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日比たけまさ 平成25年9月定例会一般質問
議長のお許しをいただきましたので、通告に従い順次質問をさせて頂きます。
始めに「在宅就業、テレワーク支援について」伺います。
国立社会保障・人口問題研究所が、本年3月に公表した「日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)」によると、日本の全人口は2010年の1億2,806万人から、15年後の2025年には1億2,066万人に、30年後の2040年には1億728万人に減少するとされています。また15歳以上65歳未満のいわゆる「生産年齢人口」が全体に占める割合は、2010年の64%から2040年には54%へと低下します。
労働力の確保は日本にとって喫緊の課題であり、一定の労働力を維持するためには「ダイバーシティ」と真剣に向き合う必要があると言えます。「ダイバーシティ」というと、女性、障害者、高齢者などが思い浮かびます。こうした方々の中には外に働きに出ることが困難な方がたくさんみえます。そこで、「在宅」しながら就業、就労できる環境の整備についてお尋ねしていきます。
初めに、在宅就業への支援について質問します。
在宅就業には、事業主と雇用関係にない請負契約等に基づく働き方として、内職と在宅ワークがあります。これらは、非雇用関係すなわち労働基準法の対象とならないため、最低賃金の保証はありません。
内職は、主婦などが家計補助のため、家内労働法に基づき製造・加工業者などから委託を受け、家事の合間に家内労働に従事するものが一般的なものです。
内職の始まりは家内工業で、その起源は江戸時代の武士の内職とも言われております。家内労働法の制定時には、洋服の寸法直し、編み物など、もっぱら製造業における軽作業が中心でしたが、現在では自動車部品やプラスチック部品の加工など多種多様な業務となっています。
企業において機械化が進んでも、ゴム製品のバリ取りなど機械では加工できない作業を内職が担っており、内職が本県の製造業を下支えする重要な役割を担っているとも言えます。
しかし、内職に従事される方は弱い立場にあり、中には様々な名目で高い金額を支払わせられながら、仕事を回してもらえない、収入はそれほど得られないという被害にあう、「インチキ内職」に巻き込まれるケースもあるようです。
一方、在宅ワークは、業務請負契約によりパソコンなどの情報通信機器を活用して、在宅で自営的にサービスの提供を行うものです。
2008年の厚生労働省の調査において、全国で約124万人が従事し、収入水準については、データ入力や文書入力ですと月3万円、ライターや翻訳であると月6万円、Webデザインや設計になると月15万円程度が中央値と言われております。
しかしながら在宅ワークは、その就労形態は内職に近いにもかかわらず、家内労働法で定める内職ではないため、最低工賃制度等の法律の保護も及びません。
このため、在宅ワークをこれから始める人や始めて間もない方に、在宅ワークに関する基礎知識やノウハウを理解していただき、インチキ内職と同様、トラブルを未然に防ぎ、安心して在宅ワークを行っていただく必要があります。
そこで、お伺いします。愛知県内の家内労働者数や業務の内容はどうなっているのでしょうか。また、愛知県では内職に関する相談・斡旋を行っておりますが、その実施体制はどのようになっているのか、お伺いします。
併せて、内職や在宅ワークでトラブルに合わないように、どのような対応を行っているのか、お伺いします。
次に「テレワーク」への支援について伺います。
テレワークとは「ITを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」をいいます。テレワークは「働き方」を表す言葉であるため、雇用、非雇用の関係は問いません。このような形態で、週に8時間以上働く人を「テレワーカー」と呼び、国土交通省が本年4月に公表した「平成24年度テレワーク人口実態調査」によると在宅型テレワーカー数は、前年より約440万人増え、約930万人となっています。
