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日比たけまさ 平成28年9月定例会一般質問
通告に従い「女性の活躍促進に向けた取組」について順次質問をいたします。
今年に入り「女性のリーダー」が次々に誕生しています。まず5月に台湾で蔡英文氏が女性初の総統に、続いて7月にはイギリスでテリーザ・メイ氏が故マーガレット・サッチャー氏以来、2人目となる女性首相に就任しました。日本でも8月2日に小池百合子氏が女性初の東京都知事に、今月15日には蓮舫氏が初の民進党女性代表に就きました。さらに11月に行われるアメリカ大統領選挙において、女性初、ヒラリー・クリントン大統領の誕生が実現するかどうかに注目が集まっているところです。華々しい女性リーダーの誕生により、女性活躍の気運が高まる今、足元から女性活躍促進の施策を進めることが本県に求められていると考えます。
愛知県は昨年10月、2060 年までの人口の将来展望を示す「愛知県人口ビジョン」を策定しました。ビジョンでは2060年までの長期人口見通しとして、現在の人口745万人から、ケース①「出生率が現状程度で推移する場合」では約600万人に、ケース②「出生率が2030 年までに 1.8、2040 年に 2.07 に回復する場合」では約700万人となり、ケース②を本県が活力を維持していく上での目安として、様々な施策を講じることが求められる。と示しています。
この「愛知県人口ビジョン」では、人口の動向を踏まえた愛知の強みと課題がまとめられ、その中で、私が注目したのが「20~30 歳代において、男性 1 人に対する女性人口が少ない」という点でした。
総務省「住民台帳に基づく、人口、人口動態及び世帯数調査」の平成28年1月1日現在の数値に基づき、20歳~34歳の男性100人に対する同年代の女性数を都道府県ごとに算出すると、全国平均95.5人に対し愛知県は88.9人となり、この値は全国ワースト1位となります。
今後、県における労働力不足および少子化問題を加速させる恐れがある極めて重要な課題の解決に向け、埼玉県の「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」および山梨県の「産後ケアセンター整備事業」を紹介しながら、本県の女性活躍促進に向けた取組について確認していきたいと思います。
始めに、埼玉県が取り組む「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」を紹介させて頂きます。ウーマノミクスとは、ウーマン+エコノミクスの造語、すなわち「女性がいきいきと夢を持って活躍することができるよう社会進出を進め、女性が得た収入を消費や投資に使い、それが地域経済の活性化につながるように取り組んでいくこと」を指します。
埼玉県は転入超過で人口が増えており、県民の平均年齢も比較的若い県と言われております。しかしながら「埼玉都民」と言われるように東京に職場を持つ県民が多く、結果、長時間の通勤が強いられること、また核家族世帯の占める割合が全国で2番目に高いことなどから、両親や夫のサポートを得られにくい女性が子育てのために退職するケースが多く、女性の年齢階級別労働力率をグラフで表したときに描かれるM字型の曲線、いわゆるM字カーブの底が全国平均よりも深いという課題を抱えています。こうした背景から、平成24年4月、産業労働部内に新組織「ウーマノミクス課」が設置されました。
なお、埼玉県では県民生活部と産業労働部が関連部署として存在するなか、「男女共同参画となると風呂敷が大きくなりすぎること」、「ウーマノミクスの推進にあたり、まずは就業・起業の支援が必要であること」、そして「本施策は企業側からみても、「人材獲得」として大変有効な手段であり、県と企業が一層連携して取り組む必要があること」といった点から、産業労働部内に組織を設置したそうで、私は所管部署、ネーミングとも県のメッセージがとてもわかりやすく発信されていると感じます。
