12月の定例会で売上げ向上及び来場者サービスの観点から数点質問させていただきました。今回は地域住民へのサービス向上、そして新たなファン獲得といった観点で質問させていただきます。
初めに、地域住民へのサービス向上について伺います。
さきの12月定例会にて紹介させていただいた岐阜競輪場及び千葉競輪場では、さまざまな来場者サービスに加えて地域住民へのサービス向上にも努めて、積極的に取り組んでいます。
岐阜競輪場では地域活性化の拠点として、また競輪場に対する関心や理解の増進を高める施設として、平成22年にサイクルプラザの2階に地域交流センターとしてのホール、会議室及び和室をつくって地域に開放しました。これらの施設は地域の方に大変多く利用されて、稼働率は100%に近いそうです。
一方、千葉競輪場においては平成28年4月に自転車愛好家が集うラウンジができました。自転車やヘルメットが並んで、レース場を一般に開放するイベントでは試乗も可能とのことです。また、選手のトレーニングルームも併設され、間近で練習風景を見ることができ、練習に支障がない範囲で選手との交流もできるそうです。加えて、3年前には一般参加者がバンクを走ることができる千葉サイクルクラブが発足しまして、月に3~4回、レースや練習のない時間を利用してバンクの開放も行っています。
バンクの開放については、先日松阪競輪場が、来月1日からレース開催日や施設メンテナンス日、そして定休日、これは月曜日だそうですけれども、この日を除いて常時一般市民に開放することを発表しました。バンクの常時開放は全国初の試みになるということで、運営会社であります日本写真判定株式会社にお伺いしたところ、少々のバンクの修繕は大変になっても、自転車競技の普及あるいは市民に愛される競輪場を目指す取り組みを考えた結果、バンクの常時開放という判断に至ったそうです。
ほかにも、岸和田競輪場では平成23年にバックスタンドを撤去して、約120メートル掛ける30メートルのスペースにBMXレースのコース、サイクルピア岸和田をオープンさせました。子供から若い層に人気があるBMXと競輪が隣り合わせになることによって相乗効果が出ているそうです。
そこでお伺いします。名古屋競輪では地域住民への開放について、どのような考えのもとで、これまでどのように取り組まれてきたのでしょうか。競輪組合が主体で行っている取り組みと地域からの要請等に応じて場内を開放しているものとに分けてお答え願います。
【総務部長】
施設の地域への開放につきましては、地元への還元という考えのほか、競輪ファン以外の方に競輪場へ来ていただくということのためには大変重要なものだと考えておるところでございます。
まず、競輪自体が主体として実施しているものにつきましては、ここは中村公園スポーツセンターという機能を兼ねてございます。卓球場ですとか球技場、また会議室と集会場といったものの貸し出しを行っておりまして、年間の利用延べ人数といたしましては、去年の3月から今年の2月まで2万9,000人余に使っていただいているというところでございます。
その他の事例につきましては、フリーマーケットの開催もやっておりまして、正面入場門から東スタンドまでの東広場全体をフリーマーケットの場として活用していただいているところでございます。
2点目の地域住民からの要請に応じて実施したものにつきましては、地元のお祭りへの開放というものがございます。5月の太閤まつりの際には稚児行列の発着場として、また10月の区民まつりにはお絵かきバスや消防車、パトカーといったものを展示する場として東広場をお使いいただいております。また、中村公園夏まつりにつきましては花火が打ち上がりますけれども、その花火を観賞していただくために、夜、北スタンドの階段席を地元のPTA、子供会からの要請に応じまして開放しているというところでございます。
今、競輪組合主体の取り組みの中で、フリーマーケットでこの場内を開放しているということでしたが、なぜそのような取り組みを行っているのか。また、どれぐらいイベントというのは開催しているのか、お伺いします。
【総務部長】
フリーマーケットにつきましては、当然競輪に来ていただいているお客様へのファンサービスの向上と、そのほか、競輪とは縁がないというか、競輪には興味がない方にも競輪場にまず来ていただくということを目的に、平成14年度から土曜日日曜日祝日を中心に開催をしておるところでございます。