テレワークは1980 年代初頭に導入が始まると、女性の社会進出が活発化する中、妊娠や育児期間においても、在宅等で電話やファクシミリを活用して行える働き方として注目を集めるようになりました。その後、バブル経済による地価高騰の際には、郊外にオフィスを置き、近郊の従業員が通うサテライトオフィスが登場するなど、一部の企業において現在のテレワークに相当する制度の導入が試みられるようになったものの、その後普及が一時停滞します。テレワークは「働き方の変革」となるだけに、多くの企業において実験的な形にとどまったまま収束したのです。
しかしながら90年代後半に入り、ITの発達によりインターネットによる情報通信ネットワークが急速に発展。加えて携帯電話が普及し始めると、携帯電話やノートPCを利用し、決められた場所以外でも業務を行うモバイルワークが新たな主流となり、テレワークが再び脚光を浴び始めます。さらに2000年代に入ると、少子高齢化での労働力確保や、「ワーク・ライフ・バランス」の実現の為に、政府主導でテレワークが積極的に推進されるようになりました。
そんな中、愛知県においては平成15年度に「障害者テレワーク活動支援事業」が創設されます。
当時のパンフレットには、
「近年のIT技術の発展により、テレワークという新たな働き方が注目されております。
企業においては、勤務形態の枠を広げ生産性の向上やコストの削減に寄与するメリットがあります。一方勤務者にとっては通勤を気にすることなく、短時間の仕事も可能なことなどから、時間的ゆとりや新たな事業活動の展開が可能となります。
また従来雇用機会の少なかった障害者を始め高齢者、家庭の女性などに就業の機会が拡大します。
このため、本県では、障害者のテレワーク活動事業を推進し、障害者の自立を支援します。」と謳われておりましたが、平成20年度を最後に事業が無くなります。
そこで伺います。この事業が行われた背景および事業の実績はどのようなものだったのでしょうか。また、事業が廃止された経緯をお伺いします。
最後にテレワークに関する国や地域の最近の動向をご紹介します。
本年6月14日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」には、
テレワークを社会全体へと波及させる取組を進め、労働者のワーク・ライフ・バランスを実現する。
2020 年には、テレワーク導入企業を2012 年度比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上にし、また、こうした取組も含めた女性の就業支援等により、第一子出産前後の女性の継続就業率を55%(この数字は2009 年においては38.0%です)、また25 歳から44 歳までの女性の就業率を73%(この数字は2011 年においては66.8%です)まで高める。
と明記されています。
そんな中、私の地元ではテレワークを勉強する中小企業の団体と障害者やニートの方などが集まるコミュニティハウスのコラボレーションによる、テレワーク実証実験が始められています。具体的には、勉強会に加入する中小企業とコミュニティハウスに集まる方が雇用契約を結び、最低賃金保障のもと在宅で仕事を行い、労働対価を得る。というものです。
先日、この実証実験にご協力いただいた方、この方は母子家庭でお子様が不登校であるため、思うように家を出ることが出来ないというお母様なのですが、実験終了後に声を聞いたところ、「これまでは思うように外に出られず仕事ができなかった。こうしたシステムがあると本当に助かる」と大変嬉しそうでした。
まだ、取り組みが始められたばかりであるため、課題等はこれからでてくると思われます。しかし、こうした新たな働き方を提示することによって、働きにでたくても出られない女性や障害者、さらにはニートが自立、社会進出することが可能となるのではないでしょうか。
そこで伺います。テレワークの推進について、ワーク・ライフ・バランスの観点から、県はどのように考えられるか。ご所見を伺います。