さて、ウーマノミクス課では施策Ⅰ「働きやすい環境を整える」、施策Ⅱ「女性の就業・起業を支援する」、施策Ⅲ「社会全体で女性の活躍を応援する気運をつくる」を柱として取組を展開しています。
まず、施策Ⅰ「働きやすい環境を整える」の中から3つの取組を取り上げます。1つ目として埼玉県では「多様な働き方実践企業」の認定を行っています。認定項目は①女性が多様な働き方を選べる企業、②法廷義務を上回る短時間勤務制度が職場に定着している企業、③出産した女性が現に働き続けている企業、④女性管理職が活躍している企業、⑤男性社員の子育て支援等を積極的に行っている企業、⑥取組姿勢を明確にしている企業の6点で、2~3項目に該当する企業をシルバー、4~5項目に該当する企業をゴールド、6項目すべてに該当する企業をプラチナとし、各企業が状況に応じた取組を行えるとともにステップアップを目指してもらえる工夫が施されています。この取組を行うにあたり、県では経済団体や業界団体の会合に片っ端から参加し、5,000社の企業トップに直接働きかけを行うとともに、認定に当たっては、ウーマノミクス課の職員が会社を訪問し、現場を直接確認するという徹底を図っています。認定を受けた会社は平成28年3月末時点で2,036社に達し、企業からは多様な働き方を導入した効果として「従業員が退職せず定着した」、「従業員のモチベーション向上につながっている」、「企業イメージの向上につながっている」といった声が上がっているそうです。
そこで伺います。愛知県でも同様の趣旨から「あいち女性輝きカンパニー」の認証に取り組んでいますが、取組を進めるにあたり、県の狙いを企業側にしっかり認識してもらう必要があると考えます。県はどのように企業に周知しているのでしょうか。また、現在の認証企業数および目標数を伺います。さらに、制度を浸透させるために今後どのような取組を行うつもりなのか、お示しください。
次に、2つ目の取組として、埼玉県では女性の活躍するフィールドの拡大についても力を入れています。本年度は各業界団体との連携のもと、100団体に女性活躍推進リーダーの育成に協力いただくことで、業界内から女性活躍の輪を広げてもらう取組をスタートしました。また、女性の少ない業界団体の雇用拡大に向けた支援として企業セミナーや職場見学・体験ツアーの開催を行うそうです。
私は、女性の雇用や活躍分野の拡大には、企業の現状やニーズを踏まえたうえで、企業と行政が連携した取組を進めることが重要だと考えます。愛知県では、昨年度、県内企業の人事担当役員や女性管理職を構成員とする「あいち・ウーマノミクス研究会」を立ち上げ、企業の現状や課題、取組状況を踏まえたうえで、女性の活躍促進に向けた取組を進められています。
そこで、「あいち・ウーマノミクス研究会」ではどのような意見があり、意見を踏まえて具体的にどのような取組を展開しているのか伺います。
また、近年「男性の職場」というイメージが強い職種における女性の活躍が目に留まるようになりましたが、こうした変化は女性の活躍推進を強く印象づけると考えます。
そこで、「男性の職場」という印象の強い愛知県警察における女性の活躍推進に向けた取組について伺います。まず、女性警察官数などの現状および登用拡大に向けた取組をお示しください。また、幹部登用の状況及び幹部登用に向けた取組と今後の方針についても伺います。
次に、3つ目の取組として、埼玉県では保育サービスの拡大にも力を入れています。特筆すべきは、ウーマノミクス課自らが県庁近隣の中小企業と連携を取り、県庁内に「共同利用型企業内保育所」を設置、運営を行っている点です。共同運営の中小企業からは求人の際の大きなセールスポイントになっているとの声が上がる一方、費用負担が大きいとの声もあり、また定員確保が不安定といった課題もある中、現在、課題の整理を進めながら、ノウハウの蓄積と普及に努めているそうです。また、企業内保育所の設置促進として500万円を上限に整備費補助も行っています。こうした取組の成果として、平成27年4月現在で84の企業内保育所が設置されているそうです。また、本年度より企業のニーズに応じた柔軟な設置・運営を支援する新たな仕組みとして、内閣府による企業主導型保育事業がスタートしております。
