未就職卒業者を対象とした地域人材育成事業については、昨年6月に200人を募集したところ、約600人の応募があった等大変盛況であったと聞いている。今年度は、昨年度を大幅に上回る500人を募集し、現在、雇用期間に入っているところであるが、今年度の応募状況はどうであったのか、また現時点で確認できる問題事項等があれば伺いたい。
【就業促進課主幹(緊急雇用対策推進)】
地域人材育成事業は、就職が決まらないまま大学や高校等を卒業した方を対象に、人材派遣会社で一定期間雇用し、その間、基礎的研修と職場実習を行うことによりスキルアップを図り、就職につなげる事業である。
今年度は、4月7日から5月27日までの間で募集し、実人員として886人の応募があり、そのうち500人を6月1日から県が委託した人材派遣会社5社において雇用した。
現在は、キャリアカウンセリングや個人相談を含め、ビジネスマナーやコミュニケーション能力の向上などの就職に必要な基礎的研修を実施中で、今後は5か月間の職場実習を経て就職を目指すこととなる。
事業の実施にあたっては、委託先の事業責任者と毎月打合せ会議を行い、事業の進捗状況の確認と問題などを報告していただき、問題が発生すればその都度解決することとしている。
現時点で特に問題となるようなことは聞いておらず、現在は順調に進んでいると考えている。
886人の応募があったとのことであるが、選に漏れてしまった方がいる以上、ひとりでも多くの人材を着実な雇用に結び付けていただきたいと考える。そこで、昨年度の実績を確認すると、参加者202人のうち124人が職場実習先企業を始めとした企業に雇用されたと公表されており、残りは就職支援実施または途中退社となっている。
そこで、まずこの就職支援実施とはどういう状態のことか。続いてこの実績に対する評価及びそれを踏まえて今年度注意している点があれば伺いたい。
【就業促進課主幹(緊急雇用対策推進)】
まず始めに、昨年度の実績について報告する。
昨年度は7月から翌年2月まで県が委託した人材派遣会社3社で雇用し研修と職場実習を行った結果、3月末の時点で、参加者202人のうち、職場実習先で92人、その他の企業で32人の計124人が就職された。
他に、事業の途中で18人が研修についていけないなどの理由で自主的に辞め、残りの60人については、2月の雇用期間満了後も年度末まで就職先の紹介、面接の再指導など就職支援を行ったが、結果として就職が決まらず、これが「就職支援実施」に該当する。
次に、実績に対する評価であるが、202人のうち6割以上にあたる124人が雇用されたことについては、厳しい就職戦線の中で就職できなかった方々を対象とした就職支援事業としては、一定の成果を挙げたものと考えている。
今年度の注意点としては、参加者の希望する職と本人の適性とのかい離、職場実習受入先企業の求める人材と参加者の資質・適性のミスマッチをいかに最小限にするかであると考える。そのため、適正なマッチングが図られるよう、今年度委託を受け実際に研修等に携わっている事業者と課題を共有し、できる限りの改善に努めながら事業を進めていく。
昨年度実績の就職率6割が高いか低いかの評価は難しいところであるが、昨年度の改善点を生かし、ひとりでも多くの雇用に結び付けてほしい。
若者学習支援人材育成事業について伺う。この事業は、サブタイトルとして「日本版ティーチ・フォー・アメリカ」を目指す取組とされているが、本来のティーチ・フォー・アメリカはアメリカで行われている教育不平等を是正するための教育プログラムで、緊急雇用創出の点から展開される今回の取組は、活動期間・仕組みとも、本来のものとはほど遠い内容である。雇用を促進するための研修の場として教育現場を活用することには問題が多いと思うが、まず、今回の取組の目的について伺う。
【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
この事業は、おおむね30歳未満の若年求職者に対して行われており、教育現場での研修を通じての人材育成と、就職につなげることを目的としている。
まず、15人を人材派遣会社で雇用し、若者就労・学習支援に習熟したNPO法人の協力のもと、1か月しっかりと事前研修し、小・中学校の教育現場で4か月、教員補助的な活動に従事する。子どもと触れあい、問題に対応する中で、若者自身が大きく成長し、そうした体験が生かせる企業での職場体験を経て、就職へとつなげることを目指すものである。
教育現場での体験が若者の人間的成長に大きな役割を果たしている点に着目し、県教育委員会と一緒になって立案したものである。
求職者15人がどれくらいの熱意を持っているかが重要である。説明会への参加、委託事業者の応募状況、選定にあたっての基準はどのようになっているのか。また、求職者15人の選定について、県の関与はあるのか。
【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
6月20日から7月1日までに4件の事業提案があり、現在、事業者選定を進めているところである。
今回、若者就労・学習支援に習熟したNPO法人と人材派遣会社の共同提案という形としている。
事業者については、愛知労働局、県教育委員会と私どもからなる選定委員会を設置し、選定している。
選定基準については、教育現場に行く前の事前研修の内容がしっかりしたものであるか、教育現場での活動内容が現場の実情を踏まえたものとなっているか等を重視している。
求職者の募集・雇用は委託事業者が行うが、派遣する若者の選考は大事なところであるので、県としても、県教育委員会とも連携を取りながら、適切な方が選考されるよう、委託事業者をしっかりと指導していく。
ぜひ、県としても十分選定に関与していただきたい。
知事の記者会見の様子を見たが、教育現場はとにかく人手が足りないといった発言があった。一方で、ただでさえ忙しい職場に研修生が来ることで、現場が困惑していないかと懸念している。既に学校側と調整していると思うが、どのような意見が学校側から出ているか。また、万一、重大なトラブルが発生した場合、どこが責任を負うのか。
【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
派遣先の学校の選定や必要な調整は、教育委員会を通じて行っており、現在のところ、「子どもと接する専門的な仕事なので事前研修をしっかりとやってほしい」、「教育に意欲ある若者を派遣してほしい」、「学校任せにせず、しっかりとフォローしてほしい」といった意見を聞いている。
この事業の実施にあたっては、しっかりとした若者を確保し、現場では、先生方の指導に従って、補助的な業務を担当することを想定しており、トラブルがおきないように、学校現場としっかりと連携を取っていく。万一トラブルがおきた場合、教育委員会と連携して適切に対処していきたい。
ぜひ慎重な対応をとり、しっかり連携をとっていただきたい。
今回の取組を経て、次に向けた施策の展開は考えているのか。
【就業促進課主幹(地域雇用対策)】
今回の取組は、アメリカの例をヒントに、日本の若者の人材育成・雇用に結び付けることができるようにアレンジする、15人と少ない人数での実験的な取組である。今後、若者が教育現場でどう成長したか等を検証するとともに、教育現場での意見を十分聞く。そうした検証を踏まえ、今後どうしていくかを検討し、次につなげていきたい。なお、今回は県主導で進めているが、将来的には、アメリカでの取組のように、民間主導で広がっていくことも期待している。
要望する。今回の取組は大変難しいところでかじをとりはじめている。2学期から教育現場に送り込むため、見切り発車的な感じを受けた。アメリカの活動が成功したのは、メンバーの教育に対する熱意のたまもの。今回の15人についても、熱意ある人を採用し、派遣業者やNPO法人任せにせず、県として十分関与し、子供たちに対し慎重に対応してほしい