私からは歳出第9款建設費第9項住宅費および第10款警察費第2項警察活動費について伺います。
始めに第9款建設費第9項住宅費の中から「人にやさしい街づくり推進指導費」について伺います。
間もなく、約9時間後(日本時間3月8日午前1時から開会式)にソチパラリンピックが開幕します。3月16日までの10日間、熱戦が繰り広げられる予定であり、本県ゆかりのクロスカントリースキー、バイアスロンの佐藤圭一選手を始め、日本選手団20人がアルペンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロンの各種目に挑みます。ぜひ、みなさんオリンピック同様の熱い声援を選手に届けていただきたいと思います。
そして明後日、3月9日には第1回の名古屋ウィメンズホイールチェアマラソン2014が開かれ、ナゴヤドームから瑞穂公園陸上競技場までの10.5キロのコースを車いすマラソン世界記録保持者、土田和歌子選手など国内外で活躍する10人が出場を予定しております。
こうした障害者スポーツ大会が盛り上がりをみせる中、我が国における障害者制度は今、大きく変わろうとしています。本年1月20日、政府は障害者の差別禁止や社会参加を促す国連の「障害者権利条約」を批准しました。条約の批准に向けては、2011年の「障害者基本法」改正を皮切りに、2012年の「障害者総合支援法」成立、そして昨年6月の「障害者差別解消法」成立と三段階での国内法整備を行い、昨年12月に条約の承認案が国会で正式承認され、今日の実現に至ったのです。同条約は2006年12月に国連総会で採択され、「障害に基づくあらゆる差別」の禁止や、障害者の権利・尊厳を守ることがうたわれ、締結国は障害者が公共施設を使いやすくするなど、さまざまな分野で対応を求められます。日本の批准は世界141番目で、正直、国際的に誇れる順番ではありませんが、これから模範的な締約国となれるよう努力が必要です。
ここで、障害者差別解消法について少し触れます。愛知県議会でも平成24年12月定例会において、この法律の早期制定についての意見書を提出しておりますので改めての確認となりますが、この法律は障害を理由とする差別の解消に関する基本的事項や、国や地方公共団体、民間事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置などについて定めることにより、障害の有無によって分け隔てられることなく、共生する社会の実現につなげることを目的としています。
「障害を理由とする差別」とは、障害を理由としてサービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為を指します。また、障害のある方から何らかの配慮を求める意思表明があった場合には、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を行うことが求められ、こうした配慮を行わないことで、障害のある方の権利利益が侵害される場合も差別に当たります。
「社会的障壁」とは障害のある方にとって、日常生活や社会生活を送るうえで、障壁となるようなものを指し、ハード面では通行、利用しにくい施設や設備、またソフト面では利用しにくい制度や障害者を意識していない慣習や文化などがあげられ、私たち一人ひとりがこの法律の趣旨をしっかり考える必要があるのではないかと感じます。
そこで私は、先週、愛知県が主催した「第19回人にやさしい街づくり賞 表彰式・シンポジウム」に参加しました。「人にやさしい街づくり賞」とは、「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」を制定した翌年、平成7年度に設けられたもので、すべての県民があらゆる施設を円滑に利用できる「人にやさしい街づくり」を進める中、創り出される「もの」とそこでの「活動」を対象としています。今回表彰された大口町立大口南小学校と岡崎市医師会はるさき健診センターの2施設及び豊田市立四郷小学校・豊田福寿園地域包括支援センターの活動を含め、これまで77の「もの」と73の「活動」が受賞されています。
