十分な危険意識なく使われている現状があります。特にインターネットでは、子どもたちでも販売情報に容易にアクセスできる状態となっていることから、さらに周知を図る必要があると考えております。
脱法ハーブが原因と疑われる救急事例につきましては、本県が調査を始めました本年2月から11月までの間に、県内の各消防本部等から135件の報告がありました。年代別に見ますと、若年層と言われる10代、20代の割合は62%と高くなっておりました。
県といたしましては、こうした状況を踏まえ、今後は、特に若年層を中心に周知を図っていかなければならないと考えております。
そのため、若年層向けのパンフレットを作成し、脱法ハーブなどの不正薬物の危険性について、普及啓発に努めてまいります。
 

(3)脱法ハーブへの取組と今後の方針について

条例では、知事指定薬物について、製造、栽培、販売、販売目的の所持などが禁止となり、罰則も設けられております。また、薬事法の指定薬物についても、刻々と追加指定されています。こうした規制強化にともない、今後どのように取締り等に取り組んで行くのか、これまでの取組状況と合わせて、今後の方針をお伺いいたします。

警察本部長答弁要旨
脱法ハーブへの取組と今後の方針についてお答えいたします。
はじめに、これまでの取組についてでございますが、取締りに関しましては、その供給源である販売店経営者を指定薬物の販売などの薬事法違反で検挙し、さらに乱用者についても、脱法ハーブを吸引して交通事故を起こした者を危険運転致死傷罪で検挙しております。また、医薬品の無許可販売容疑で脱法ハーブの自動販売機などを押収しております。さらに、本年7月と11月には県内の販売店に対し、県と合同で立入りを行い、販売実態の調査と販売自粛要請を実施しております。こうした取組により、県内の販売店につきましては、最盛期で約40店舗あったものが、約20店舗まで減少しており、経営者からは、取締りの強化や販売自粛要請により、閉店に至ったとの話も聞いております。
次に今後の方針についてお答えいたします。基本的にはこれまでの取組を継続していくことが重要であると考えており、特に、次の三点について推進していく方針であります。
一点目は、取締りの徹底であります。いわゆる脱法ハーブに関する事案については、薬事法や条例を始めとする関係法令を多角的に適用し、例えば、指定薬物の販売・販売目的の貯蔵、あるいは、麻薬の所持・使用などの行為に当たるものについては徹底した取締りを行ってまいります。
二点目は、販売店に対する県との合同立入りであります。今後も販売店への立入を積極的に行い、販売実態の把握や販売自粛要請を継続して行ってまいります。
三点目は、乱用防止に向けた広報啓発活動の推進であります。脱法ハーブの乱用は、覚醒剤等の薬物乱用への契機となることから、学生・生徒に対する薬物乱用防止教室の開催など、積極的な啓発活動を行い、脱法ハーブの蔓延防止に努めてまいりたいと考えております。

知事答弁要旨
日比たけまさ議員からの質問のうち、脱法ハーブへの対応につきまして、私からも答弁させていただきたいと思います。
脱法ハーブによる健康被害や関連する事件・事故が全国で相次いでおりまして、県内においても、10月に、議員ご指摘のように、春日井市内で女子高校生がワゴン車にはねられ死亡するというたいへん悲しい事故が発生をいたしました。また、引き続いて、名古屋市内で脱法ハーブの吸引が疑われる男の運転する乗用車が追突事故を引き起こしております。これらは、いずれも安易な脱法ハーブの使用が原因であると考えております。
このため、脱法ハーブにつきましては、私ども愛知県は、東京都に次いで独自の規制条例を制定いたしまして、去る9月議会にご議決を賜ったわけでございます。県警と連携して、引き続き指導取締りを強力に行っていくことといたしております。
また、これから薬物に接触する可能性のある若年世代、若者世代の入口とも言える中学3年生をターゲットといたしまして、本年度中にパンフレットを作成いたしまして、県内の中学3年生全員にそのパンフレットを配布することといたしております。
このパンフレットを活用いたしまして、早い時期にこうした薬物の危険性を理解させ、インターネットに流れている薬物に安易に手を出すことのないよう、関係機関と連携をし、積極的に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、特に、議員ご指摘のとおり10月に春日井市内で、ワゴン車にはねられて亡くなられた女子高生の悲しい事故が発生いたしまして、心からご冥福をお祈りしたいと思っておりますし、今日も傍聴に来られておられると聞いておりますが、ご遺族の方々の無念のお気持ちを考えると言葉もありません。二度とこのような悲しい事件事故が起きないように、断固として取締り、厳正に対処し、脱法ハーブについては根絶をしていくということで、厳しく対応していきたいと思っております。これからもよろしくお願いします。