そこで、愛知県として企業に設置する保育施設を促進するため、これまでどのように取り組んで、今後どのように推進していくのか伺います。
続いて、施策Ⅱ「女性の就業・起業を支援する」について取組の一部を紹介します。埼玉県ではウーマノミクス課が設置される以前、平成20年5月から「埼玉県女性キャリアセンター」を開設し、女性の就業支援を行っています。これまで利用者のニーズに合った支援を展開する中、平成26年10月にはハローワーク求人情報の検索用パソコンを設置し、求人情報を2千件から15万件に増やすとともに、県職員が職業紹介する機能も整備するなど、就業支援の充実を図ってきました。この結果、平成27年度の利用者数は14,622人、うち就職確認者数は1,792人でこの数字は平成24年度の1.8倍と着実に実績を伸ばしています。
そこで、同様の取組を行う「あいち子育て女性再就職サポートセンター」について伺います。当該施設において女性の就業支援として、どのような取組を行ない、実績はどのようになっているのかお示し願います。また、愛知労働局との連携について伺います。
続いて、施策Ⅲ「女性の活躍を応援する気運づくり」について取組の一部を紹介します。埼玉県では100万人近く存在する「埼玉都民」と言われる方や東京都内に本社がある企業などに広くPRするため、平成26年5月から半年間、県境を越え都内に延びる東武鉄道、西武鉄道の2路線でウーマノミクス・トレインを運行しました。また、平成25年度から経済団体と共同して「埼玉版ウーマノミクスサイト」を開設し、仕事と子育てを両立している県内企業の女性や男性をロールモデルとして紹介したり、女性の活躍推進や多様な働き方に取り組んでいる企業の声を動画で紹介しています。平成27年度のアクセス数は月平均約21,000件。このサイトでは年額36,000円でバナー広告を掲載できる「ウーマノミクスサイトサポーター」を募っており、サイトのメンテナンス費用に充てています。さらには、女性向け商品やサービスを一堂に集めた「SAITAMA Smile Womanフェスタ」の開催を平成25年度より実施し、今年度は9月10日(土)、11日(日)の2日間で約24,000人が来場したそうです。
そこで、あいち女性の活躍促進プロジェクトの広報について伺います。イベント、HPやSNS等を利用した広報を展開する際、企業や関係団体と連携することで県単独で行うより大きな発信をすることができると考えます。愛知県では、どのような狙いをもって、どのように広報を展開しているのか伺います。
ここまで「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」の一部を紹介してきました。埼玉県では4年間の取組を通じて、「女性の家庭と仕事の両立支援」の機運が一定程度高まってきた中、本年度からは次のステージとして男性の働き方に対する見直しに力を入れ始めたそうです。例えば、先ほど紹介した「多様な働き方実践企業の認定」では新たな評価項目として「男性の育児休暇等」を追加し、企業への働きかけをスタートさせたことに加え、男性の育休取得モデルの構築として奨励金30万円×25社=750万円の交付も行う予定です。
そんな中、厚生労働省によると愛知県の男性の育児休業取得率は平成27年度、全国の2.65%に対し、1.2%にとどまっているとの数字もあります。
そこで、「育児休業を申請する」など、積極的に子育てを楽しみ、自らも成長する男性を指す、いわゆるイクメン事業について、愛知労働局との連携を含め、愛知県ではどのような取組を行っているのか伺います。次にイクメン事業の浸透にはまだまだハードルがあるなか、県自らが率先した取組を行い、県内企業に姿勢を示していく必要があると考えます。今月に入り、平成27年度の男性国家公務員の育児休業取得が過去最高の9.5%になったというニュースや東京都では小池都知事を始めすべての管理職がイクボス宣言を行うというニュースが話題を呼びました。そこで、県庁内における男性の育児に関する休業等の取組について伺います。