当日は、受賞した方々からの活動リポート、審査委員からの講評が紹介された後、会場参加者を交えて「人にやさしい街づくりについて」の意見交換が行われました。ここで受賞事案の紹介を含め私の感想を述べます。大口南小学校は「地域に開いた誰もが使いやすい学校」「わかりやすく誰もが同じ経験ができる学校」「人にやさしいを学べる学校」という明確なコンセプトを持って整備され、どのように「ハコ」を使って「ソフト」な活動を行うのかについて、地域の人々をも巻き込んだ形で展開し、校舎の真ん中に地域ボランティアルームを配置するという画期的なつくりをしている学校でした。また、はるさき健診センターは年1回の人間ドックをゆったりとした気持ちで過ごす、空間としてのやさしさが伝わるつくりであったことが選考理由であったのですが、その後の意見交換にて、聴覚障害をお持ちの参加者から「胃のX線検査を受信する際、放射線を浴びる関係上、通訳の方が検査室の入室を断られることから「右向いて下さい、左向いて下さい」という検査技師の指示がわからない」という意見が出され、人にやさしい医療現場とはどういうものか、医師会の方も勉強になった様子が見て取れました。さらに、豊田福寿園地域包括支援センターの活動では、子どもたちに「認知症高齢者への偏見をもたずに育ってほしい」との思いから、豊田市立四郷小学校の1年生から6年生までに認知症サポーターキッズ養成講座を開設した点が評価されましたが、私が選考委員である松井建築担当局長と立ち話した中で松井建築担当局長の「豊田福寿園の活動は子どもたちの心のバリアを取り外した、まさにバリアフリーの活動だと思う。ひとにやさしい街づくり賞を通じてこうした取り組みをもっと広めたい」という言葉が、強く強く印象に残りました。このように受賞事案という具体的な事例を通しながら「ひとにやさしい街づくりとは何か」を考えることが出来、大変素晴らしい催しであると感じました。
県では、「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」に基づき、ハード、ソフト両面から様々な施策を展開しています。ハード面においては、高齢者、障害者等があらゆる施設を円滑に利用できるよう、施設の構造及び設備に関する措置の基準を示すとともに、多数の者が利用する一定の範囲の施設の新築等にあたっては、その基準を順守するよう、事業者に義務付けを行っています。一方、ソフト面では「人にやさしい街づくり」の普及・啓発に関する取り組みを推進しています。
そこで質問します。まず始めに、施設や設備に関する指導、助言する立場として、県が保有する施設のバリアフリー化の整備状況について伺います。
次に、普及・啓発活動においては行政だけでなく、人にやさしい街づくりを担う人材や地域に密着した街づくりのリーダーの活動も重要になると考えます。県では、こうした人材育成の取組として、「人にやさしい街づくりアドバイザー」制度を設けていると聞きましたが、この制度はどういう制度なのでしょうか。また、アドバイザーはどのような活動をしているのか伺います。
続きまして、第10款警察費第2項警察活動費の中で猟銃の所持許可について伺います。
本議会の開会日である2月19日、群馬県館林市のディスカウントショップの駐車場で、止められた車の中から頭部から血を流した女性の遺体が発見されました。その後の警察の調べで、女性は拳銃のようなもので頭部を撃たれたことが死因と判明し、さらには女性にストーカー行為をしていたとみられる男がいることを突き止め、男の行方を捜査していたところ、犯人とおぼしき男性が遺体で発見されました。この凄惨な事件については、みなさまの記憶にも新しいことと思います。
少し前まで、拳銃と言えば暴力団員との連想がついたのですが、今回の犯人は暴力団員ではないようで、拳銃が一般社会に蔓延しはじめているのではないかと危惧する報道もなされております。犯人がどのようにして拳銃を手に入れたのかなど、1日も早い全容解明が望まれるところです。
さて、この事件が発生する1か月ほど前に、私の地元春日井市の出川町でも、付近住民を恐怖に陥れる事件が発生しました。大きく報道されましたのでみなさまも記憶にあることと思いますが、まず事件の内容を簡単にお話しします。
事件は1月24日から25日にかけて55歳の男性が「死んでやる、誰か入ってきたら撃つ」等と散弾銃を持ってアパートの自室に立て籠もった挙げ句、14時間も経って、やっと警察の説得に応じて部屋から出てきたというものです。途中、男が誤って散弾銃を発砲しましたが、怪我人等が一人も出なかったことが、不幸中の幸いであったと思います。
男が立て籠もった14時間の間、付近一体は警戒のための100人を超える警察官、何台もの警察車両、さらには報道関係者などで騒然とする中、現場から半径200メートル以内の住民の方々は万一に備えて小学校などへ避難し、寒さと不安で眠れない一夜を過ごさざるを得ませんでした。周囲の方々にとっては実に迷惑千万な話であったわけです。
早朝に男の身柄が確保されたことを知らされた避難中のみなさんは、安堵の言葉を発するとともに、「銃を持った人がこんな近くにいるなんてびっくりした」等と、改めて身近な銃の存在そのものへ驚きの声をあげていました。