続きまして、県の営業活動(地域資源の販路開拓、拡大)について質問をいたします。
大村知事は知事選挙マニフェストにて「愛知・名古屋には、ものづくり産業を筆頭に、世界に誇れる産業力、経済力、文化力、地域力が蓄積しています。この力を世界に向けて強力に発信・全開するとともに、国内はもとより、全世界からヒト・モノ・カネを呼び込んでいくため、私は改革を断行します」と力強く述べられておりました。これは「知事を先頭に愛知県があらうる地域資源を積極的に営業活動すること」とも理解できると考えます。
もちろん、県の営業活動と言い切ると若干違和感を覚える方も見えるかも知れません。営業とは「利益を得る目的で、継続的に事業を営むこと」であり、「行政が利益を得る目的で施策を展開する」と直接的な理解をしてしまうとそぐわないものになります。しかし、「県が国内外に誇れる数多くの地域資源を使って地域を活性化させる」ととらえれば、営業活動という言葉もおかしな言葉ではないと思います。
愛知県には優れた技術やオンリーワン商品を持つ数多くの中小企業があり、また、商品価値の高い農産物を育てる農業従事者がたくさんいます。しかしながら、その技術を知っていただく機会、あるいは信用度といった問題から、取引にたどり着かないケースが多々あります。そこで、愛知県が持つ発信力やブランドといった「無形の財産」をつかうことで、地域資源を有効に活用できないかという視点で考えてみたいと思います。
まず「無形の財産」を活用して販路開拓、拡大に成功した例を挙げます。本年6月、私の地元春日井市にあるコーティング剤を製造する企業が、「ほこ☓たて」という人気テレビ番組に登場しました。この企業は、従業員8人という小さな企業ですが、スマートフォンなどのタッチパネルに塗装される防汚コーティング剤を始め、企業の要望に応じてフッ素樹脂の種類や濃度を変えられる技術に強みをもっている企業です。
ここで、「ほこ☓たて」という番組を簡単に紹介します。この番組は「世の中に存在する“矛盾”している二者が実際に戦ったらどちらが勝つのか?」、つまり、各分野における最強と称する者たちが対決を行うバラエティ番組です。司会のタカアンドトシさんが、茂木経済産業大臣から「中小企業応援大使」に任命されるなど、「特別な」「ものすごい」技術を持った中小企業に光を当てている番組ともいえます。先ほど述べた企業は「最強の撥水剤vs雨降らし職人」というテーマで出演し、撥水剤を塗ったシャツに3分間ホースで水を浴びせても全く濡れない様子が放映されると、またたくまに全国から注文が相次いでいるそうです。
テレビによる影響は計り知れないものがあります。その一方で、こうした活動は言ってみれば限定的であるため、裾野を広げて展開することは現実的でありません。そこで、発信力、ブランド力を活かして地域資源を恒常的に、積極的にPR・売込みを行っている行政として愛媛県「愛のくにえひめ営業本部」をご紹介します。
「愛のくにえひめ営業本部」は、平成24年4月、中村愛媛県知事の指揮の下で「ものづくり技術力や農林水産物など、県が誇る優れた資源のPRや販路開拓を強力に推進する」体制として整備されました。ホームページには「農林水産物をはじめとした県の優れた食品や「すご技」などの県内企業の高い技術力に裏付けられた製品の販路拡大に取り組みます。また、「売れる商品」づくりのサポート、県産品や県内企業の優れた技術力に関する情報発信などにより、「実需の創出」に努めます。」との業務内容が示されています。
そこで先日、愛媛県庁を訪ね加藤龍彦営業本部長に話を伺ってまいりました。
まず、営業本部という組織を作られたきっかけを伺うと、素晴らしい県産品が数多くあるにもかかわらず、PR・売込みが非常に弱い愛媛県の現状を危惧した中村知事が、「県庁に愛媛の素晴らしいものを対外的に売り込んでいくサポート機能を設けることで、地域の活性化につなげたい」との思いで、立ち上げられたそうです。
簡単に言うと、従来は個別に地域資源の売込みを行っていた経済労働部と農林水産部の担当部署をひとつにまとめたというものです。