最後に、就業とは違う観点であるものの私が女性活躍促進に欠かせない施策と考える「産後ケア事業」について伺います。女性は出産という機会に際し、一度職場や社会から離れ、育児と向き合う時間を過ごします。この時期は身体的に負担がかかるとともに、体内のホルモンバランスが崩れるため精神的にも不安定になりやすいと言われます。
私の地元春日井市は、平成26年度に厚生労働省が実施した「妊娠・出産包括支援モデル事業」に選定されました。これは、①母子保健や子育てに関する様々な悩みへの相談対応を行う「母子保健相談支援事業」、②助産師等による専門的な相談援助や、地域の子育て経験者等に話し相手になっていただく「産前・産後サポート事業」、③出産直後の心身のケアや育児のサポート等のきめ細かい支援や休養の機会を提供する「産後ケア事業」の 3つの事業から成るものです。春日井市は「産後ケア事業」に特に力を入れ、平成26年度に完成した総合保健医療センター内に「妊産婦ケア~さんさんルーム~」(デイサービス型)を設置。入浴・睡眠などができる母親が安らげる空間の提供と、助産師、保健師、臨床心理士、栄養士、保育士による相談支援を行い、平成27年度は740組の利用がありました。また、春日井市民病院では産科病棟の空きベッドを利用し、どこの施設で出産した産婦でも産後2か月までの間、利用することができる「産後ケア入院」(宿泊型)を用意し、産婦人科の助産師が24時間体制でサポートし、母子の健康チェックや産後の休養さらに育児技術の習得に力を入れています。
両施設の利用者からは、「ひと時でもほっとできる時間があると、育児の問題も解決できる気がする」、「色々な助産師から細やかな指導を受けられ、心にゆとりを持てた」といった声が多数聞かれており、非常に高い評価が得られています。
母子保健法では妊娠や出産、乳幼児における健康の保持や増進について市町村が第一線の支援を行い、県が援助するという役割になっています。しかし、愛知県において「希望がかなった場合の出生率」=1.8の実現あるいは女性の継続就業率の向上を図るうえで、私はこの時期の不安を解消することが極めて重要であり、市町村間のばらつきを解消すべく、県として積極的な支援を行うべきと考えます。そこで、山梨県が行っている「産後ケアセンター整備事業」を紹介します。
山梨県は平成25年5月、少子化に歯止めがかからない現状を打開するためにプロジェクトチームを立ち上げ、総合的な対策を講じることとしました。この結果、妊娠・出産の分野において県民ニーズの高かった「宿泊型産後支援を行う場」、「産後育児支援の拠点」、「いつでも連絡できる相談先」の3つの機能を有する産後ケアセンターを県有地に整備することとし、県と全市町村で構成する広域的な連合体「山梨県産後ケア事業推進委員会」のもとで、公募で手を挙げた「学校法人富士修紅学院」を事業主体として本年2月、「健康科学大学産前産後ケアセンター」がオープンしました。センターには個室6室のほか、母親同士が交流する多目的スペースや温泉が出る浴場、足湯を備え、24時間待機する助産師が授乳や赤ちゃんのお風呂の入れ方を指導したり、栄養バランスがとれた食事を提供しています。基本料金1泊2食33,900円のところ、27,800円分は山梨県と利用者の住む市町村が半分ずつ補助することとし、利用者負担は1泊2食で6,100円。また、日帰り型ケアや24時間対応の電話相談室も設けられています。
6月末までの約4か月間で49組111泊の利用がされ、利用者の声を伺うと「自分の子育てが間違っていないと自信が持てた」、「また育児を楽しく頑張ろうと活力を頂いた」等、前向きな言葉が次々と出てきておりました。
なお、山梨県は平成27年度にケアセンターの建設費補助金として建設費の半分にあたる7,000万円を、本年度はセンター利用費補助金と産前産後電話相談事業に約3,900万円の予算を充てており、山梨県の人口規模(約80万人)を考えても力の入れ具合がわかります。
