産業廃棄物処理施設を巡る損害賠償裁判の判決(※)について伺います。この案件については、私が12月議会における委員会で質問した際、県から「改善命令の根拠となった行政検査や、取消処分に先立つ聴聞手続きといった許可取消に至るまでの様々な手続きは適正なものである。また、法解釈等も確認しながら適法に行ってきた。」と答弁いただきました。さらに「裁判においてもこの辺を何度も証言で立証してきた」と答弁いただいたと記憶しております。今回、ここが違法と判断されたことについて、今の時点でどのようなお考えをおもちでしょうか。
※:春日井市内の産業廃棄物処理施設について、県が設置許可を取り消した行為は違法であるとして、設置業者が約16億7000万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁は3月13日、県に約12億3000万円の支払いを求める判決を言い渡した。
資源循環推進課
先程判決があったばかりでありますが、私どもにとって非常に厳しい判決であり、まずは判決内容の全体をしっかり分析し、検討をしたいと考えています。お尋ねの件について整理すると、まず、許可取り消しは、改善命令を2回出して、2回目の改善命令で「熱しゃく減量」と「臭気指数」の2項目に違反したことをもって行いました。この改善命令は、行政検査の結果を踏まえて出しましたが、命令を出す前提となった行政検査について「問題がある」と判決で述べられたと理解しています。つまり、行政検査の内容そのものを問われた結果、改善命令が違法であると判断されたとみています。
名成産業は平成19年に試運転が開始されたわけですが、当時から周辺の地域の方々は様々な被害を被ってきました。そのようなことも含め、そもそも「行政検査に問題がある」との判決だとすると、県の産業廃棄物処理検査そのものの信頼が失われると思います。その点はどのようにお考えでしょうか。
資源循環推進課
今回の行政検査は、法律又は政令で定められたルール、即ち公定法に則り行ってきたもので、その旨を裁判で主張してきたところであります。従って、なぜ裁判所がこのような判断に至ったかについて、精査をして検討したいと思います。環境面における様々な行政検査は、適正、厳正に行われており、この点が大事であることは私どもも認識しておりますので、引き続きそのような姿勢で臨みたいと考えます。
先週末に地域の方々とお話しした際、近々裁判があることが話題となり、「まさか裁判の結果で施設が稼働することはないよね」と言われました。私は「行政訴訟ではないので、そのようなことはありません」と話をしたものの、もし行政訴訟であったら、「動く」ということもあったのではないか・・・と不安になります。そう考えると大変重要な問題です。今後の対応について答弁願います。
環境部長
私どもは科学的、客観的なデータに基づいて環境行政を行っており、今回の行政検査も適正に、定められた方法で行っていると考えます。その点についても裁判で主張してきましたが、裁判所は原告側の主張に沿った判断をされたと考えられます。客観性やデータの信頼性は一番大事なところであり、引き続きしっかり主張していきます。
産業廃棄物の適正処理の確保は、地域の生活環境の保全、地域の方々の安心、安全な暮らしの根幹であると思っています。ここはしっかりと弁護士の方を含めて、今後の裁判に毅然とした態度で行っていただくよう要望します。
次に狩猟の現状について伺います。先日、私は議案質疑にて猟銃所持について質問した際、愛知県猟友会の方からの話として「若い人が猟銃を持たなくなったことから、猟銃所持者の減少および高齢化が問題となっている」ことをお伝えしました。そこで、猟銃の所持に限らず狩猟者全体として、最近の状況や課題等がありましたら伺います。
自然環境課
狩猟者は、趣味として狩猟を行うとともに、農作物被害等を及ぼすイノシシやシカなどの有害鳥獣を捕獲する役割を果たしています。
狩猟者は、大きく銃猟免許所持者とわな猟免許所持者に分けることができます。県内の狩猟免許所持者のうち、銃猟免許所持者は平成20年度の3,356人から24年度の2,187人に約1,200人減少していますが、反対にわな猟免許所持者は1,055人から1,595人に若干増加しているところであります。免許所持者全体としては、平成20年度の5,176人から平成24年度の4,096人へと減少傾向にあり、これは銃猟免許所持者の減少によるものです。24年度の銃猟免許所持者の年齢構成を見ると、60歳以上が7割を占め、高齢化が顕著となっています。
このことから、有害鳥獣捕獲の担い手として、狩猟免許所持者全体を増やすことが必要と考えており、とりわけ銃猟免許を取得する若い方の確保が課題となっています。
現状の認識に対して、県としてどのような対策をとられているのでしょうか。
自然環境課
本県では、狩猟免許所持者の増加に向け、県民の皆様に狩猟の意義や楽しさをお伝えする啓発を行っています。また、狩猟免許の取得を容易にするため、狩猟免許試験実施日を年1回から2回に増やすなど、受験者の利便性の向上を図っています。この他、規制緩和により狩猟免許を持たない者であっても銃器以外の有害鳥獣捕獲における補助が可能となったことから、市町村では地域にお住まいの方に対し、有害鳥獣捕獲の補助員としての参加を呼びかけ、捕獲の体験を通じて狩猟免許取得に興味を持っていただく機会を設けるなど、担い手の確保に努めています。