営業戦略に「売れる商品づくり」「販路拡大の支援」「情報発信の強化」を掲げ、営業本部長自らが知事からのミッション「県庁にいたら駄目だ!外に出て営業せよ」に基づき、精力的な営業活動をしているとのことでした。
加藤本部長は「私たちの仕事はお見合いの仲人だ」と一言で表されました。もう少しお話を伺うと、中小企業の要望(これがお見合いの釣書にあたります)をみて確認し、中小企業や農業従事者がこういうところに売り込みに行きたいという要望先に県自らが訪ねて話をつける。すなわちお見合い(これが商談会やマッチングにあたります)をする。さらにただお見合いをするだけではなく、お付き合いを続けさせるために確度を高めてマッチングする。つまり、今の商品では直接的な利用が困難なものでも、少し改良を加えることで、成約が可能となるというところの調整まで、県が関与するそうです。
それまでも、部署ごとに関連する資源の売込みをやっていたそうです。では、営業本部になって一番変わったところは何かと伺ったところ、扱う資源を「オールえひめ」に変えたということ。すなわちみかんだけを売るのではなく、「魚も伝統工芸品も一緒にその場で売り込めばいいじゃないか」縦割行政に横串を刺したということであるとおっしゃられました。
さらには、市町の特産品を売り込む際、どちらかというと前向きでなかった市町の職員も巻き込み、一緒に商談会に参加してもらい、成果を上げることで、意識の変革が県職員のみならず市町にも波及しつつあるそうです。
営業活動先として愛知県内にも積極的に来られているそうで、栄や名駅に数店舗を構える愛知県に本社を置く居酒屋チェーン店、この店のメニューには愛媛県産〇〇というのがしばしば出てくるのですが、実はこれも「愛のくにえひめ営業本部」が交渉して店舗に導入してもらったそうです。
一方で「県が個別の企業に肩入れしていいのか?」という議論に対しては、そこは行政機関として、まず広く声掛けすることを意識しているそうです。その上で、意欲があり、技術のある事業者から優先して売り込みに行くというスタンスをとっているとのことでした。
もちろん、海外進出にも力を入れているそうです。特に人口減少問題そして高齢化となると、一次産業品においては一人当たりの消費量が減りかつ人口が減少するという二重の減少に強い危機感を感じており、なんとかマーケット拡大に向けアジアに打って出る。すぐに成果につながらなくても今から手を打たなければならないと長期展望も語っておられました。
また、「愛のくにえひめ営業本部」は数字目標を掲げています。具体的には、商談会の件数や参加企業数といった事業実施状況および成約件数や販売額を四半期ごとに公表しています。自身の製品、農産物を持たない県が自部署でコントロールできることは事業実施状況までしかありませんが、加藤本部長は営業である以上「収益構造まで出したい」という思いをもっているそうです。
実務担当である八木主幹にも話を伺うと「これまでの部署は立ち止まって考え、間違いがないか確認してから動く部署であったが、この部署はまず走り出し、走りながら問題、対応を考える部署」である。全く異なるアプローチだが、上層部が雰囲気を作ってくれるので動きやすいと言っていました。
改めて加藤本部長に「営業本部は本当に民間感覚で仕事をされているのですね」と尋ねると、「民間感覚でやらないと相手に失礼、行政的な発想でやるのであればかえって営業の邪魔になる」と言われた言葉がとても印象的でした。
このような調査を重ねてきますと、愛知県で知事を先頭に行われている地域資源を積極的に活用した営業活動についてお伺いしたいという想いがふつふつと高まって参りました。
愛知にある伝統的な工芸品をはじめとする地域資源を活用した産業品、農産品の販路開拓、拡大を行うにあたっては、戦略が大変重要になります。また、施策展開に当たっては、「オールあいち」で部局を横断して事業を実施したり、市町村との行政の枠を超えた連携が必要です。
私は、知事が中心となり先頭に立って積極的に営業活動することが重要であると考えておりますので、こういう観点も含めて、以下お尋ねします。