さらに、産後ケアセンターの設置と併せて、保健師・助産師等の専門職が、支援に必要な情報の共有を図る仕組みが必要であると考え、市町村によってばらつきがみられる母子管理カードや問診票の内容について標準化を図り、妊娠から出産、乳幼児期に至る過程において基盤を整備しているところであり、こちらも県と全市町村で構成する「山梨県産後ケア事業推進委員会」が有効に機能しているそうです。
そこで伺います。愛知県では現状、産後ケアに関する市町村のサービスにばらつきがあると考えますが、県はどのように市町村と連携をとり、支援を行っていくのでしょうか。
以上、理事者各位の前向きな答弁をお願いしまして、壇上での質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(県民生活部長)
「あいち女性輝きカンパニー」認証制度についてお答えをいたします。
この制度は、女性の活躍に向けたトップの意思表明、管理職への登用、ワーク・ライフ・バランスの推進などに積極的に取り組む企業等を県が認証するもので、具体的な取組を認証要件として示すことで企業の実践を促し、公表によって企業の社会的評価を高め、女性の活躍に積極的な企業が更に増えることを狙いとしております。
県内各地域の多くの企業に、この制度の内容やメリットなどを知っていただくため、商工会議所等経済団体主催のセミナー等に出向いて説明を行うなど、様々な機会をとらえて周知を図っております。
また、社会保険労務士などに委嘱した「女性の活躍促進コーディネーター」が、個別企業を訪問して認証に関する相談も実施をしており、本年8月末現在、102社を認証し、認証企業の目標数は、「あいち男女共同参画推進プラン2020」で、平成32年度末までに400社としております。
今後は、いわゆる「女性活躍推進法」で一般事業主行動計画の策定が努力義務の中小企業の取組が進むよう、認証企業の好取組事例や手法などをまとめたハンドブックの作成と、これを活用したセミナーの開催などにより、認証を受ける意義を分かりやすく伝え、女性の活躍に向けた企業の具体的な行動を促してまいります。
(産業労働部長)
「あいち・ウーマノミクス研究会」での意見を踏まえた取組について、お答えいたします。
県では、昨年7月の研究会の設置後、これまで6回の意見交換を行ってまいりました。研究会では、「女性の入社希望者を増やすため、女子学生が企業の職場や工場などの技術系の現場を見学する機会を設けてほしい」「結婚や出産後の女性の職場定着を進めるため、実際に社内で活躍し続けている先輩の話を学生が直接聞く機会があると良い」といったようなご意見をいただきました。
こうしたご意見を踏まえ、モノづくりやサービス業など、幅広い業種延べ19社1団体のご協力のもと、女子中高生・大学生を対象に、実際の職場を見学するとともに、女性社員との意見交換を行う企業訪問ツアーを10回実施したところ、計214名の参加がございました。
参加者からは「女性が活躍できる職場で働くことを目指したいと思った」「企業で活躍する女性の話を聞くことができ、働き方への意識が変わった」等、前向きな意見が多く聞かれました。
このため、県では、今年度も引き続き企業訪問ツアーを実施するとともに、新たに、女性が創業したビジネスモデルを紹介する啓発セミナーを開催する等、企業と連携した女性活躍促進に努めてまいります。
(警察本部長)
女性警察官数などの現状及び登用拡大に向けた取組についてお答えいたします。
はじめに、女性警察官数などの現状についてお答えいたします。
本年4月1日現在、県警察における女性警察官の人員は、育児休業者を含め1,249人で、全警察官の9.1%を占めております。
次に、登用拡大に向けた取組についてお答えいたします。
県警察におきましては、平成3年に女性警察官の職域拡大計画を策定し、各部門への女性警察官の配置を順次拡大してまいりました。
当時は、交通部門が最も多かったところでございますが、その後、順次、性犯罪捜査等女性の特性を活かした職域、ストーカー・DV事案等への対応を主とする職域、鑑識部門や通信指令業務等の分野への配置を拡大し、現在では、様々な分野で女性警察官が活躍しているところでございます。