なお、県では鳥獣による被害の多い市町村に対して、捕獲を組織的かつ計画的に行うことを目的とした捕獲隊を編成するよう促しており、この捕獲隊への参加を容易にするため、狩猟者に対して狩猟税を半額にする優遇措置を設けています。
さらに県としては、同じ市町村内の担い手だけでは捕獲能力に限度があることから、例えば、名古屋市内の免許所持者が東三河にある市町村の有害鳥獣捕獲に参加するなど、市町村の境界を越えた広域の捕獲隊を編成することについて、検討しているところであります。
次に鳥獣捕獲の現状について伺います。はじめに獣類の捕獲数について。最近の捕獲状況を教えてください。
自然環境課
イノシシ、シカ、サルなど獣類の捕獲総数については、平成20年度の約6,500頭から、平成24年度の約12,500頭に増加しています。
捕獲が増えている理由はなんでしょうか。
自然環境課
獣類の捕獲数は、獣類による農作物被害額が平成20年度の1億8千万円から平成24年度は2億7千万円に増えたことに伴い増加しています。
このうちイノシシによる農業被害額が最も多く、平成20年度の6,200万円から 1億3,100万円と倍増しており、これは獣による農作物被害額の約半分となっています。このため被害を受けている市町村においては、捕獲計画数を大幅に増加し、計画的な捕獲を進めています。
この結果、平成20年度の捕獲数が約4,000頭であったのに対し、平成24年度では約8,000頭となっています。
捕獲したイノシシの処理はどうしているのでしょうか。
自然環境課
現在、農林水産部が中心となり、イノシシなど捕獲した鳥獣を食材とするジビエ料理としての活用を進めているところであります。
しかし、食肉利用は捕獲の季節や猟法等が限定されるうえ、日本ではジビエは普及途上にあるため、大量には流通していない状況にあり、捕獲物の大半は利用されることなく処分されていると聞いています。
次に鳥類の捕獲数について。最近の捕獲状況を教えてください。
自然環境課
鳥類の捕獲数については、平成20年度の10万7千羽から平成24年度の4万4千羽に減少しています。
捕獲が減少している理由はなんでしょうか。
自然環境課
鳥類の捕獲数が10万7千羽から4万4千羽に減少しているのは、スズメ類の捕獲数が平成20年度の4万5千羽から平成24年度の6千羽に減少したことが主な要因と思われます。
この背景としては、スズメ類による農作物被害額が20年度の約4,300万円から24年度には約2,100万円まで同様に減少していることから、スズメ類の生息数そのものが減少しているためではないかと考えており、捕獲数が減っていること自体は問題ないと考えます。むしろ、スズメ類の数が減少していることについて、心配をしております。
一方、鳥類全体の捕獲数が減少する中、カラス類はほぼ横ばいで推移しており、平成24年度は鳥類の中でも最も多い約1万1千羽が捕獲されています。
これは、カラス類による農作物被害額ほぼ横ばいで推移しており、平成24年度は、鳥類全体の農作物被害額1億8千万円のうち1億2千万円がカラスによる被害となっています。
カラスは農作物だけでなく、我々の日常生活においてもゴミの散乱や糞害などの被害があります。またカラスは毎年この時期から初夏にかけて巣をつくります。その際、電柱や送電鉄塔に巣を作ると、その営巣材が電線に接触することで停電が発生し、昨年度は県内で50件程度の停電を引き起こしました。電力会社では停電を未然に防ぐため、社員による巡視や住民の方からの情報提供などでカラスの巣を見つけた場合に、現地に赴き、停電を起こすリスクを鑑み必要に応じて巣を撤去しています。また、可能な限り金属製のハンガーをベランダやゴミ集積所などへ放置しないよう呼びかけを行っています。
そこで、県としてカラスによる被害、また捕獲についてどのように認識されているのでしようか。
自然環境課
カラスによる被害は、農業被害としてはナシ、柿などの果物や野菜、稲を食べる食害であります。このほか、ご指摘の鉄塔や電柱に巣をかけることによる送電事故や、都市部においてゴミ集積場を荒らすなどの生活被害があります。
こうした被害を防ぐため、毎年度約1万羽以上を捕獲しており、農作物被害に対しては、銃やわなにより捕獲を行っています。鉄塔における送電事故の防止については、電気事業者により巣の撤去が行われているところであります。生活被害に対しては、市町村において、ゴミ集積場へのカラスよけネットの設置や、各家庭に対し、カラスをおびき寄せる生ゴミの削減やゴミ出しルールの遵守の呼びかけなどの対策がとられています。
県の第11次鳥獣保護事業計画には「人と鳥獣との適切な関係を構築し、生物の多様性を維持していくことは今後ますます重要となる」と記載されており、鳥獣保護事業と鳥獣害対策の両輪が噛み合うことが大切です。今回は鳥獣捕獲について触れましたが、農林水産部とも協調して、狩猟者の確保を始め、対策がとれる体制をしっかり整備していただきたいと思います。
また、カラス被害の対策としては、カラスが増えるのを防ぐことです。この点については「捕獲」もさることながら「ゴミ対策」です。各自治体がカラス対策として、ゴミ出しマナーの啓発・徹底や、防鳥ネットの利用、ゴミ袋の工夫(黄色のゴミ袋だとカラスは中を見ることができないと言われています)等をあげています。カラスを増やさない対策をとれば、同時に環境にやさしい都市生活を築くことができます。各市町村と連携して、ゴミ対策についての啓発活動に力を入れていただくことを要望します。