平成29年一般会計・特別会計決算特別委員会質問(2017.10.27)

《農林水産部関係》

【日比たけまさ委員】

 決算に関する報告書239ページ、次世代林業基盤づくり事業費補助金について、事業名を変更しながら施設整備に対する助成を実施しているとのことだが、ここ10年間でどのような施設の整備に助成してきたのか。

【林務課主幹】
 昨年度までの10年間の助成実績は、木材生産現場で使われる高性能林業機械の導入が15件27台、製材機械などの木材加工流通施設の整備が4件、しいたけ生産施設の整備が2件、木造公共施設の整備が1件、合わせて22件に助成している。

【日比たけまさ委員】

 高性能林業機械とはどういうもので、県内にどのくらい導入されているか。

【林務課主幹】
 高性能林業機械とは、木材生産現場で使用される大型の機械であり、主なものとして、簡易な架線を張って伐採した木を作業道などまで運ぶスイングヤーダや、伐採された木の枝を払い必要な長さの丸太に切るプロセッサなどがある。県内では、本年3月末現在、森林組合や民間事業体などを合わせて、78台の機械が導入されている。

【日比たけまさ委員】

 高性能林業機械を導入したことにより、どのような効果が出ているか。

【林務課主幹】
 高性能林業機械を活用することで木材生産作業の効率が大きく向上することにより、木材生産コストを従来の6割程度に抑えることが可能となった。こうした結果、木材価格が低迷している中でも、森林所有者に一定額を還元することができ、県内の木材生産量は平成17年の7万8,000立方メートルから昨年には14万1,000立方メートルまで増加している。
 また、高性能林業機械の導入により、作業の安全性の確保や身体への負担軽減など、労働環境の改善が図られていることが、若い人の林業への参入にもつながっていると考えている。
 引き続き、高性能林業機械の導入に対する支援に取り組んでいく。

【日比たけまさ委員】

 決算に関する報告書245ページ、あいち森と緑づくり事業費の森林整備事業費のうち、人工林整備について伺う。
 人工林整備では、スギやヒノキの人工林の間伐を実施していると思うが、昨年度の実績面積1,662ヘクタールは、計画に対してどの程度の達成状況か。また、あいち森と緑づくり事業は、平成21年度から10年計画で始まっているが、全体計画に対して昨年度までの進捗状況はどうか。

【森と緑づくり推進室長】
 スギ・ヒノキの人工林の間伐は、岡崎市を始め9市町村で実施しており、昨年度の計画面積は1,500ヘクタールであり、達成率は110.8パーセントである。また、全体計画の目標面積1万5,000ヘクタールに対して、昨年度までの8年間で1万1,622ヘクタールを実施し、77.5パーセントの進捗率であり、おおむね計画どおり実施している。

【日比たけまさ委員】

 本県全体の間伐実施面積のうち、あいち森と緑づくり事業による実施面積の占める割合はどの程度か。

【森と緑づくり推進室長】
 平成21年度にこの事業が導入されて以降、昨年度までの8年間で本県の間伐実施面積のうち、38パーセントをあいち森と緑づくり事業により実施している。

【日比たけまさ委員】

 あいち森と緑づくり事業による人工林の間伐がこれまで果たしてきた成果について伺う。

【森と緑づくり推進室長】
 間伐した人工林の林内が明るくなることで植生が豊かになり、土砂流出の防止や水源のかん養機能を高めるなど森林の持つ公益的機能の増進につながっている。また、山間地域における公道沿いの間伐は、強風などの倒木に伴う電線の切断事故の防止や、道路に日が当たることにより冬場の道路凍結が軽減されるなど、ライフライン確保の観点からも実施している。

【日比たけまさ委員】

 県内の山間地域はまだまだ間伐が進んでいない森林が多く見受けられるが、今後の間伐の必要性についてどのように考えているのか。

【森と緑づくり推進室長】
 県内にあるスギやヒノキの人工林11万2,000ヘクタールについて、まだまだ間伐が必要であると考えている。そのうち、間伐が必要な時期となっている6万ヘクタールの間伐を15年間で一通り行うためには、毎年4,000ヘクタールを実施する必要がある。昨年3月に策定した食と緑の基本計画2020 では、昨年度から平成32年度までの計画期間中、年間4,000ヘクタールを目標として、あいち森と緑づくり事業を始めとする様々な事業により、間伐に取り組んでいく。

【日比たけまさ委員】

 平成31年度以降もあいち森と緑づくり事業を継続してもらうよう、検討してほしい。

《振興部関係》

【日比たけまさ委員】

 決算に関する報告書18ページ、リニモ沿線地域活力創出事業費は、本県を訪れる人をリニモ沿線に取り込み、にぎわいの創出を図ることを目的としているが、具体的な取組内容はどのようなものか。

