視覚障害者に対する自立支援策についてお伺いします。
私は先日の議案質疑にて視覚障害者の自立支援に関し、教育委員会には盲学校での教育について、そして産業労働部には雇用支援策について伺い、それぞれ前向きな答弁をいただきました。そこで本日は委員会にて健康福祉部の取組について順次、お伺いしたいと思います。
始めに、視覚障害者の現状についてお伺いします。本県における視覚障害者はどれくらいいるのでしょうか。また、その方々のニーズをどのように県は把握しているのか。どのようなニーズが多いかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
平成29年4月1日現在、愛知県内の視覚障害による身体障害者手帳所持者数は13,733人となっております。
ニーズにつきましては、5年を計画期間とする「愛知県障害者計画」策定の際の基礎資料とするため、県内の身体障害者、知的障害者、精神障害者等を対象に実態調査を行い、ニーズ把握に努めております。
直近の実態調査となります平成27年度の調査結果によりますと、視覚障害のある方の利用したいサービスとして、回答者の20.7%の方が相談支援事業を、13.8%の方が移動支援事業をあげていらっしゃいます。
また、情報のバリアフリー化に関する施策へのニーズでは、音声による広報の充実が29%と最も高く、啓発物の音声コード化の推進と解説放送の充実がそれぞれ9.7%となっております。
今、ご答弁いただいた調査というのは、障害者全体のニーズ調査であると思いますので、是非、関係団体等とも連携して個々の障害についても、それに応じたきめ細やかな聞き取りをご検討いただきたいと思います。
今、ご答弁の中にも移動支援事業が挙げられました。やはり、視覚障害者の方が安心して外に出られることは、日常生活、社会生活を行っていく上で本当に必要なことであるということがうかがえます。
私も、先日の議案質疑で述べましたが、視覚障害者が自立した生活を送るためには、歩行訓練等、必要な訓練が安定的に実施されることが重要だと考えています。障害者総合支援法では、訓練等の給付が受けられると伺います。そこで、法に基づく機能訓練施設は本県にあるのでしょうか。ある場合は、どのような訓練が受けられるのか。また、本県としてどのように関わっているのかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
障害者総合支援法の障害福祉サービスの一つであります機能訓練を提供する指定事業所は、県内に1か所、名古屋市総合リハビリテーションセンターがございます。
同センターでは、白杖を用いて屋外を安全に単独で歩いたり、他者と一緒に歩く時の方法などを練習する歩行訓練や、食事や調理、掃除などの日常生活で、視覚に代わる確認方法、工夫を身に付けていただく日常生活訓練、ご自身で読み書きできるよう点字を習得していただく点字訓練などが行われております。
県では、こうした機能訓練等の障害福祉サービスに要する費用の4分の1を財源負担しているところでございます。
名古屋市の総合リハビリテーションということで、施設そのものの運営には県が直接関わっていないということだと思いますが、機能訓練施設以外で本県が関わっている視覚障害者の支援施設というのはあるのでしょうか。ある場合は、どのような施設なのかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
県では、視覚障害のある方の支援施設として、豊橋市に「明生会館」を設置し、その運営を社会福祉法人愛知県盲人福祉連合会に指定管理委託しております。
「明生会館」では、点字図書やCD録音図書の製作及び貸出を行う点字図書館、そして、あんま師、はり師又はきゅう師免許を有する視覚障害のある方に対し、自立に向けた技術指導を行う盲人ホームの事業を実施し、視覚障害のある方への支援を行っております。
先ほどのご答弁で、機能訓練施設は県内では名古屋市内に1か所ということでした。これでは県内全域をカバーするというのは難しいと思います。そこで、この機能訓練施設以外で歩行訓練を行っている自治体があるのかどうか。ある場合は、県としてどのような支援を行っているのかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
県内で歩行訓練を実施している自治体は、名古屋市、豊橋市、豊川市、刈谷市、安城市、稲沢市、清須市の7市がございます。
これらの自治体は、歩行訓練を、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟なサービスを行う市町村地域生活支援事業の中で実施しており、県は国とともに、この市町村地域生活支援事業に対して補助を行っております。
今、7市あるというご答弁でしたが、やはりこういった施設がさらに増えることが、よりきめ細やかなサービスにつながると思います。県としてどのようにお考えなのかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
歩行訓練等の機能訓練が県内の市町村で広く実施されることが望ましいと考えております。
機能訓練施設については、引き続き、県において事業所指定を行ってまいりますが、その他訓練施設等は、市町村地域生活支援事業により行われており、その財源となっております国庫補助金が、毎年、所要額を大きく下回っている状況でございます。
このため、地域生活支援事業に対する十分な財源措置を国に対して要望しているところでありまして、引き続き、十分な予算確保を要望してまいります。
次に、繰り返しになりますけれども、日常生活、社会生活において外出するということは大前提だと思います。外出せずに正常な日常生活を送ることはできませんし、社会参加することも難しいと思います。そこで、障害者総合支援法の中には訓練とは別に移動が困難な視覚障害者に対する支援があるとお伺いします。どのようなものでしょうか。私は先日の議案質疑でも述べましたが、安全に安心して通勤、通学できる体制を整えることが必要であると考えますが、この点についても触れていただきたいと思います。