続きまして、女性警察官の幹部登用状況及び幹部登用に向けた取組と今後の方針についてお答えいたします。
まず、幹部登用状況についてでございます。
警部以上の幹部の立場にある女性警察官につきましては、警視2人、警部10人の合計12人となっており、警視2人につきましては、大規模警察署の課長として、警部につきましては、警察本部の課長補佐、警察署の課長又は課長代理として配置しております。
次に、幹部登用に向けた取組についてお答えいたします。
女性警察官の幹部登用に向けては、その土台となる警部補の層を厚くしていく必要がございます。
このため、警部補への昇任に対する不安を払拭し、昇任意欲を高めるための取組といたしまして、巡査部長の階級にある女性警察官を対象としたキャリアアップセミナーを開催しているほか、育児休業の取得が、昇任試験の受験に不利益にならないように、育児休業期間の一部を在級年数として取り扱う取組を実施しているところでございます。
最後に、女性の活躍推進に向けた今後の方針についてお答えいたします。
本県警察におきましては、「愛知県警察におけるワーク・ライフ・バランス等推進取組計画」に基づき、男女双方の働き方改革、子育てや介護等と両立して活躍できるための改革、女性職員の活躍推進のための改革の3つの改革を推進し、全職員のワーク・ライフ・バランスの実践をはじめ、「女性職員の採用の拡大」、「女性職員の登用拡大に向けた計画的育成とキャリア形成支援」などを通じ、女性職員の活躍推進を図ってまいります。
(健康福祉部長)
私からは、企業に設置する保育施設の促進についてお答えします。
企業に設置する保育施設は、従業員の福利厚生として企業が独自に実施してきたところでございますが、昨年度に子ども・子育て支援新制度がスタートし、新たに市町村が認可し公費負担の対象となる「事業所内保育事業」が創設されました。
さらに、今年度、国が設置や利用の際に市町村の関与がない「企業主導型保育事業」を創設しました。
この「企業主導型保育事業」と「事業所内保育事業」の主な違いは、企業主導型は、事業所内保育事業より保育士の配置基準が緩和されていること、事業所内保育事業では必ず受け入れなければならない地域の子どもの受入が自由であることなどがあります。
本県では、今年7月、保育所設置に関心のある企業等を対象としたセミナーを開催し、事業所内保育事業の事例紹介や企業主導型保育事業についての制度説明等を行い、参加企業の皆様に理解を深めていただいたところです。
今後は、企業等の皆様に制度の違いをご理解いただき、より多くの企業にそれぞれの実情に応じた保育所を設置していただけるよう、意欲ある企業をサポートしてまいります。
(労政局長)
あいち子育て女性再就職サポートセンターについてお答えします。
このサポートセンターでは、離職後のブランクによる不安や家庭との両立など様々な悩みにより再就職への第一歩を踏み出せない方に対して、キャリアカウンセラーによる相談・カウンセリングやワークショップの開催など、きめ細やかな支援を行っております。
サポートセンターの平成27年度の相談等の実績は546件であり、利用者の方への追跡調査によれば、アンケートに回答いただいた方のうち、半数以上の方が6か月以内に再就職されております。
ハローワークとの連携につきましては、サポートセンターのある「あいち労働総合支援フロア」内のハローワークと連携し、センターの行う再就職支援から国の行う職業相談・紹介業務までをワンストップで提供しているほか、近隣にあるマザーズハローワークともセミナー等の情報を共有するなどの連携を図っております。
また、先般、県と愛知労働局の間で、「若者・女性・高齢者・障がい者等の活躍促進」などを連携内容とした雇用対策協定を新たに締結したところであり、今後、この協定に基づく連携を一層強化し、子育て女性の再就職に結びつくようサポートセンターの機能の充実に努めてまいります。
(県民生活部長)