【交通対策課主幹】
 リニモ沿線地域活力創出事業費は、国の地方創生推進交付金を活用して昨年度から3年間実施する事業で、ウォーキングなど従来から行っている利用促進事業とは別に、新規事業として実施している。取組の趣旨は、より広域からリニモ沿線に人を呼び込むため、リニモとリニモ沿線の魅力を様々な形で発信するものである。
 具体的な取組内容は、リニモ沿線の魅力を一元的にまとめた観光パンフレットを作成し、イベントなどを中心に6,000部ほど配布した。また、魅力発信イベントとして、大阪駅や焼津さかなセンターなど県外を含む大型商業施設などでステージショーを5回開催し、リニモやリニモ沿線各市にちなんだクイズやご当地キャラクターによるPRなどを行った。また、リニモ沿線の長久手古戦場を題材として、リニモの駅とリニモ沿線施設を巡るスタンプラリーを開催し、9日間で約1,300人が参加した。さらに、リニモ沿線内外の観光施設を巡る10個の観光モデルコースを設定し、ちらしにまとめ、観光案内所などに2,500部配布した。

【日比たけまさ委員】

 パンフレットやイベントで県内外に広く情報発信したとのことだが、効果はどのように考えているのか。

【交通対策課主幹】
 これまでリニモの紹介パンフレットや各市が個別に観光施設などを紹介するパンフレットはあったが、今回初めて、それらを一元化し、遊ぶ・学ぶ・食べる・歴史を巡るなどリニモ沿線の魅力スポットをジャンルごとにまとめて紹介したことで、リニモ沿線の情報が1冊にまとまっていて分かりやすいなどの声があり、効果的なPRができたと考えている。
 また、県外のイベントでは、愛知万博で乗ったことを思い出す、また乗りたいなどの声とともに、愛知万博から12年が経過し当時を全く知らない小学生、中学生や元々リニモの存在を知らなかった人に、リニモが日本で唯一の浮いて走る電車であるとPRして、非常に興味を持ってもらうことができた。リニモ沿線の魅力とともに、改めてリニモそのものの魅力も広域にPRできたという意味で効果があったと考えている。

【日比たけまさ委員】

 リニモ沿線地域活力創出事業は、国の交付金を活用して3年間継続するとのことだが、昨年度の取組を受けて本年度はどのような取組を行っているのか。

【交通対策課主幹】
 昨年度の取組を踏まえ、本年度は、リニモ沿線への直接的な誘客イベントとプロモーション活動による広域的な魅力発信を実施している。
 まず、リニモ乗車とリニモ沿線施設の周遊を促すための直接的な誘客イベントして、幅広い年齢層に人気がある謎解きゲームを実施している。これは、リニモ車内や複数のリニモ沿線施設に謎を設置し、参加者はこれを解いて回り最後に景品をもらうというもので、本年8月に第1弾として16日間実施したほか、12月からは第1弾より長い期間で第2弾の実施を予定している。また、広域的に魅力を発信するプロモーション活動として、昨年度作成した観光モデルコースを活用して、メディアや旅行業者などにそれをPRするモニターツアーを実施している。既にウェブマガジンで情報発信しているメディアもあるが、今後、更に雑誌や東海地方以外のテレビなどで広域的に情報発信する予定である。

【日比たけまさ委員】

 リニモは、県とリニモ沿線市などによる出資などの第二次経営支援策が昨年度に終了し、愛知高速交通株式会社の経営は安定したと聞いている。また、リニモ沿線には、昨年12月にイオンモール長久手が、今月にはIKEA長久手がそれぞれオープンしたことで乗客も増加している。そこで、最近のリニモの乗客数や経営状況について伺うとともに、県として、今後の利用促進の取組についてどう考えているのか。

【交通対策課主幹】
 まず、リニモの乗客数は、リニモ沿線の土地区画整理事業や民間都市開発によって定住人口が増えつつあるほか、昨年12月にはイオンモール長久手が開業したことで、リニモに乗車する人は順調に増加し、昨年度の年間利用者数は818万人と愛知万博閉幕後初めて800万人を超えた。本年度も、昨年度を上回るペースで推移しており、今月IKEA長久手がオープンしたことで、より一層の乗客増加が見込まれる。
 また、第二次経営安定化策により、リニモを運行する愛知高速交通株式会社は、経営の重荷となっていた長期借入金を昨年度完済し、減損処理を行って減価償却費負担が大幅に減少したことで、財務状況が抜本的に改善され、昨年度決算で当期純損益が会社設立後初めて黒字となり、8,300万円の当期利益を計上している。
 リニモは開業から12年が経過し、近い将来には、車両を始めとした大規模な設備更新が予定されているので、それに備えていく必要がある。県としては、より一層の乗客増加に向け、今後も引き続き利用促進の取組を行っていく必要があると考えている。