2 移動制約者に対する移動策について

(1)ア 救急車の適正利用が課題となっている中、緊急を要しない患者等の搬送需要にどのように対応していくのか県としての考えを伺います。

防災局長答弁要旨
緊急を要しない患者等の搬送需要への対応についてであります。
救急現場での緊急搬送の要否を決定するための緊急度判定については、現状では、県内の消防本部で具体的な基準に基づき実施をしているところはありません。しかし、個々の事例において、緊急度が低く緊急搬送不要と判断した場合で、さらに自分で医療機関を受診することに同意が得られた場合に、不搬送とするなどの対応を取っています。
緊急度判定のあり方については、総務省消防庁において平成18年度から検討が重ねられており、判定基準の標準化を目指して、今年度は緊急度判定の手順について全国3地域で実証実験が行われています。国では将来的に、全国の消防本部で使用可能な緊急度判定システムを構築することを目指していますので、県としてはこの国の動きに即して適切に対応してまいりたいと考えております。
また、緊急を要しない患者等のうち介助等が必要な高齢者や身体障害者等の搬送需要については、ベッド等を備えた搬送用自動車や乗務員の応急手当の知識など一定の基準を満たした事業者を、消防本部において「患者等搬送事業者」として認定しております。
これは、総務省消防庁の定めた基準に基づくものであり、こうした搬送需要には有用と考えられますので、県としてもこの認定事業者についてホームページに掲載して広報に努めるとともに、各消防本部にも幅広く周知に努めていただくよう働きかけてまいります。

(1)イ 本県の救急医療情報センターを活用した民間救急事業者の情報提供について、伺います。

健康担当局長答弁要旨
本県の救急医療情報センターを活用した民間救急事業者に係る情報提供について、お答え申し上げます。
救急医療情報センターでは、県民の皆様からの休日や夜間等に対応可能な医療機関の問い合わせに対しまして、症状に応じた適切な医療機関を紹介しているところでございます。
その際、消防本部が認定する患者等搬送事業者を案内することは、一般のタクシーへの乗車が困難である方の利便性を図る上で、有効な手段であると考えますので、今後、案内の実施に向けて、運営主体である愛知県医師会と調整してまいります。
なお、患者等搬送事業者の多くが事業所を都市圏に置いており、活動エリアに偏りがあるため、事業者のリストを整備し、案内時には、最も近隣となる事業者の情報を速やかに提供できるよう、十分配慮してまいりたいと考えております。

(2)車社会と言われる愛知県でも移動制約者の足となる支援が重要であると考えますが、移送需要及び支援について県としての見解を伺います。

健康福祉部長答弁要旨
移動制約者に対する移動策のご質問のうち、移動制約者の移送需要及び支援についてお答えいたします。
まず、移送需要についてであります。
要介護認定を受けた方は一般的に移動制約を伴う方が多いと思われますことから、要介護認定者数の推移を見てみますと、平成20年4月末現在の約14万8千人から、平成24年4月末現在で17万3千人に増加しており、移動制約のある方の移送需要は、今後ますます増加していくものと考えております。
次に、移動制約者に対する支援についてであります。
これら移動制約のある方への支援といたしましては、介護保険に基づき訪問介護事業所が行う通院等乗降介助や、NPO法人等が行う福祉有償運送による送迎などがあり、また、経済的な支援として、市町村が独自に行う敬老パスや介護タクシー料金の助成といった高齢者外出支援サービスなど、地域の実情に応じて様々な支援が行われております。
また、民間の事業者においても、この4月に県内の介護タクシーの事業者が連携し、介護タクシーを効率的に配車するコールセンターが新たに開設されたと聞いております。
県としましても、こうした移動制約のある方に対する支援は、高齢者の方々が自立した日常生活を営むうえで、大変重要なものと考えておりますことから、毎年発行する「介護保険・高齢者福祉ガイドブック」にこれらの取組を掲載し、広く情報提供するなど啓発に努めてまいります。