国内外における県産農産物の販路開拓・拡大の支援についてどのような戦略のもとでどのような施策を実施しておられるか、お伺いします。
また、伝統的工芸品をはじめとした地域資源の販路開拓・拡大の支援についてもどのように取り組んでおられるのかお聞かせください。加えて、中小企業の海外への販路開拓・拡大を図るための取り組みや戦略についてもお伺いします。
以上、「在宅就業、テレワーク支援について」および「県の営業活動について」質問をしてまいりました。理事者各位の前向きな答弁をお願いいたしまして、壇上からの質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(1)愛知県内の家内労働者数や業務の内容はどうなっているのでしょうか。また、愛知県では内職に関する相談・斡旋を行っておりますが、その実施体制はどのようになっているのか、お伺いします。併せて、内職や在宅ワークでトラブルに合わないように、どのような対応を行っているのか、お伺いします。
(労政担当局長答弁)
在宅就業についての、ご質問をいただきました。
最初に、愛知県内の家内労働の状況についてお答えします。
厚生労働省が平成24年10月1日現在でまとめた全国の家内労働従事者数は、128,701人で、うち、県内の家内労働従事者数は10,389人となっており、全国で最も多い状況にあります。
その業種別の従事内訳をみますと、衣服の縫製、ニット編みなどの「繊維工業」が最も多く、次いで、自動車用部品のチューブ通しなどの「電気機械器具製造業」、自動車部品のバリ取りなどの「ゴム製品製造業」、自動車部品組立等の「機械器具等製造業」となっており、これら4業種で全業種の約6割を占めております。
また、本県の内職に関する相談・あっ旋の実施体制についてでございます。
求職者からの相談を受け、技術の程度、希望職種等を聞いてあっ旋を行う業務を公益財団法人愛知県労働協会に委託しております。
愛知県産業労働センター17階の「あいち労働総合支援フロア・就労支援コーナー」を始め、県民生活プラザや市町村など、県内32か所に相談窓口を設けておりますが、平成24年度における実績は、相談件数が23,906件、あっ旋件数は2,537件となっております。
次に、内職や在宅ワークで、トラブルに合わないための対応についてでございます。
内職でのトラブルとしては、相当の工賃収入が得られると宣伝し、高額な機械を売り付け、あいまいな工賃の取り決めで実際は約束通りの収入が得られないといった、いわゆる「インチキ内職」被害が発生しております。
また、在宅ワークでのトラブルには、内職と同様のトラブルに加え、業務請負契約に関するトラブルなど、様々なものがございます。
県では、こうしたトラブルを未然に防ぐため、相談窓口の相談員から、内職希望者へ注意を呼びかけるとともに、県のホームページに「在宅ワークガイドブック」を掲載して、トラブル対策事例やトラブル発生時の解決処理方法について、詳細な説明を行っております。
今後におきましても、国や関係機関などとも連携し、内職や在宅ワークに従事する人が安心して働けるよう、取組を行ってまいりたいと考えております。
(2)この事業が行われた背景および事業の実績はどのようなものだったのでしょうか。また、事業が廃止された経緯をお伺いします。
(労政担当局長答弁)
次に、障害者テレワーク活動支援事業についてのお尋ねをいただきました。
まず、背景についてでございますが、この事業を始める前の平成14年当時は、全国的に景気が低迷し、本県における有効求人倍率が0.67倍、完全失業率も過去最高の5.0%となるなど、障害者のみならず、雇用環境は、大変厳しい状況となっておりました。
そのような状況の中、IT技術は目ざましい進展を遂げており、勤務地への移動が困難であった障害者の方々にとりましても、ネットワークの活用により在宅のまま勤務及び就業ができるようになってまいりました。
そこで、働く意欲のある障害者の新たな働き方を拡大することを目的に、この事業を実施することといたしました。