今回、騒ぎを起こした男は合法的に猟銃を所持していた、つまり猟銃の所持許可を受けて猟銃を自宅に保管していたということですので、確認の意味も含めて猟銃の所持許可について質問いたします。
まず始めに、許可するためにどのような手続きをとっているのか伺います。
言うまでもなく、猟銃の所持は一歩間違えば重大な犯罪に使用されるおそれがあることから、所持するためには自己の行為の是非を判別できるかとかアルコールや麻薬などの中毒者ではないかといった要件を満たしていなければならない等、厳しい条件が銃刀法で定められております。そこで、一般の方が猟銃の所持許可を受けるまでの簡単な流れと、警察としてはどのような調査や確認をしているのかお示し下さい。
次に許可を受けた猟銃の保管や管理状況をどのようにチェックしているのか伺います。
今回の事案では、男はアパートの自宅に4丁もの散弾銃などを保管していたとのことですが、戸建ての持ち家でない賃貸のアパートの一室で銃を保管していたという点も地元の方の間では疑問視する声が上がっております。もちろん、銃刀法上規定された保管庫が設置されていたからこそ保管していたに違いないとは思いますが、許可を受けた猟銃の保管管理と保管状況の確認をどのようにして行っているのかお示し下さい。
最後に今後の対策について伺います。
今回の事案では、許可の手続きや指導状況等に問題があったという話は聞いておらず、厳格な対応をしていた中での本人の資質が起こした事件であると認識しております。ただ、猟銃という極めて危険な代物を扱う以上同じようなことが起こらないよう何らかの対策をお願いせざるを得ないと思います。
そこで今回の事案を踏まえて、今後どのような対策を考えてみえるのかをお聞きします。
建築担当局長
はじめに、県有施設の「人にやさしい街づくり」に係る整備状況について、お答えします。
本県では、平成6年10月に施行されました「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」の基準に基づき、県有施設の整備を進めております。
既存施設につきましても、一般県民の方の利用や窓口業務のある施設などを対象に、平成7年度から段差の解消、トイレの改修、玄関扉の自動化、階段等への手すり設置などの整備を順次実施しており、平成25年度末までに85施設の整備を完了する予定です。
今後も、既存施設の改修などにおいて、引き続きバリアフリー化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、「人にやさしい街づくりアドバイザー」制度とアドバイザーの活動について、お答えいたします。
「人にやさしい街づくりアドバイザー」とは、県内各地で人にやさしい街づくりを実践していただくとともに、地域において指導や支援を行っていただく方として、愛知県に登録された方のことです。
登録にあたりましては、県の開催する「人にやさしい街づくり連続講座」を修了することが条件となっておりますが、現在、約900名の方に登録していただいております。
「人にやさしい街づくりアドバイザー」には、市町村の障害者福祉、地域福祉に関する計画の策定に参画し、助言していただくこと、小学校に出向いて、「人にやさしい街づくり」を学び、「心のバリアフリー」を育むための講師となっていただくこと、毎年、県内各地で県と市町村が開催する「人にやさしい街づくり地域セミナー」の企画運営への参加をしていただくことなどの活動を行っていただいております。
「人にやさしい街づくりアドバイザー」には、このような活動を通じて、県内各地で人にやさしい街づくりが広がっていくための重要な役割を担っていただく人材として、期待しているものであります。
警察本部長
はじめに、猟銃の所持許可についてお答えいたします。
まず、所持許可を受けるまでの流れでありますが、新規に所持許可を受けようとする者は、公安委員会が行う「猟銃等講習会」と呼ばれる講習を受講してその際に実施される考査を受け、合格しなければなりません。その後、「射撃教習」又は「技能検定」と呼ばれる実射考査に合格して初めて所持許可申請をすることができます。申請後、公安委員会の調査及び審査を受けて、問題がなければ「猟銃・空気銃所持許可証」が交付されます。
次に、人物の調査と猟銃の確認についてでありますが、愛知県公安委員会の事務の専決が認められている愛知県警察においては、実射考査の受験のための申請時及び所持許可申請時の二度にわたり、銃刀法に規定される精神障害者、アルコール中毒者等の欠格事由に該当するか否かについて、申請者に対する面接、関係者への聞き込み及び関係書類の審査などの所要の調査及び審査を実施いたします。