「あいち女性の活躍促進プロジェクト」の広報についてお答えします。
このプロジェクトは、女性輝きカンパニー認証制度をはじめ、ワーク・ライフ・バランス、子育て支援など多岐にわたる取組を取りまとめていることから、事業内容に応じてターゲットをしっかりと見定め、必要な人に必要な情報が届くよう、経済団体、労働団体などとも協力をしながら、広報を進めているところでございます。
例えば、「あいち女性の活躍促進サミット2015」では、「あいち女性の活躍促進会議」メンバーである経済団体等と共催をし、この地域の企業トップに情報が届くよう、機関紙や団体ホームページに登載をしたほか、「リケジョの進路!きっかけシンポジウム」では、高校や教育団体等の協力を得ながら、教育現場を通じて女子生徒や保護者にチラシを配布するなどしてお知らせをしたところです。
また、昨年9月、「あいち女性の活躍応援サイト」を新たに開設をし、「働く女性向け」、「企業向け」等、情報を分かりやすく整理するとともに、このウェブサイトから国等の取組も含めまして、一元的に情報を得られるようにしたところでございます。
今後とも、関係団体等と必要に応じて連携を図りながら、事業内容に応じて必要とされる方に必要な情報が届くよう、様々な方法により、プロジェクトの広報を進めてまいります。
(労政局長)
育児に積極的な男性、いわゆるイクメンに関する取組についてお答えします。
県では、男性の育児参加を進めるため、労働団体、経済団体、愛知労働局等で構成する「あいちワーク・ライフ・バランス推進協議会」の下に「あいちイクメン応援会議」を平成26年度に設置し、イクメン普及に向けた取組として、川柳の募集や企業表彰、県内各地でのキャンペーン活動を展開してまいりました。
また、イクメンの普及には、それを支える上司・管理職など「イクボス」の存在が重要であり、平成27年度からは、中小企業経営者等を対象に、柔軟な働き方や職場のマネジメントについて理解促進を図る「イクボス養成講座」の開催なども積極的に進めているところであります。
一方、愛知労働局におきましても、イクメン普及に関し、今年度は、県、市町村と協力して母子健康手帳の交付時に男性向けの育休取得に関するリーフレットを配布しているところであります。
現状では、男性の育児休業の取得率は女性に比べ依然低い水準で推移しているところであり、今後、愛知労働局を始め労働団体、経済団体等と連携しながら、男性の育児参加が図られるよう、両立支援制度の整備促進、制度を利用しやすい職場環境づくり、社会的な気運醸成にしっかりと取り組んでまいります。
(人事局長)
県庁内における男性職員の育児に関する休業等の取組についてお答えをいたします。
本県では、次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業主行動計画として、平成27年3月に「職員の子育て応援プログラム」を策定し、男性の育児休業取得率を平成31年度までに、国の13%を上回る15%とすることを目標としております。
目標の達成に向け、上司等も参加できる育児支援制度説明会の開催、子供が生まれる予定のある男性職員が所属長・班長と育児休業の取得等について話し合う「イクメンサポート面談」の周知・徹底、さらに、部局長・所属長の人事評価の目標項目に、男性の育児休業取得等の促進を設定することを必須とするなどの取組を進めております。
こうした取組などにより、平成27年度には知事部局等において子供が生まれた男性職員200人に対し、28人が育児休業を取得し、男性職員の育児休業取得率は、26年度の6.4%から14.0%まで大幅にアップしております。
仕事と家庭の両立についての意識を高め、男性職員が積極的に育児に関わる職場環境を築くことは大変重要であり、今後とも男性職員の育児休業等の取得の促進に努めてまいります。
(保健医療局長)
産後ケアに関する県の支援についてお答えいたします。
県といたしましては、安心、安全な妊娠、出産、子育てのためには、妊娠期から子育て期にわたるまでの様々な悩みや相談にワンストップで対応する「子育て世代包括支援センター」を全市町村に整備することが重要であると考えており、同センターは、今年度中に県内16市で開設される予定であります。
