本日は地元の春日井市が区域となっております、県営名古屋空港の運営について質問いたします。
県営空港は、平成17年2月に開港し、この6月で8年4ヶ月を迎えます。この間、地元が大きな期待を寄せておりました「ジェイエア」が撤退を発表した平成22年には、この空港の今後はどうなってしまうのかと、地元では大変大きな不安に包まれました。
こうした時にFDA、フジドリームエアラインズが来て頂くことが決まり、「地獄に佛」と思ったものであります。
昨年度の県営名古屋空港を発着するFDA便の利用者は、約50万人に達し、県営空港になって以来、最高の旅客数になっております。
一方、空港周辺は平成20年「エアポートウォーク」という大規模ショッピングセンターと映画館の開業に伴い、大変な賑わいをみせております。また、昨年度はターミナルビルの屋上に展望デッキが8年ぶりに復活し、身近に空港と航空機を楽しめる場として、地元のみならず多くの方に来場頂いております。
こうした空港とその周辺の賑わいを作っているのが、名古屋空港ビルディング株式会社、通称「空ビル」です。先程ご紹介した展望デッキは、空ビルの設立55周年記念事業として整備されたものですし、エアポートウォークは、空ビルが10haを超える用地を国から購入し、「ユニー」を誘致したものです。
この空ビルは、県営空港の管理を受託する「指定管理者」でもあります。愛知県、名古屋市と名鉄、全日空などの民間企業によって昭和32年に設立された第三セクターで、国営空港時代には、国内線・国際線のターミナルビル運営をはじめ様々な旅客サービスを担ってまいりました。
県営空港の開港後は、8年余に渡り空港管理全般を担う「指定管理者」となっているわけですが、これまでの空ビルによる指定管理について、県はどのように評価しているのかお尋ねをいたします。
航空対策課
現在の指定管理者の評価について、お答えします。
名古屋空港ビルディング株式会社は、平成16年9月の県議会において、ご議決をいただいて、県営空港の指定管理者となっております。
空港の指定管理業務には、広大な着陸帯の維持・管理、航空灯火の保守・点検、エプロン・スポットへの小型機の誘導、事業者からの使用料の徴収、ターミナルビルの管理等があります。
空ビルは、国営空港時代から培われたターミナルビルの運営ノウハウと航空事業者との緊密な連携を生かして、指定管理業務を堅実・着実に進めていただいているものと評価しております。
また、空ビルは、県営空港のエアポートセールスにも極めて熱心で、社長自ら、海外に出向き、「都心に近く、コンパクトで使い勝手のよい」県営空港の魅力をPRしていただいております。
加えて同社の決算は、これまで4期連続黒字と健全な経営となっておりまして、こうした点からも名古屋空港ビルディング株式会社は、安定した空港運営ができる事業者であると評価しております。
次に、県営名古屋空港の今後の運営についてお尋ねします。
県営名古屋空港においては、国営空港から県営化する際、空港利用者へのサービスレベルの向上と経費節減を目的として、全国の空港ではじめて、地方自治法に基づく指定管理者制度を導入しました。この県営空港への指定管理者制度の導入は、愛知県における同制度の適用第1号でもあります。
現在、県営名古屋空港を含む周辺の地域は、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の指定を受け、空港に隣接する三菱重工小牧南工場では、YS-11以来の国産旅客機となるMRJの試作機開発が進められております。
また、県では本格的に航空機の生産・整備拠点を誘致するため、今年度から国有地の取得などを具体的に進めると聞いておりますし、県営空港においても、リージョナルジェットの生産用地としてエプロンや駐車場などの再整備を進めるため、5千万円余が調査・設計費として今年度予算に計上されております。
こうした地域を上げての取組が県営空港の再整備とともに動き出しているなかで、再来年(平成27年)3月には、空ビルによる10年間の指定管理期間が終了します。
そこで、次の県営空港の運営を担う指定管理者は、どのような団体・企業を選定していくお考えかお尋ねします。
一方、今国会で審議が進められていた「民間の能力を活用した国管理空港等の運営に関する法律」いわゆる空港版のPFI法が先週水曜日6月19日に参議院本会議で可決、成立しております。
この法律は、地域の実情を踏まえながら、民間ノウハウを活用した空港運営を図るため、国や地方が管理する空港に運営権を設定するもので、この運営権を「コンセッション」といっております。
運営権を取得した民間企業は、着陸料の設定、ターミナルビルや駐車場の運営、エアポートセールスの展開など、空港運営と関連事業を 一体的に実施できるということであり、これが「コンセッション」設定のアピールポイントとなっております。
県営名古屋空港においても、この法律を適用すれば設置者である愛知県の判断によって運営権が設定できるのであり、これを取得した民間企業による運営が可能になるわけであります。
そこで、再来年に迫った指定管理期間の終了を控えて、新たに制度化された「コンセッション」の導入について、どのように検討を進めていくのか、合わせて伺います。
航空対策課
次に、県営名古屋空港の今後の運営に関するご質問であります。
県営名古屋空港は、航空機産業振興への対応はもちろん、広域防災拠点という新たな空港機能の追加、さらには 自衛隊小牧基地が着陸帯を共用するという、他の空港にはない特性と将来構想を 持っております。
指定管理期間終了後の空港運営につきましては、こうした空港特性と将来構想に的確に対応するとともに、良好なサービスの提供と 経費節減も達成しなければなりません。
とりわけ、国際拠点空港であるセントレアとは、適切な機能分担を図りつつ、県営名古屋空港の運営に当たる必要もございます。
これらについて十分に考慮し、指定管理制度や、新たに制度化されたコンセッション方式も含めて、それぞれの制度の有効性を見極めながら、県営空港に最も適した運営手法を採用し、その運営を託す事業者が確実に選定できるよう、様々な角度から慎重に検討を進めてまいりたい。そのように考えております。
ありがとうございました。
最後に、地元2市1町の唯一の委員として県営名古屋空港に対する地元の思いを述べさせていただきます。
県営名古屋空港は、第二次世界大戦のさなかに、地元の方々が土地を提供し、「もっこ」や「鍬」を持ち寄って、空港造成に協力してできあがった空港です。
その後も自衛隊機の墜落事故や今なお残る騒音問題なども含め、私たち空港の地元では、この空港を自衛隊基地の機能が全面的に強調されることのないよう、地域と共に歩み、地域が利用できる空港でなければならないものとこのように考えております。
であるからこそ、地域が利用できるコミューター路線の存続は絶対に守り抜きます。これは地域の総意であり、固い決意であります。
また、県営名古屋空港は全国初の本格的なコミューター航空の拠点であり、今後コミューター航空の需要増加が見込まれる中、中部国際空港との相乗効果も期待できるものと確信しております。
県当局におかれましては、こうした地域の固い決意をお酌み取りいただき、空港運営に当たっていただくよう、強く要望して質問を終わります。