平成15年度から3年間、「障害者テレワーク活動支援事業」として、在宅就労支援団体の育成・支援を始め、アドバイザーの派遣やテレワークの普及啓発を実施し、平成18年度からの3年間は、「障害者在宅就労支援事業」として、セミナー開催なども加え事業を拡充して実施してまいりました。
これらの事業の6年間の実績についてでございますが、新たに障害者のテレワーク活動を支援する在宅就労支援団体を育成するとともに、60名のテレワーカーを育成支援し、また、延べ172回に亘りましてテレワークアドバイザーの派遣を行いました。
そのほか、3万部のパンフレットを作成し、普及啓発に努めるとともに、在宅就労に必要な基礎知識や技術を習得するためのセミナーを38回開催いたしました。
次に、事業が廃止された経緯でございますが、先ほど申し上げました雇用情勢につきましては、平成19年には本県の有効求人倍率が直近のピークである2.08倍、完全失業率も直近の底である2.4%となり改善がみられてまいりました。
また、その後のIT技術の更なる進展、ネットワーク環境の充実等により、テレワークを取り巻く環境が改善され、また、複数の支援団体も育つなど、支援体制も整ってまいりました。
テレワークという就業形態は、パソコンを使用するため、ある程度の技能・技術が必要なことから、研修を実施いたしておりましたが、テレワークの研修の参加者も次第に少なくなってまいりました。
そこで、これらの状況を踏まえ、事業を終了することといたしました。
なお、障害者に対する雇用支援といたしましては、平成19年度から「障害者就労支援者育成事業」を新たに立ち上げ、「就労支援員」を養成し、要請のある障害者や事業所へ派遣し、個別に相談・助言を行い、総合的な障害者雇用の促進・定着に取り組んでいるところでございます。
(3)テレワークの推進について、ワーク・ライフ・バランスの観点から、県はどのように考えられるか。ご所見を伺います。
(労政担当局長答弁)
最後に、ワーク・ライフ・バランスとテレワークの推進についてお答えします。
本県では、「仕事と生活の調和の先進県」を目指し、経済団体、労働団体、行政機関及び有識者等で構成する「あいちワーク・ライフ・バランス推進協議会」を設立し、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいるところです。
時間や場所にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークは、女性や高齢者、障がい者、ニートの方々など、個々の実情に応じた働き方を選択でき、就業機会の拡大につながるとともに、労働者のワーク・ライフ・バランスを実現する働き方の一つであると認識しております。
とりわけ、育児・介護で退職することの多い女性にとって、テレワークは育児・介護と両立しながら働き続けることができ、M字カーブの解消につながる働き方として、国においては、来年度、テレワーク普及の取組が進められると聞いております。
一方、企業にとって、労働時間の管理や仕事上、知り得た個人情報の管理など、導入にあたっては解決すべき課題もあります。
本県としましては、テレワークの推進について、国の動向や企業における導入状況等を見極めながら、あいちワーク・ライフ・バランス推進協議会において、検討してまいりたいと考えております。
(1)国内外における県産農産物の販路開拓・拡大の支援について、どのような戦略のもとでどのような施策を実施しておられるか、お伺いします。
(農林水産部長答弁)
国内外における県産農産物の販路開拓・拡大の支援についてであります。
本県は、農業産出額が全国第6位で、食品製造出荷額も全国2位であることや、首都圏や海外への交通アクセスも良いなどの強みを持っており、これらの強みを活かして、戦略的に販路開拓・拡大に取り組むことが重要と考えております。
このため、大消費地でもある県内においては、本県独自の地産地消の取組である「いいともあいち運動」や、新たな取組である「花いっぱい県民運動」の推進、名古屋市内の百貨店での「あいちの農林水産フェア」の開催などにより、需要の拡大に取り組んでおります。また、首都圏においては、大手量販店での知事「トップセールス」に合わせて系列店舗全体で集中的に愛知フェアを開催するなど、販路の開拓・拡大に取り組んでいるところであります。