県では、その設置を促進するため、県保健所におきまして、市町村を対象にした、同センターの役割に関する研修会や、関係機関の連携強化を図るための会議を開催しているところでございます。
一方、出産直後の母親は、孤立し、育児不安を抱えやすいため、病院等への宿泊やデイサービスなどにより心身のケア等を行う、産後ケア事業も大変有意義であると考えており、県内では今年度、名古屋市を始め5市で実施される予定であります。
県といたしましては、「子育て世代包括支援センター」の設置とともに、産後ケア事業につきましても、地域の実情に応じて、より多くの市町村で取り組んでいただけますよう、県の保健所を中心に、きめ細かく支援を行い、「日本一子育てしやすい あいち」の実現に取り組んでまいります。
(知事)
女性の活躍につきまして、私からもお答えします。
この女性の活躍促進プロジェクトでは、全庁挙げて様々な事業を展開いたしておりますが、その中でも経営者の意識啓発は女性の活躍促進の最も重要なテーマであり、継続していくことが大切であると考えております。そのため、本年度も「あいち女性の活躍促進サミット」を12月に開催をし、高い意識を企業トップの方々に持ち続けていただく動機付けとするためにも、今回新たに、あいち女性輝きカンパニー認証企業の中から、他の模範となる特に優れた取組を行っている企業を表彰することといたしました。
また、女性の活躍促進の取組が着実に進んでいくためには、地域を挙げて取り組むことが重要でありまして、経済団体、労働団体、大学、国の機関など、この地域を代表する団体等で構成している「女性の活躍促進会議」を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」第23条の法定協議会といたしまして、この法律が求める、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組が効果的かつ円滑に実施されるよう位置付けたところであります。
今後とも、「女性の活躍促進会議」の構成員との連携を密にしながら、この地域全体で女性の活躍促進をしっかりと進めてまいります。
それぞれご答弁いただきありがとうございました。要望をさせていただきます。
この質問をしたきっかけは、本県の20~30 歳代における男女の人口バランスの悪さです。株式会社日本政策投資銀行が平成26年6月に発表した「働く女性の姿にみる愛知・名古屋の課題」の中でも「人口バランスの悪化を軽視して現状を放置した場合、未婚率の高まりにより人口減少がさらに加速する恐れがある」と警鐘を鳴らしています。
今回、各部局長からの答弁に加え、知事から一括の発信をいただき、本県が一丸となって力を入れているということを確認できました。あいち女性の活躍促進プロジェクトが発足して丸3年が経過しました。課題や方向性も明確になっていると思いますので、取組をさらに加速して頂きますよう要望します。
次に、山梨県では様々な調査結果から「育児不安、特に不安が大きい出産直後から産後3か月頃までの育児不安を減少させることは、育児における母親の負担を軽減させるとともに、欲しい子どもの数と同じ子どもを持つことを可能にするための重要な支援となる」と考え、妊娠中の妊婦及び出産直後から1歳6か月児までを養育している母親にアンケートを実施し、より詳細なニーズ把握に努められていました。
本県においても本年2月に「子育て支援等に関するニーズ調査報告書」が取りまとめられ、「子育ての孤独感や負担感の解消には夫のサポートが重要であり、イクメンの養成やワーク・ライフ・バランスの推進が効果的である」と記載されています。私自身も同感でありますが、ぜひもう一歩踏み込んで、産後ケアについて、「今、求められている支援が何か」市町村との連携を深めながら、実効性のある施策の検討に努めていただきますよう要望します。
以上で質問を閉じます。ありがとうございました。