3 高蔵寺ニュータウンの再生について

(1)県は高蔵寺ニュータウンにある県有未利用地をどのように認識し、どのように活用しようとしているのでしょうか。

総務部長答弁要旨
高蔵寺ニュータウン内の県有未利用地についてお答えさせていただきます。
この土地は、昭和45年に旧日本住宅公団の土地区画整理事業により仮換地指定を受けた、かつての県有林でありまして、当初24ha余りあった土地の3分の2は高蔵寺高校、浄水場の整備のほか、売却などにより有効利用してまいりましたが、現在残りの約8haが未利用地となっております。
一方、厳しい財政状況が続く中、累次の行革大綱におきまして、県有財産の有効活用や未利用地の売却を、自主財源の確保のための重要な取組事項に位置付け、推進してきたところであります。
高蔵寺の土地につきましても、未利用地の一つとして、民間有識者の助言もいただきながら、売却を基本として有効活用を検討してまいりましたが、高低差20メートルを超える広大地であり、多額の造成費が必要であることから、早期に未利用地の全体を解消することは困難な状況でございました。
これらの状況を打開するため、今年に入りまして、民間の活力と柔軟なアイデアを未利用地の有効活用に活かしていく取組みとして、議員お示しの福祉施設の整備促進とアイデア募集の制度を新たにスタートさせ、この土地についても対象リストに掲載したところであります。
地元春日井市のご協力により福祉施設の整備という成果が生まれようとしておりますので、こうした取組みを今後もしっかりと続けていきたいと考えております。

(2)次に県有地活用による福祉施設の整備事業についてであります。この12月には事業者が決定されると伺っておりますが、現在の状況および今後の予定についてお聞かせください。

総務部長答弁要旨
次に、県有地活用による福祉施設整備についてでございます。
この取組みは、地域福祉の充実と未利用地の解消を同時に図る施策として知事がマニフェストで提唱したものであり、福祉施設の整備運営を行う事業者に、定期借地権を設定して県有地を貸し付ける制度として今年3月から運用を始めたところであります。
この制度の活用を県内市町村に説明しましたところ、春日井市から、この県有地の一部を福祉施設の設置のために活用することが適当であるとして、県の提案に応じていただきました。
その後、春日井市において、整備運営する事業者を8月に公募していただき、近日中にその事業者を決定する運びとなっております。
来年度半ばには、県と事業者との間で土地貸付契約を締結いたしまして、26年4月に事業者が施設整備した新しい福祉施設が開所する予定であります。
福祉施設の整備促進につきましては、今回の春日井市の事例を皮切りに、市町村と連携いたしまして、2例目、3例目の実現に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。

(3)高蔵寺ニュータウンの再生に向けた、地元各大学と連携した研究や取組みについて、県としてどのように考えておられるのか、お聞かせください。

建築担当局長答弁要旨
高蔵寺ニュータウンの再生に関する地元での研究や取組みについて、ご質問をいただきました。
地域住民や地域の組織などがまちづくりに主体的に参加することは、地域の特性に応じたきめ細かな住まい・まちづくりの実現のために重要な取組みであると考えております。
このため、本県の住まい・まちづくりのマスタープランである「愛知県住生活基本計画2020」において、「住まい手と地域が主体的に進めるまちづくり」を目標の一つに掲げており、啓発事業や活動拠点の整備支援などを通じて、地域での自主的・自立的な住まい・まちづくりを、推進することとしております。
議員お示しの、高蔵寺ニュータウンにおける大学と連携した新たな取組みは、地域が主体となって進めるまちづくりとして、有意義なものと考えております。
県としましては、高蔵寺ニュータウンの再生に向け、今後も地元の春日井市と連携し、このような地域が主体となって進める取組みに対して、できる限りの協力をしてまいります。