さらに、食品産業と農業者との連携につきましても、「農商工連携ビジネスフェア」の開催に加え、県が設置を予定している6次産業化サポートセンターを核として、産業労働部や市町村などとの連携・協力のもと、農産物の加工・販売をねらいとする6次産業化の推進・支援に、一層取り組んでまいります。
また、海外に向けましては、意欲のある出展者とともに輸出手続きの調査をもとに、その修得から共同して取組を進め、近年、人口や富裕層が増加しているアジア諸国に対して、農産物やその加工品、地場産品の販路開拓・拡大のため、知事のトップセールスを交えた販売促進会や商談会を行う「愛知フェア」を、産業労働部と連携して開催してまいります。
今後とも、本県の強みを活かした施策を国内外に積極的に展開し、地域の活性化につながる県産農産物の販路開拓・拡大にしっかりと取り組んでまいります。
(2)地域資源の販路開拓、拡大の支援について
ア 伝統的工芸品をはじめとした地域資源の販路開拓・拡大の支援についてもどのように取り組んでおられるのかお聞かせください。
(産業労働部長答弁)
地域資源の販路開拓・拡大の支援について、お答えします。
県としては、組織の枠にとらわれず、広い視野に立って地域資源の掘り起こしに努めるとともに、意欲を持って地域を引っ張る企業を支援することによって、地域の活性化を促すとの考えのもと、地域資源を活用した製品の販路開拓支援に取り組んでおります。
具体的には、中小企業地域資源活用促進法に基づく地域資源として、鉱工業品、農林水産品等全国で5番目に多い434品目を指定し、これら地域資源を活用した販路開拓などの取組に対して、「あいち中小企業応援ファンド」により、資金面での支援を行っているところです。平成20年度のファンド創設以来、現在までに約200件の取組に対し助成しております。この地域資源の指定に当たっては、農林水産部はもとより、市町村、商工会議所・商工会、農業協同組合等との連携のもと、その掘り起こしを行っております。
また、「愛知県地場産業PR事業」として、来月から来年3月までの間、県内の繊維製品、窯業製品、食料品、伝統的工芸品などを組み合わせて県内外での展示を行うことにより、地場製品の新たな魅力を幅広く情報発信することに取り組みます。
さらに、地域資源を広くとらえ、突出した技術・ノウハウを有する愛知ならではのモノづくり中小企業の販路開拓等を支援する事業として、「愛知ブランド発信事業」を実施しています。事業開始以来、これまで286社を「愛知ブランド企業」に認定し、広く情報発信しています。なお、認定を受けた企業の中には、マスコミからも注目され、その取組がテレビ等で紹介されているところもあります。
今後も引き続き他部局や市町村、地域の経済団体等と連携し、新たな地域資源の掘り起こしや、それらを活用した中小企業の販路開拓等の支援を積極的に実施してまいります。
(2)地域資源の販路開拓、拡大の支援について
イ 中小企業の海外への販路開拓・拡大を図る取組や戦略についてもお伺いします。
(産業労働部長答弁)
最後に、中小企業の海外への販路開拓・拡大を図る取組や戦略について、お答えいたします。
本年3月に策定した「あいち国際戦略プラン」の中で、成長著しいアジアの活力を取り込むことを念頭に、「産業グローバル戦略」の一つとして、海外販路拡大の支援を位置づけています。そのための具体的な取組として、アジアで開催される海外見本市に愛知県ブースを設け、県内中小企業が一体として海外市場での販路開拓・拡大を図る取組を実施しています。
今年度は、12月に中国で開催されるアジア最大規模の自動車部品見本市「オートメカニカ上海2013」に昨年度に続き出展するとともに、県内中小企業のアセアンへの進出ニーズが高まっていることを踏まえ、今年度新たに、12月にインドネシアのジャカルタで開催される総合工作機械見本市「マニファクチャリング・インドネシア2013」に出展いたします。