今年度としまして、実績としては年間約80日、フリーマーケットとして開催したところでございます。
今のフリーマーケットの中で、競輪に興味のない方にもぜひ知ってもらうということもありました。これからの競輪場を考えたときに、ギャンブルという一面だけでなくて、より地域に開かれた施設として利用いただくということをもっともっと考えていただきたいなと思っています。
その中で、先ほど例示したほかの競輪場の取り組みを踏まえまして、名古屋競輪場においてもさらなる工夫が必要かと思いますけれども、お考えをお聞かせください。
【総務部長】
御指摘のとおり、まず競輪場に来ていただくこと。その来ていただいたことをきっかけに、競輪に興味を持っていただくということが大変重要であると考えておるところでございます。
特に、千葉競輪のバンク開放ですとか、松阪もありましたけれどもバンク開放につきましては、私ども名古屋競輪場におきましても、年に数回になりますけれどもアマチュアの自転車競技大会に使用していただいているところでございます。そのほか、年1回でございますけれども、初心者の方、またお子様にも参加いただけるエンジョイバンクというイベントを実施しまして、約100名の方にバンクを走行体験していただいているというところでございます。
ただ、バンクの走行というのは、やっぱり競輪を知っていただく、身近に感じていただける絶好の機会と考えますけれども、一方で、やっぱりバンクに先ほどもありましたように傷がつくだとかそういったリスクもございますので、選手会とも密接に調整、相談しながら、どういった形でバンクの開放が可能か、またほかの施策ができないかということを今後も継続して検討していきたいと考えております。
続きまして、新たなファン獲得として、外国人観光客への取り組みについて伺います。
少し前の話になりますが、平成23年に開かれた経済産業省第5回競輪事業のあり方検討小委員会の資料を拝見しますと、観光庁が推進するスポーツツーリズムにおいて、日本が生んだ世界のスポーツ「KEIRIN」は強力なコンテンツであり、インバウンド旅行者の誘致につながる可能性が高い。日本発祥の独自のスポーツである競輪、身近でポピュラーな自転車を活用する競技といった点が競輪のスポーツリズムとしてのポテンシャルを秘めていると記載されています。
こうした新たな発想による取り組みも始まっている模様で、例えば奈良競輪では、外国人観光客をターゲットとした取り組みとして、競輪ビギナー向けのリーフレットや出走表翻訳リーフレットを外国語で作成し、心の通った丁寧な対応に心がけているそうです。また、伊東商工会議所青年部では、地域資源としての伊東温泉競輪場に着目し、外国人観光客に競輪の魅力を知ってもらうためのツアーを開催する、立ち飲み・立ち食い店を新設するなどして競輪場の複合施設化を進めるなどの施策を提案したそうです。
そこで、名古屋競輪では外国人観光客への対応についてどのようにお考えか伺います。
【事業部長】
外国人観光客の誘致に向けては、名古屋競輪のホームページでビギナー向けの競輪ガイドが見られるようにしております。中国語など数カ国語の外国語でも見られるようになっております。
外国人観光客の誘致については、業界全体でこれから取り込んでいこうとする動きがありますので、その動きも見つつ、さらにどのような取り組みができるのか検討してまいりたい、このように考えております。
最後に、要望させていただきます。
平成28年の訪日来客数は2,400万人を超え、統計をとり始めた1964年以降、過去最高となりました。また、本県における平成28年訪日来客数も200万人を突破したと推測されています。愛知県が発行したあいち観光戦略では、平成32年に400万人を目標に掲げましてさまざまな施策を展開する一方、こうした日本に来られる観光客のお金の使い方については、一時期の爆買いが影を潜めて、今、物から体験にお金のかけ方が移っているとも言われています。
ぜひ、競輪場としてもこうしたトレンドを踏まえた戦略を検討いただいて、新たなファンづくり、そして競輪のイメージづくりということを行っていただくよう要望して、質問を閉じます。