【障害福祉課主幹】
視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者に対し、全国一律の障害福祉サービスの一つとして、同行援護というサービスがございます。
視覚障害のある方の外出時において、その方に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護、排せつ及び食事等の介護などの援助を行うものでございます。
なお、同行援護は、通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通学や通所など、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出は、国の定めによりサービスの対象外となっております。
今、ご説明いただいた同行援護のさらなる充実が必要であると考えますが、県としてどのようにお考えかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
同行援護を実施する事業所は、年々増加しているところでございますが、視覚障害のある方の社会参加を促進するために、引き続き、同行援護へ参入する事業者の増加を図ってまいりたいと考えております。
このため、同行援護の事業所指定に係る相談など、新たな事業者の参入の支援を行ってまいります。
繰り返しになりますが、本来は、通勤、通学等でも同行するサービスが受けけられるのが私は望ましいと考えています。そこで、こうした事例を行っているところはあるのかないのか。もし、あるのであれば、県としてどのような支援を行っているのか伺います。
【障害福祉課主幹】
同行援護は、全国一律のサービスとして、国によって通勤や通学等は対象外とされておりますが、市町村の判断により柔軟にサービスを行う地域生活支援事業の一つであります移動支援は、名古屋市など一部の市において、通学等を対象として実施されているところでございます。
なお、県は国とともに、この市町村地域生活支援事業に対して補助を行い、支援をしているところでございます。
ここまでお伺いした支援の他に、県として行っている視覚障害者への支援というのはどのようなものがあるのでしょうか。また、第5期愛知県障害福祉計画にはどのように反映されるのかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
移動に関する支援以外の県の支援でございますが、視覚障害のある方に対して日常生活をおくる上で必要とされる能力についての訓練、指導等を行う「生活訓練事業」として、家事、家庭生活、健康管理などの講習会を実施し、平成28年度は延べ440名の方にご参加いただきました。
また、「ITサポートセンター運営事業」として、視覚障害のある方の情報通信技術の利用機会や活用能力の格差是正を図るため、ITに関する利用相談や情報提供、講習会等を実施し、平成28年度は982件の相談、講習会等には延べ200名の方に参加をいただきました。
その他に、新聞等最新の情報を点字に翻訳する「点字即時情報ネットワーク事業」、「点訳・朗読奉仕員養成事業」、盲導犬などの育成を補助する「身体障害者補助犬育成事業費補助金」といった事業によりまして、視覚障害のある方への支援を行っております。
この3月中に策定する予定であります第5期愛知県障害福祉計画には、こうした事業の実施について、それぞれ項目立てをして記載をし、視覚障害のある方の社会参加の促進を一層進めてまいりたいと考えております。
今まで、主に障害者総合支援法に基づく視覚障害者への支援について伺ってきましたが、ここで、手帳を持てない方への支援について伺います。国が認定した視覚障害者は全国で約31万人とされる一方で、日本眼科医会では視覚障害者数は約164万人であると推計していることから、手帳を持てない弱視の方が相当数いることが分かります。そして、この方々への支援も考えていかなければならないと思います。そこで、県、市問わず行政として行っている事例がありましたら教えてください。
【障害福祉課主幹】
視覚障害のある方に対する各種支援策は、身体障害者手帳の所持者に対して実施されているところですが、名古屋市では、手帳を持っていない方に対して、市単独事業で歩行訓練等の機能訓練の支援を実施していると伺っております。
最後に、先ほどの調査の中でも相談支援のニーズが高いという結果もありましたが、社会福祉法人日本盲人会連合が全国の弱視者1,200人に対して行った調査では、福祉制度や支援と出会うまでに「5年以上の時間を要した」と回答した割合が4分の1に達したという衝撃的な結果が出ています。
様々な支援制度、ボランティア等の支援者、そして当事者団体と出会い、必要な配慮を受けられるようにするためには、社会システムを構築すべく、行政、医療機関、訓練機関等の様々な連携が必要であると考えますが、県としてどのようにお考えかお伺いします。
【障害福祉課主幹】
視覚障害のある方に対する支援を含め、障害のある方への支援は、福祉、医療、教育、労働等、他分野の連携が求められるところであります。各市町村では、地域における障害福祉に関する協議の場として自立支援協議会が設置をされております。
なお、中途で視力を失った方が医療機関から支援機関につながらず、支援の必要な方が地域に埋もれてしまっているということもお聞きしますので、市町村域を超えた広域的な連携も必要と考えており、今後、当事者団体を始め関係機関のご意見をお聞きしながら研究してまいりたいと考えております。
要望させていたただきます。
先日の議案質疑でも述べましたけれども、福井県では、視覚障害者とその家族を包み込むネットワークというのを目指して、医療機関、訓練機関、福祉施設、学校、行政機関等で「羽二重ねっと」を設立しています。本県においても、今、研究していくというご答弁がありましたけれども、視覚障害の方に情報が行き届く、また、そして視覚障害の方の困っている情報を吸収できるような仕組みを構築いただくようお願いしまして質問を終わります。