上海産業情報センターなどにおいても、県産品の販路拡大や高い技術力を有する本県の中小企業の取引拡大を積極的に支援してまいります。
(知事答弁)
地域資源の販路開拓、拡大に向けた県の営業活動について、お答えいたします。
本県には、全国に誇る地域資源がたくさんございまして、これを積極的、効果的にPRし、販路の開拓・拡大につなげていくことが、私の使命であると考えております。
このため、常に営業意識を持って、名刺を使って全国に誇る本県の農林水産物や伝統的工芸品を、幅広い方々に、PRを行っているところであります。
また、国内外で、トップセールスを行い、直接消費者に本県の農産物や加工食品等のすばらしさをPRするとともに、国内量販店や海外有名百貨店の経営責任者とも直接面談して、販路の開拓・拡大に力を入れて取り組んでおります。本年度におきましても、11月に香港で、年明けには首都圏でトップセールスを行うことを予定しております。
今後とも、先頭に立ちまして、優れた本県の農林水産物や伝統的工芸品をはじめとした地域資源について、国内外でのPRと販路開拓・拡大を進め、「日本一元気な愛知」をつくっていきたいと思っております。
各部局長そして知事からも前向きなご答弁をいただき、ありがとうございました。2点、要望をさせていただきます。
始めに、テレワークへの支援についてです。今回、質問を作成するに当たり感じたことは、テレワークに対する認知度、理解度がまだまだ不足しているということです。数字で申し上げますと、国立国語研究所が平成15年に調査した外来語定着度調査にて、テレワークという言葉を「見聞きしたことがある」という認知率が39.5%、「意味が分かる」という理解率は21.1%という結果でした。10年前の数字ではありますが、私の感覚だと現時点もこの数字が飛躍的に上昇しているとは思えません。
従いまして、ワーク・ライフ・バランスの観点から、またダイバーシティー・マネジメントの観点からも、テレワークに関するさらなる調査研究そして普及が必要です。ぜひとも、県が主体となってHP等での紹介や講習会の創設を図って頂き、併せて障害者雇用に関する支援制度や助成金等も紹介頂ければ、企業のテレワーク導入、検討のきっかけとなるとともに、就業が困難な方々に対しても一つの光になるのではないでしょうか。ご検討をぜひお願いします。
次に県の営業活動について、繰り返しになりますが、愛知県は地域資源の宝庫であり、こうした資源をどれだけ前面に出せるかが、世界と闘える愛知のカギを握っています。
先ほどご紹介しましたコーティング剤の企業を訪問し、社長に話を伺ってきましたので少し紹介します。この企業は社長が10年前に立ち上げた企業であるそうですが、社長はほとんどの製品を自らが手がける研究者である一方、それまで勤めていた企業、この企業はコーティング剤とは全く違う分野の企業だったそうですが、そこでマーケティング担当であったことから、「自社製品の強みは何か?」「どの分野で戦えばいいか?」「どのような広報戦略が効果的か?」といった販売戦略に関する豊富な知識があったそうです。
従って、この企業の場合は社長のパーソナリティーが功を奏し、立ち上げ時から順調に業績を伸ばし、今回のメディア放映につながったといえます。
しかし、一般的に両方の技術を兼ね備えることはそうできません。
社長に行政への要望をお伺いしたところ、「広報活動への補助」や「マーケティング支援」さらには「ベンチャー企業への支援」を挙げられておりました。
また、今回、調査させていただいた愛媛県では「必死さ」を痛感しました。冒頭紹介した、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」によると、2040年に愛媛県の人口は2010年比で25%も減少すると見込まれる中、「このままでは愛媛県はダメになる」、「なんとか地域を活性化させなければ」という危機感からきているそうです。 愛媛県の中村知事はいいます。われわれは「愛媛総合商社だ」と。ぜひ、本県においても大村知事の強い発信力を活かして、やる気のある企業への側面支援をさらに強化いただくことを要望して質問を終えます。