この結果、欠格事由に該当しなければ猟銃・空気銃所持許可証が交付されるわけでありますが、さらに交付後、私どもは、申請者が所持しようとする猟銃が、許可証に記載された物と同一であるかどうかについて確認をいたします。
また、猟銃の所持許可には有効期間があり、その期間は、許可された日から3回目の誕生日までとなっております。したがいまして、引き続き猟銃の所持許可を受けようとする者は、更新申請をする必要があり、この更新申請を受ける際にも新規許可と同様、講習、実射考査、所要の調査等を実施いたしております。
猟銃の保管管理の方法でありますが、猟銃の所持許可を受けた者は、猟銃が盗難被害に遭うことのないように、銃砲店に保管委託するような場合を除き、基準に適合する設備及び方法により、「自ら保管」しなくてはなりません。その保管方法については、施錠設備がある金属製ロッカー等の堅固な構造を有する設備を用い、かつ、猟銃と実包を別々に保管する必要があります。
次に、保管状況に対する私どもの確認でありますが、新規の許可申請時及び更新申請時におきまして、必ず保管場所に赴いて猟銃の保管設備が堅固な構造を有する設備であるか否かについての確認を行います。このほかにも、猟銃の盗難の防止その他危害予防上必要があれば猟銃の保管場所に対する「立入検査」を実施して、保管設備や猟銃と実包の保管状況の確認を行っております。
最後に、今後の対策についてお答えいたします。
春日井市内において発生した立てこもり事件後速やかに、猟友会等の関係団体に対し、会員に対する遵法意識の高揚、猟銃等による事件・事故の再発防止に向けた指導を依頼するとともに、各警察署に対しても改めて新規許可・更新時における厳格な調査等を徹底するよう指示いたしました。
また、今後の対策につきましては、4月に予定している銃砲一斉検査において、より一層厳格な面接調査を実施するほか、関係団体と連携いたしまして、猟銃所持者の遵法意識の高揚のための啓発活動を行ってまいります。また、各警察署の事務担当者に対する教養を徹底し、適正な許可事務の推進を図るとともに、銃刀法等関係法令違反の取締りを徹底するなど、再発防止を図ってまいりたいと考えております。
それぞれご答弁いただきましたので、数点要望させていただきます。
先ほど述べた障害者差別解消法について、内閣府資料によると、差別解消のための措置の対象範囲は教育、公共交通、医療、雇用、刑事手続等、ありとあらゆる行政活動と考えられています。障害者差別解消法の施行は平成28年4月1日。また、2014年度上半期を目途に政府において基本方針が決定される見通しとなっておりますので、県として全庁を挙げた勉強会を設置するなど幅広い検討を速やかに行っていただくよう要望します。
そして、県有施設のバリアフリー化につきましては、順次整備しているとのことですが、残りの施設についても速やかに整備頂くよう要望します。
次に、「人にやさしい街づくり」活動はとても有意義なものであります。今回は障害者差別解消法を中心に話をさせて頂きましたが、今後の急速な高齢化も含め、「人にやさしい街づくり」の理念を県民に広く伝えることは大変重要です。ただいまご答弁の中でもアドバイザーの重要性を県としてご認識されているとのことでしたので、必要な予算を確保していただくとともにしっかりと取り組んでいただけるよう要望します。
最後に猟銃の所持許可について。今回の事件が発生するまで、私自身、猟銃に関する関心が低かったので、少し調べてみました。県内で許可された猟銃等の数を調べたところ、昨年末現在で4,890丁、所持している人数としては2,404人で、この人数は平成21年と比べ約1,000人減少しております。この事象について所持人数の多数を占める「愛知県猟友会」の方にお話を伺ったところ、メンバーの高齢化が進む一方、若者の銃保有者が進まないことを要因にあげられ、「狩猟」という文化の継承あるいは自然資源の持続的利用という観点から、こうした傾向には非常に危機感を持っているとのことでした。平成24年度、愛知県における鳥獣類による農作物被害額は約4億5千万円。一方、イノシシの捕獲数は約8,000頭、ニホンジカは約2,000頭、カラスは約11,000羽でした。この中には猟銃による捕獲も相当数含まれており、必要性もあるわけです。
銃=悪と簡単な見方をするつもりはありません。むしろ、そうならないためにも厳格な許可審査と銃を持つ人のより一層の自覚した行動が大切になると思いますので、ご答弁いただいた対策を確実にとっていただくことをお願いして質問を終えます。